栗瑛太

書いている事は全て嘘です。

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俺ミーム

 最近流行りの猫ミームに便乗して、"俺ミーム"という動画を作ろうと思った。youtubeにアップしてバズらせて、最終的にその収益で食っていきたいと思った。  思い立って…

栗瑛太
3か月前

ホワイトルーム

目が覚めると、見覚えのない部屋にいた。 そこは真っ白な床や壁で囲まれた12畳ほどの無機質な部屋で、自分が寝ていたシングルサイズのベッド以外に、物はなにもない。 不思…

栗瑛太
1年前
5

私はロボットではありません

某国民的アニメのアイツに似ているねと、この世に生を受けてから言われ続けてきた。 いやいや、あちら側が先にデザインされただけであって、俺がアイツ・・・あー、もう言…

栗瑛太
1年前
1

ラブハンサム

「ふむ・・・。可憐なレディに手をあげるとは、感心しないな」 「あ、あなたは!」 「ラブハンサム様!!!」 私、半澤三郎はアマチュア魔法少女界隈で、魔法少女達のヒ…

栗瑛太
1年前

古時計

定年を迎えてから、家でぼんやりと過ごすことが多くなった。 あれ程飲み屋で愚痴っていた仕事も、いざ「はい、これで終わり」と勝手に区切りを付けられると寂しいのは不思…

栗瑛太
1年前
3

俳句バー

ブルーな気分の時は、いつもこの俳句バー「梅一輪」に足を運ぶ。 梅一輪は巣鴨のとげぬき地蔵近くの路地裏にひっそりと佇む、隠れ家のようなバーだ。 店のドアを開く。「…

栗瑛太
1年前
9

脱サラ奮闘記

脱サラしてタピオカ屋を始めてから3ヶ月が経った。 「都会の喧騒から離れて田舎で暮らしたい」という思いから、開業場所にA県のS村という、人口が50人にも満たないよう…

栗瑛太
3年前
4
俺ミーム

俺ミーム

 最近流行りの猫ミームに便乗して、"俺ミーム"という動画を作ろうと思った。youtubeにアップしてバズらせて、最終的にその収益で食っていきたいと思った。

 思い立ってからは早かった。メシを食う俺、車を運転する俺、はしゃぐ俺、変なダンスを踊る俺、頭を抱えて苦悩する俺、凄い勢いでしゃべる俺、はぁ?と言う俺、説教をする俺、申し訳なさそうにする俺、etc…。動画素材には事欠かなかった。それらを組み合わ

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ホワイトルーム

ホワイトルーム

目が覚めると、見覚えのない部屋にいた。
そこは真っ白な床や壁で囲まれた12畳ほどの無機質な部屋で、自分が寝ていたシングルサイズのベッド以外に、物はなにもない。
不思議な事に窓や扉すらもなく、完全な密室のようだ。

「一体なんでこんな所に……」

思わず独り言を呟いた。
混乱した頭で状況を整理する。
えーっと。自分の名前は上原慎也。28歳。
仕事は……広告代理店の営業職。
家の住所は東京都北区豊島X

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私はロボットではありません

私はロボットではありません

某国民的アニメのアイツに似ているねと、この世に生を受けてから言われ続けてきた。

いやいや、あちら側が先にデザインされただけであって、俺がアイツ・・・あー、もう言っちゃうか。・・・ド◯えもんに寄せている訳では決してない。
親の遺伝でたまたま顔の造形が近しくなってしまっただけで、こっちサイドからしたら良い迷惑だ。

親の顔?そんなの俺だって見てみたいよ。
両親は物心ついた時には居なかった。
育ての親

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ラブハンサム

ラブハンサム

「ふむ・・・。可憐なレディに手をあげるとは、感心しないな」

「あ、あなたは!」

「ラブハンサム様!!!」

私、半澤三郎はアマチュア魔法少女界隈で、魔法少女達のヒーロー『怪盗ラブハンサム』として活動している。

あまりこの界隈には明るくないという人もいると思うので、アマチュア魔法少女界隈について簡単に説明させてほしい。

アマチュア魔法少女界隈とは、演者が怪人側と魔法少女側の勢力に分かれ、各々

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古時計

古時計

定年を迎えてから、家でぼんやりと過ごすことが多くなった。

あれ程飲み屋で愚痴っていた仕事も、いざ「はい、これで終わり」と勝手に区切りを付けられると寂しいのは不思議なものだ。

退屈な平日の午後。
何気なくTVのワイドショーを眺めていると、大御所俳優の訃報を知らせるニュースが流れていた。
たしか、私と同年代ではなかったか。
気分の良いニュースではないため、チャンネルを変えようと机の上のリモコンに手

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俳句バー

俳句バー

ブルーな気分の時は、いつもこの俳句バー「梅一輪」に足を運ぶ。

梅一輪は巣鴨のとげぬき地蔵近くの路地裏にひっそりと佇む、隠れ家のようなバーだ。
店のドアを開く。「おや、いらっしゃい」とダンディなマスターが快く迎えてくれる。
僕は軽く会釈をしてカウンターに座り、「いつもの」とオーダーをする。

「また女の子に振られたのかい?」

「ははっ・・・。マスターは何でもお見通しなんだから」

僕はこの店の雰

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脱サラ奮闘記



脱サラしてタピオカ屋を始めてから3ヶ月が経った。

「都会の喧騒から離れて田舎で暮らしたい」という思いから、開業場所にA県のS村という、人口が50人にも満たないような小さな村を選んだ事が失敗だった。

住人の大半が70代以上、最年少で60代という、タピオカ屋を利用する層からは大きくかけ離れた年齢層だった。
田舎の生活×タピオカ屋はとんでもなく相性が悪かったのだ。

そもそもタピオカには何にも思

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