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エガオが笑う時

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#メドレー

エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(4)

エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(4)

 長年の多量のアルコール摂取による臓器不全で何もしなければ1年も持たずに命が尽きてしまうかもしれないと診断された。
 完治するには年単位での治療が必要で医療施設への入院が必要になった。
 つまりエガオちゃんと一緒に暮らすことが出来なくなったのだ。
 当然、私は入院を拒否した。
 なんでエガオちゃんを大切にすると、もう離れないと決めた矢先にこんなことになるの⁉︎
 神様は、何でこんな酷いことが出来る

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エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(3)

エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(3)

 エガオちゃん!エガオちゃん!エガオちゃん!!
 私は、宿舎中を走り回ってあの子を探した。
 メドレーの最高地位にいるグリフィン卿の妻が危機迫る顔で走り回る姿にみんな驚いた顔をしていた。
 私は、戦士達に、従者にエガオちゃんを見なかったか聞いた。
 誰も見てなかった。
 それ以上に誰もこの宿舎に住んでいる小さな女の子に関心を持ってなかった。
 私は、腹立った。
 しかし、それ以上に自分が腹立った。

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エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(2)

エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(2)

 エガオちゃんは、本当に元気だった。
 少し目を離すとどこかに走っていって棚にある物を弄ったり、中庭に出て泥んこになるまで遊んだ。
 その度にお風呂に連れて行って身体を洗うと泡だらけになるのと身体を触られて擽ったいので笑い転げる。
 ご飯もたくさん食べた。
 作ったら作っただけ食べて特に甘いものが大好きで虫歯にならないか心配した。
 そんなエガオちゃんの姿と幼かった時のあの子の姿が重なり辛かった。

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エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(1)

エガオが笑う時 間話 とある淑女の視点(1)

 娘の訃報が届いたのは春の終わりの雨の日だった。
 その日は、夫が珍しく屋敷にいて2人であの子が好きなアップルティーを飲みながら「あの子にも飲ませたいわね」なんて笑いながら話していた時、王都からの伝令が手紙を携えてやってきた。
 伝令から手紙を受け取り、それを読んだ時の夫の顔は今も忘れられない。
 私もその手紙を読んだ瞬間、絶望に襲われて立ち上がることが出来なかった。

 娘は、父親譲りの類稀なる

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エガオが笑う時 第6話 絶叫(3)

エガオが笑う時 第6話 絶叫(3)

「くだらない」
 聞き覚えのある声が耳に入る。
 空気を劈く音と同時に獣達の悲鳴が飛ぶ。
 魔法騎士と騎士崩れ達の表情に驚愕が走る。
 私を襲おうとした獣達の身体に銀色の矢が突き刺さっている。
 矢の先端は、矢尻ではなく針になっており、その後ろにはガラスの管のようなものが付いており、中に液体が入っている。
 矢が刺さった瞬間、獣達は叫び、のたうち回る。
「たかが獣相手に何をしているのです隊長?」

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エガオが笑う時 第5話 凶獣病(3)

エガオが笑う時 第5話 凶獣病(3)

「凶獣病」
 突然、湧き出した聞き覚えのある声に私の意識は現実へと戻る。
「ほんの100年ほど前まで獣人の子どもの間で流行っていた感染症の一種だ。感染すると先祖帰りを起こして巨大な獣へと変貌する」
 私は、声のする方へと振り返る。
 鳥の巣のように盛り上がった黒髪、整った顔に生えた無精髭、黒いタンクトップから除く逞しい腕、均整の取れた身体に黒いズボンを履いた長い足・・。
「カゲロウ・・」
 私は、

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エガオが笑う時 第5話 凶獣病(2)

エガオが笑う時 第5話 凶獣病(2)

 王国と帝国の騎士崩れが手を組む?
「そんなことあり得るのですか?」
 敵対し、命を取り合う姿は想像できても手に手を取り合う姿なんて想像も出来ない。
 私は、疑問を口にしつつも実際にその現場を目撃している。
 マナを連れ去る王国の騎士崩れを帝国の魔法騎士が助けに現れる姿を。
「私達も今だに半信半疑だよ」
 そう言ってグリフィン卿はソファの背もたれに寄りかかり、両腕を組む。
「怪しいと思われ出したの

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エガオが笑う時 第5話 凶獣病(1)

エガオが笑う時 第5話 凶獣病(1)

 久々に訪れたメドレーの宿舎は、酷く黴臭かった。
 酷くゴミが散乱しているとか、掃除が行き届いていないとか、湿気が多いとかそう言う理由ではなく、この建物自体が体臭のようにその臭いを発していると言うのが正しい。
 私は、漆喰が塗られた壁を触る。
 冷たくもなんともないただの壁。
 私が物心ついた時から何十回、何百回、何千回と触れてきた壁に触れても私の心には何も湧いてこない。
 それはこの宿舎を見た時

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エガオが笑う時 第4話 無敵(7)

エガオが笑う時 第4話 無敵(7)

 翌日、私は、スーちゃんと一緒にマナの孤児院へと向かった。とっいっても食材調達の時とは違い、スーちゃんの背に跨るのではなく、スーちゃんの背にホールケーキの入った白い大きな箱を乗せ、私は彼女の隣を歩くと言う形だ。
 そうでないと運べないくらいケーキが大きいからだ。
 幅だけでもすーちゃんの腰を埋め尽くすくらいあり、高さも普通のケーキの倍のような気がする。
 本当に予算内なのかな?
 カゲロウは、お店

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エガオが笑う時 第3話 デート(6)

エガオが笑う時 第3話 デート(6)

 街道から女性の悲鳴が聞こえた。
「いいから寄越せ!」
 男の怒声が聞こえる。
 私とカゲロウは、声のした方を向くと高齢の女性が石畳に倒れ、身体の大きな男性がその前に立ち、血走った目で女性を睨みつけていた。その手には男には似つかわしくない白い肩掛けの鞄が握られていた。
 あの風体、無駄のない立ち姿、間違いなく正規の訓練を受けてきた騎士の佇まい・・。
 騎士崩れと言う言葉が私の頭を過ぎる。
「ババア

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