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「押さえ込まれた体制」での「ゼンデギ(Life)」から人格のアップロードの過渡期を学ぶ

<SF(50歩目)>
グレッグ・イーガンさんの作品から、「押さえ込まれた体制」でのインターネットの生かし方を考える。

ゼンデギ
グレッグ イーガン (著), 山岸 真 (翻訳)
早川書房

「50歩目」はハードSFの旗手、グレッグ・イーガンさんの作品。でも、読みやすい作品です。

グレッグ・イーガンさんは、SF者(モノ)の世界では「ハードSF」とされていて、好きな人にはたまらないが、難しい物理理論がとても多くて読了が困難な作家でもある。

でも、この作品はそんなに難しくなくイーガンさんの世界が味わえる。
舞台はイラン(まるで藤井太洋さんの「オービタル・クラウド」と同じ)で、体制による強固な締め付けあり。

そこで、「精神をデジタルにアップロード」が可能な近未来を描く。
生物学・医学が精神にかかわるデータの読みとりを可能としたら、あとはストレージの問題。

ストレージは間違いなく、どんどん大容量化して、高速化するだろう。
すると、この作品の様にイランからでも次の一歩にいく人がいる。

この過渡期を設定している。倫理的・宗教的な問題や、社会文化の慣習の問題もあり。技術以上に、突破しないといけない壁は多い。

私は、いきなり脳の全ての情報をデータとしてアップロードする(これが最終的な人類の目標)の手前の試行検証が長くかかるだろうと考えているためか、イーガンさんが出された「統計的な脳モデル(汎用型)」に対して、それぞれの人間のふるまいを抽出して「統計的な脳モデル」を調整していくというのは現実感ありました。
※過渡期に行われるだろうことについて、極めてリアル。

この過渡期に起こりえる問題が列挙されていることは興味深いが、この「先」の世界を考える契機になる作品。

またイランの状況がリアルです。少なくとも、インターネット等ではあまり出てこないイランのテヘランでは、ロシアのモスクワの様に若者が一所懸命に研究開発しているのを見てきました。

両国ともに、「リソース(資源)」を大地に埋まっているもの(鉱物資源)と考えがちなところが、彼等の研究開発の歩みを遅らせている。

「リソース(資源)」を人材と考えると、一気に面白い研究が進み、新たな考えでのサービスや製品が発信されると感じています。

その意味で、ロシアもイランもテクノロジーの世界で注目すべき地域。そこを舞台にするSF作品はオモシロいと思います。

父親の「愛(love)」もすごいのです!と言える作品に仕上がっています。

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