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私はロボットではありません

某国民的アニメのアイツに似ているねと、この世に生を受けてから言われ続けてきた。

いやいや、あちら側が先にデザインされただけであって、俺がアイツ・・・あー、もう言っちゃうか。・・・ド◯えもんに寄せている訳では決してない。
親の遺伝でたまたま顔の造形が近しくなってしまっただけで、こっちサイドからしたら良い迷惑だ。

親の顔?そんなの俺だって見てみたいよ。
両親は物心ついた時には居なかった。
育ての親は母方の祖母で、なんでも、親父とお袋は俺をばあちゃんに預けたまま、どこかへ消えてしまったらしい。
アルバムの類は家に一才ないし、親の事を聞くとばあちゃんは悲しそうな顔をするから、いつからか聞く事は、やめた。

子供の頃、俺はイジメの恰好のターゲットにされていた。何せこの顔だぜ?
特に、俺が住んでいた団地を仕切っていた悪ガキ、タカシ曽根男ソネオはしつこかった。
「早くどこでもドアだせよ」だの「未来に帰れ」だの、子供の思いつきそうな低レベルなイジメが何年も続いた。
お前らだってあのキャラと一字違いじゃないか。

「お前、いつ武道館でワンマンすんだよ」

「お前の母ちゃん語尾にザマス付けるらしいな」

そう言って一発ぶん殴ってやりたかったが、当時の俺にそんな事ができる度胸はなくて、いつもイジメられては、ばあちゃんに泣きついてた。
ばあちゃんはいつでも優しくて、その度に俺の事をなぐさめてくれた。
ま、そのばあちゃんも今はもう居ないけどな。

・・・暗い話はこれくらいにしておこう。
今回、おたくの"マスコットキャラクターコンテスト"にエントリーした動機は、単純に金が欲しかったからだ。
賞金の100万+マスコットとしてのギャラ。
俺は今アウトローとして生きているが、末端の構成員に過ぎない俺の収入なんてモンは雀の涙程度だ。
そんな割に合わない仕事に嫌気が差しててね。おたくから仕事が貰えるようになったらすっぱりと足を洗うつもりさ。

え?『動機は他にあるんじゃないか』って?
ははっ、アンタも鋭いね。
・・・実は、俺には生き別れの妹が居ることが分かってさ。おたくの会社がデカくなった時、マスコットとしての俺の顔が日本中・・・いや、世界中に知られるようになったら、いつか妹に気づいて貰えるんじゃないかと思ったんだ。
これが本当の理由。

さ、もういいだろ?
長々と話して悪かったな。
そろそろ帰・・・え?『最後にアピールポイントを教えてほしい』?

そうだな・・・。
あー、じゃあ決定権を持つお偉いさんにこう伝えておいてくれ。

「私はロボットではありません」

ってね。

https://www.yaokin.com/character.html

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