図1

「ベンチャーと大企業病」から

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3点に注目したい。
 1.人やモノゴトは、何もしなければ、悪化する
 2.大企業病は、中小企業やベンチャーにもよく発症する
 3.経営・人事・HR・HRMシステム・組織構造を整合させた予防策が重要
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A 色々なベンチャーに触れ合う機会があるが、すでに大企業病を発症しかかっているベンチャーも多くあるのが実態である。


B 大企業病の症状も様々あるが、言ってしまえば、「非効率な企業体質」である。大企業病という名前がついているが、中小企業でもベンチャーでも、当然発症する。


A 経営資源に乏しいベンチャーが、顧客を射止め市場を拡大し大企業の浸食に勝つためには、圧倒的なスピードや効率経営が重要となる。多くのベンチャーはこのことを理解しており、高速で目的を達成するための組織運営を心掛けている。


B 企業クレドなどに、「素早さ」や「効率」を入れ込む企業は案外多い。これを、ミーティングなどの適当なタイミングで発言していくことで、規模拡大フェーズでも、企業の文化を維持しようとしている。これは、よい取組である。


A 私がよく遭遇するのは、2以上の関連する意義を持つプロダクトのある場合の非効率さである。ベンチャーの中に、プロダクトA(事業部Aのようなイメージ)とプロダクトB(事業部Bのようなイメージ)が存在した場合、視野狭窄・部分最低化に走るケースが多い。


B これこそ大企業病のよくある症状である。自部門の業績を最優先し、自部門の役割が(全社的に)最も重要だと思い込み、自部門が最も忙しと「勘違い」している状況である。重要なことは、経営という視座でみたときの最適化である。


A リーン方式で事業を立ち上げる力があっても、しっかりとスクラムを回すことが出来ても、全体最適の視点が無ければ、やっていることは非効率な作業といわざるをえない。


B 結局、人というのは自分が所属する環境が最も重要な環境であると錯覚する。自分の属する環境が最も重要であり、最も多忙であるため、他のチームや事業への「お手伝い」は「負荷」として捉えることになる。


A 部署Aの言い分: あの部署Bは面白い製品を作っているらしいが、詳細がよくわからない。私達のプロダクトAの顧客基盤を使いたいというが、派生プロダクトA2の展開も重要であるし、忙しいし、あまり乗り気はしないな。


B これでは駄目である。完全にプロダクトAとプロダクトBの意義が分離している。もっと大きなヴィジョンが存在し、その中にAとBが収まっている状況で、いがみ合っている場合ではない。特に、プロダクトAが先にローンチし、プロダクトBが後発といった場合に、よく観察される。


A 経営視座で見たときに、プロダクトAとプロダクトBとの関係性をどうとらえるのがベストだろうか。そのためには、これらを支えている組織をその状態で維持し、連携させるのがよいのか。或いは、一度バラバラにして組み直すほうがいいのか。


B ローテーションで両方を経験させるというやり方もあるが、人事評価系(考課系)を工夫して、視野狭窄・部分最適にならないようにすることが重要である。


A その上で、自分達の組織が目指す大きな映像とそれを構成するパーツを、誰もが理解できるようにするといいだろう。自社の社会への貢献完成図の中に、それぞれの事業部を配置していく。自分達がどこにいて、誰がかけても駄目である、ということを一発で理解できるようにする。更には、組織図をOKR図(OKR樹形図)のように描いて、これも誰もがみえるようにする。そのOKR樹形図の中の1点をタップすれば、そこにいる組織メンバを閲覧できたりする。


B 組織が大きくなるほどに、全社という視点は現場から消えていく。現場から全社の像が薄れていくほどに、部分最適化の傾向は強くなり、現場と現場の間に壁ができ始める。これは大企業病の一種であるが、予防可能なものである。


A ベンチャーでスピーディに!と意識していても、「この先なにが起こるか?」を考えておかないと、気づいたら病魔に蝕まれた状態になる。モノゴトや人というのは放置すると悪化する。何もせずに善良にはならない。この先に起こる病気をしっかりとイメージ、それを回避する方策を経営・人事・HR・HRMシステム・組織構造という点で整合させながら、構築しておく必要がある。


/2018.02.02 JK

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