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ガガーリンさんから学ぶ「ロシアの星」

<文学(46歩目)>
ロシアの星と言えば、ユーリー・ガガーリン。等身大のガガーリンさんから、私たちは何が学べるのか。

ロシアの星
アンヌ=マリー・ルヴォル (著), 河野 万里子 (翻訳)
集英社

「46歩目」はユーリー・ガガーリンさんの宇宙への取組みとその後を丹念に切り取っている。ここから見えるのは「地球は青かった」(この言葉は作られた伝説らしい)ではなく、「ガガーリンさんも切れば血が出る人間だった」ことです。

英雄は、アイドルと同じです。

英雄の周囲にいる人はわずか。だからこそ、光り輝く。そして短命だと「レジェンド」になる。

まさに、ユーリー・ガガーリンは彗星のごとくあらわれ、そして僅か7年で星になった「レジェンド」です。

それ故に、ながらく人となりを語ることはタブーでした。
それが、旧ソ連崩壊(1991)を経ても語られなかった英雄が、今世紀になって自由に語られるようになった。

統制厳しい国家を継続しているロシアでも同様で、私が大好きなペレーヴィンさんのYouTubeチャンネルでも等身大のユーリー・ガガーリンさんが議論のテーマにもなっている。

その様な中で、フランスのジャーナリストのアンヌ=マリー・ルヴォルさんのこの作品はおもしろい。

取材先の多くの方々から集めた膨大なデータが、かかわる多くの人の口から語られ展開している。

特に目を見張ったのは、ユーリーのファンが高じて、ガガーリン家の運転手になったレニングラード(現:サンクトペテルブルク)のニコライさんの見たガガーリン像が秀逸。

よくここまで取材できた!と感じた。

激烈な競争を勝ち抜き、人類最初の有人宇宙飛行を成功させるチャンスを掴んだ。

その後は、「英雄」としてスケジュールをこなした。でも、やはり、「英雄」も感受性豊かな若者だった(アタリマエかも)。

恋もすれば、むしゃくしゃすれば酔っ払う。「英雄」を利用してのアバンチュールもこなし、でも若い夢とのバランスが失調していく。
ここに悲劇があった。

翻って、アスリートも、あるいはアーティストも「旬」な時代がある。
それを超えて、老いることにより「英雄」あるいは「アイドル」はどんどん色あせていく。

しかし、同じ人間で「切れば血が出る普通の若者」。
そんな「しくじり」含めて、愛してあげよう!と感じました。

アスリートと異なり、アーティストには引退がないからピークではない時の姿を沢山見れる。

人を愛するって、全てを受け入れてあげることなんだな!と思いました。
ガガーリンさんや、フレディは早逝してしまったから「レジェンド」なのですが、長生きしたヒーローも愛してあげないと!と思う次第です。

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