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2代目繫盛のルールその24「包材をケチるな」【創業組が嫉妬する2代目マネジメント術㉟】

「ルールその24 包材をケチるな」

包材費大高騰時代の到来

2022年は、円安の影響で全ての物が値上がりした年でした。

今まで、一部値上げ等はありましたが、原料も包材も輸入品も国産品もすべての物が値上げされることはなかったので、結果としてコストプッシュ型のインフレを日本にもたらしました。
2022年初めに10~15%、さらに9月以降にさらに10~15%の値上げをせざるを得なくなり、今後、値下がりの見込みもなく、まさに原価大高騰時代の到来となりました。

かねてよりのデフレに悩んでいた経営者の皆さんにとってこのインフレは朗報か?

そんな事はありません。

企業が商品を値上げしたい本来の目的は、従業員に支払う人件費のアップを可能とするためでしたが、コストプッシュ型のインフレは多くの中小零細企業にとってそれを不可能にしました。
何故なら、日本のデフレ体質、あるいは日本人のデフレマインドが改善されないまま原価だけが跳ね上がってしまい、足りない人件費を補填するのに十分な値上げが出来ていないからです。

輸入食材の比率が高い洋菓子産業はコストプッシュ型のインフレの影響を受ける代表的な業界です。

当然、余計なものにお金は使えない。そこで、最初にカットされるコストの代表が包材費です。

包材は企業の広告、顔のはずが、、、

デパートの紙袋を始め、大手製菓会社の紙袋。

100%と言っていいほど、どの企業の物も最低ランクの紙袋に変更されています。

かつて紙袋は広告費だと、こぞってお金をかけるアイテムでした。

企業ロゴの入った、高そうな紙袋を持ち颯爽と街を歩く人が勝手にその企業を宣伝してくれる、そういう位置づけが紙袋にはあったのです。

しかし、今となっては、、、

上部がギザギザになった切りっぱなしと言われる工程、紙ハンドル、高級デパートで高い買い物をしてもこんな安い袋にしか入れてもらえないのでは、お客様が持ち歩いても誰もいいとは思いませんし、良い袋だからとリユースする人も本当に減りました。

SDG’sの観点からではないか?

いえ、SDG’sの観点からいえば、FSC認証を取得している高い紙袋を使うべきです。それに、丈夫な紙袋の方がリユースに向いており、結果環境に優しいはずです。

風呂敷包みに世の中が戻らない限り、紙袋はギフトの必需品です。

もしあなたがギフト需要を伸ばしたいのならば包材費はケチらない方が良いと思いますし、少なくとも、エルベランでは最も高いグレードの紙袋を使用しています。

それは、僕のある経験から紙袋をケチるのはお客様のためにならないと痛感したからです。

あれは、東京に出張で行っていたときの事です。
大阪は晴れていたのに東京はあいにくの雨模様。僕は山手線に飛び乗りました。
その時、東京の恩人にクッキーをお土産にとたくさんの詰合せ箱をうちの紙袋に入れて持ち歩いていたのですが、飛び込んだ勢いでビリっと音を立てて持ち手の付け根が破れてしまいました。
当時は、お恥ずかしい話ですが、エルベランでも最も安いグレードの紙袋を使っており、雨に湿った紙が弱って破れてしまったのです。
替えの袋など持っておらず、大きな荷物を抱えながら、持ち手のないクッキーの袋まで抱える羽目になり、大変難儀な思いをしたことがあります。

あの時は、恥ずかしかったし、なんか情けない気持ちになりました。

また、今はコロナ感染防止対策のため、至る所で手をアルコール消毒します。僕はとあるデパートでお買い物をしていた時に、アルコールで湿ってしまったそのデパートの安い紙袋が弱り、同様に破れてしまったという経験もあります。

そんな自分の実体験から、お客様が進物にされるクッキーの紙袋は丈夫で日本、いや世界に持って行っても破れない物にしようと誓ったのです。

そしてもう一つ、僕にはある思いがあります。

それは、以前、中国の上海でお仕事をさせて頂いたときの事です。
ちょうど2016年の春の事でした。
中国の洋菓子事情を視察しようとショッピングモールを周っていたのですが、その時、僕はある事に気が付きました。
中国で使用している紙袋は、どれも日本で言う所の最高グレード品だったのです。当時すでに紙袋の製作技術は日本を抜いて中国が世界一でした。
きっと、製造の世界を知らない人は、未だに日本がモノづくりで世界で一番の品質だと勘違いしているのかも知れません。しかし、実際は世界の工場と呼ばれる中国に最新の製造機械が導入されて、日本には型遅れの機械と言うのが現状なのです。ですから、高級品の洋菓子を入れる袋は当然のように自国(中国)生産の最高グレードの紙袋でした。

僕はこれを見て、日本人の意地として紙袋は絶対に質は落とさない!と心に誓いました。

中国の方が日本に来て、日本のスイーツに期待を寄せて買ったくださった時に、えっ紙袋安っ!って恥ずかしいじゃないですか?
日本の洋菓子は、本当に世界トップレベルの品質と美味しさです。
それをそんなところでガッカリされたくないなぁと思ってしまったのです。

だから、これは僕の意地。

たとえ、エルベランに中国からお買い物に来なくても(笑)

「包材をケチるな」

あなたのビジネスの顔は、安いですか?それとも高いですか?

創業組が嫉妬するような2代目マネジメント術で豊かで幸せな人生を送りましょう!

エルベラン2代目オーナーシェフ 柿田衛二


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