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【ブックレビュー】『リキ~9つの命を繋いだ運命の犬~』(感想文)

●はじめに

久しぶりのブックレビューです。
いくつかレビューしたい書籍はありましたが、久しぶりに感想文を書くならこちらの書籍にしたいと決めておりました。

「生きること」について多くの示唆を含むノンフィクション書籍です。
「そういうこと」について一定の見識を得たいとして、哲学書などを読むのもいいと思います。

それはそれとして、「実際にあった出来事」やそれにまつわる思いが綴られている書籍からも「気づき」を得ることができました。

その書籍のなかは「生命」で溢れていました。

●悲しみを乗り越えて喜びに

『リキ~9つの命を繋いだ運命の犬~』上下巻2冊を実際に手に取りページをめくっていくと、微笑ましいエピソードもたくさんありました。

これは「ノンフィクション」故なのか、笑えないどころか「胸がつまる」ような感覚をおぼえながら読み進めなければならない場面もありました。

「これは現実なんだ」と思うと、私が身を置く世界というのはなんと残酷なのだろうかと寒気と落胆をおぼえました。
ですが、「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったものです。

この世界は「善意と悪意の濃淡多彩なマーブル状」なんだなと改めて思い至りました。

●ともに住まうもの

こちらの書籍の主役は犬と猫なんですが、時折登場する「人間」も、ストーリーに花を添える「名脇役」だと感じました。

動物と人間とのかかわり方や、実際のエピソードを通しての交流、そういったものから間接的に「人間という生物」について考えさせられる場面もありました。

人間社会に生きる犬や猫からみた人間という生物も実に多種多様で心温まるエピソードもありましたが、(私自身人間であるはずですが)どんなに共感力を働かせてみても到底理解できない個体も登場しています。

●かばう気は正直言ってありません

それは私自身が犬や猫が好きだからというのもあるのかもしれませんが、「なぜこんなことを」と考え込んでしまいそうになりますし、正直憤慨もおぼえました。

これはただの持論なのですが、「しいたげる者はしいたげられた者である」という可能性も頭に浮かびました。

その図式は(有り難くない)トップダウンなのですが、おそらく「そういう個体」も何かに「しいたげられた」のでしょう。

だからといって「しいたげる」行為が正当化されることもありませんし、あってはならないでしょう。
この人間社会に「倫理」や「理性」があるのであれば。

●「憎い」だけじゃ解決しない問題もあるんだなぁ、と

その「個体」にも(人間として生きていたいのであれば)行為に対して一定の責任を持つ義務はあると考えますが、かといって「そいつが全部悪い」と集団で石を投げていい、というものでもないと思います。

むしろこういった「現実にある悲劇」を未然に防ぎたいのであれば、この「社会の構造」についても議論していく必要性を感じました。

ただ「この構造」は今に始まったことではなく(とはいえ昨今のそれは目を覆いたくもなる有様)人類が社会を形成して以来ずっと(悪い意味で)継承されてきたのだろうとも思います。

●「きっかけ」になると思います

そうはいっても、その要因のひとつである「格差」をなくしていく事ひとつとっても、「難しい問題」ではあります。

それ故に、こういった書籍を読んで「ひとりひとりが考えていく」という事も必要なんだと思うのです。

こちらの書籍では、「人とともに住まう命」への正しい理解を持つきっかけになると思います。
実際、今まで知らなかった犬猫に関する知識を得られたのは大きな収穫のひとつでした。

「無知」が悲劇を生むのであれば「理解すること」や「理解しようとすること」は、その防止に必要なことだと思う次第です。

●人間(私)より人間らしいのでは

それにしても、犬と猫は「ヒト」とは違う種族とはいえ、書籍を読んでいくうちに「人間らしさ」を感じる事もできました。

こちらの2冊を読み終えるころには、犬さんや猫さんへの「好意と敬意」が深まると思いますよ。

「察する力」ひとつとってみても、人間(少なくとも私)をはるかに凌駕しているのだと感じました。

●ほっこりした場面も

あえて詳しいエピソードには触れずに、文字通り「感想」を述べさせていただきました。

その読み方は千差万別かと存じますし、私自身も全編通して「悲観的に」読了していたわけではありませんよ。

「いい話だなー」と思ったエピソードもたくさんありますし、彼ら彼女らの「愛らしさ」もたくさん感じられる書籍だと思っております。

●最後に

最初は電子書籍で閲覧していたのですが、つい紙の書籍も実際に手に取りたくなって購入させていただきました。

下巻のリキさんが特に凛々しいですね

紙書籍(ペーパーバック)には、電子版では味わえない「良さ」がたくさんありました。
著者様の工夫や心遣いがたくさん詰まっています。

こちらの、著者様琥珀ベイビーさんの記事にて、その(いい意味での)「こだわりポイント」を知ることができますよ。

電子書籍版が悪いとは思いませんが、私はやっぱり紙書籍版をオススメしたいです。

それから、
八房くん、2才の誕生日おめでとうございます!!
いい人と出会えてよかったね。


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