ことのはのにわ。
新宿って、いろんな顔にびっくりしませんか?
西口の超高層ビル街でせわしなくあるくのはビジネスパーソンで。
南口にいけばすこし大人びた人たちがバスタの前で自分たちだけの時間を過ごしてる。
東口にいけばこれでもかって明るいネオン街に若者たちがいそがしそうに右に左にあるいてる。
新宿って若者に似てますね。
何者かになりたいって叫んでいながらも、何者にもなりきれてないって嘆くような。
言の葉の庭は、梅雨の新宿を舞台にした物語でした。
多くの人がうっとうしさを感じる梅雨のなかで、
靴職人になりたい男の子と職場に通勤できなくなった女性が
すこしずつ、すこしずつ惹かれていく物語。
朝おきて、雨がふってないってため息をつく姿にかわいいなぁなんて思いつつ、
その不器用さに純情ともどかしさも覚えます。
ただただひたすらに、不器用ながらに前へ進もうとする姿と
やさしい雨粒で踊る水面や、一瞬映り込む藤の花や
雨の音がうつくしくて。
たぶん、きっと、
年上をすきになって大人びる勇気も、年下をすきになって焦る気持ちを隠そうとする勇気も、すべてを分かり合えるときはちゃんと実を結ぶまでこなくて。
でも、それでも、
会いたくなったら、ね。雨でも晴れでも関係なく会いにいけばいいとおもうんです。
距離も時間も気持ちもお金も立場も、会わない理由にはなるけど会えない理由にはならないんです。きっと嘘。
上手くいくかはわからないけれど、2人がしてたみたいに、大切な人を大切にするだけでいいとおもうんです。
梅雨を多くの人がうっとうしく思うように、
学校をさぼる男の子も朝からビールを飲んでる女性もうっとうしく思われるかもしれないけど、
それでも、誰かにとってはとても美しい人になってる気がします。
あの、おもうんです。
何者かになりたいって叫ぶ若者は、もう誰かの”何者”になっているとおもうんです。
だから、自分が大切にしたい人たちや、自分を大切にしてくれる人たちを想っていられたら、それで十分で。
あとはもう、自分自身を満足させられたら十分すぎます。
まぁそれでも、何者かになりたい若者を
新宿はつめたく、やさしく、迎え入れてくれる気がします。
2021年6月20日
えだちゃん。
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