スクワットに関する研究あれこれ① ~スタンスについて~
※当記事は自分用のメモ的役割を意図して,気になった論文を簡単にまとめたものです
◆第1回→スタンスについて
◇第2回→マシンかフリーか,バックかフロントか
◇第3回→深さ(クォーターか,パラレルか,フルか)
◇第4回→バーポジション(ハイバーか,ロウバーか)
スクワット=「キングオブエクササイズ」などとも呼ばれるくらいメジャーであり重要なエクササイズ
0.スクワットを理解する上で重要になるポイント
1.スタンス:足幅はどの程度にするか?
2.マシンかフリーか,フリーならばバックかフロントか
3.深さをどこまで下げるべきか
4.バーポジションをどうするか(ロウバー&ハイバー)
いくつか考えられるが,おおよそこのあたりが重要になる
1~3に関してはレビューによる検討がなされている*1 (以下この文献を参照する際には「レビュー」と表記する)
1-1.スタンスと筋活動の研究
レビューにおいて用いられた研究によると,スタンス幅を広げたとき負荷の大小にかかわらず大臀筋の活動が増加した*2
これと同様の結果がMcCAWらの研究(1999)によっても示されている*3
1-2.スタンスと膝の動きに関する研究
また,最近のLorenzettiらによる研究(2018)では,膝の外反とスタンスの関連性が示されている*4
この研究では,3種類の足幅と3種類のつま先の向きの計9パターンに関して,それぞれのスタンスでスクワットを行った際の膝の内側方向への偏位の度合いを示した
つまりこれらのことは以下のようにまとめられる
①足幅の広さと膝の内側偏位の度合いは負の相関をもたらす
②つま先の向きの角度と膝の内側偏位の度合いは正の相関をもたらす
特に膝の外反状態はMCLへのストレスが高くなるため十分注意するべき
1-3.まとめ・補足的な研究
これらの結果を考えると,前額面での運動がなるべく起こらないようなワイドスタンス+つま先外向き21°が理想的?
(より現実的な指導に用いるなら,つま先を30°程度外に向けるような指導)
また,この研究ではつま先の角度も含めたスタンスと腰椎の動きに関しても示しており,それによればスタンスは腰椎の運動範囲にはほとんど影響を及ぼさず,またL4-L5にかかる外的モーメント(external moments)にもほとんど差は生じないとされる
スタンスに関連する話題として,足底の重心位置を可能な限り前方に移すことで,筋活動の様式を変化させられることを示唆したKitamuraら(2019)の研究がある*5
これらの結果は,バーベル形式のスクワットで応用するのは難しいかもしれないがアスリハなどにおける自重スクワットで有効になるかもしれない
【他ページへのリンク】
〈ストレングス系〉
◇スクワットについて
・スタンス(本ページ)
・バック/フロント,マシン/フリー
・深さ
・バーポジション
〈コンディショニング・スポーツメディカル系〉
◇リカバリー総論
◇リカバリーの方法①
◇熱中症
◇アメリカンフットボールと脳震盪
◇ハムストリングスの肉離れのアスレティックリハビリテーション
〈スポーツ栄養系〉
◇五大栄養素について
・カロリー収支とバランス
・炭水化物
・タンパク質
・脂質,ケトジェニックダイエット,栄養戦略
・ビタミン,ミネラル
◇エルゴジェニックエイド
・カフェイン
〈単発の論文レビュー〉
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【引用・参考】
〈参考になりそうな書籍〉
1.スターティングストレングス第3版 Basic Barbell Training
いわゆるBIG3についてはここに全て記載されているし,正直これさえあれば他の書籍は不要ともいえる
座学として学ぶのであれば間違いなく最強の本
*引用・参考
1. Clark, Dave R.; Lambert, Mike I.; Hunter, Angus M. Muscle Activation in the Loaded Free Barbell Squat: A Brief Review, Journal of Strength and Conditioning Research: April 2012 - Volume 26 - Issue 4 - p 1169-1178
2.Paoli A, Marcolin G, Petrone N. The effect of stance width on the electromyographical activity of eight superficial thigh muscles during back squat with different bar loads. J Strength Cond Res. 2009;23(1):246‐250.
3.McCAW, STEVEN T.; MELROSE, DONALD R. Stance width and bar load effects on leg muscle activity during the parallel squat, Medicine & Science in Sports & Exercise: March 1999 - Volume 31 - Issue 3 - p 428-436
4.Lorenzetti, S., Ostermann, M., Zeidler, F., Zimmer, P., Jentsch, L., List, R., Taylor, W. R., & Schellenberg, F. (2018). How to squat? Effects of various stance widths, foot placement angles and level of experience on knee, hip and trunk motion and loading. BMC sports science, medicine & rehabilitation, 10, 14. (表の引用もこちらより行った)
5.Kitamura T, Kido A, Ishida Y, Kobayashi Y, Tsukamoto S, Tanaka Y. Muscle Activity Pattern with A Shifted Center of Pressure during the Squat Exercise. J Sports Sci Med. 2019;18(2):248‐252. Published 2019 Jun 1.
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