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2023年7月の記事一覧

マーガレット

花瓶にさした
一輪のマーガレット
直ぐに萎れて
枯れて逝くだろう
だから美しい
僕はそう思うんだ
過ぎ去りし日々の中
誰も彼もが
無敵ではいられない
そんな気がした
何となく
そんな気がしたのさ

甘露な毒を

怠慢な社会で
甘露な毒を飲む
うだつの上がらない
平社員は
少しずつ変わって逝く
急に体を鍛え
裏で銃を手に入れ
その日に備える
会社の上司を
皆殺しにする日の為に
カレンダーに
印を付けながら
暗い部屋で
孤独にほほ笑む
テレビの中に咲いた
サルビアに向けて

左利きの医師は鉄の羊の夢を見ない

白衣を着込んだ
左利きの医師は
鉄の羊の夢を見ない
そんな話をしていた
あいつは死んだ
とても凍れる冬の夜に
外は月が朧気に
唯々輝いていたんだ
俺達は何となくだけど
気が合ったんだ
好きな単車や
ロックンロールの話で
偶に盛り上がった
深くは知らなかったけど
それで良かったんだ
だけどあいつは死んだ
とても凍れる冬の夜に
無残な骸を晒して

貴方を思い出す夜

貴方を思い出す夜は
何時だって孤独に満ちて
何かを忘れてしまう
貴方を思い出す夜は
何時だって偽善に溢れ
何かを捨てて逝く
僅かな誉すら抱けない
私の手を引いて微笑む
貴方を思い出す夜に
私は自らの命を絶った
星の無い夜空を眺めて

モノクロの街を

モノクロの街を
歩く不良少年は
まだ恋を知らない
絡んで来たヤンキーを
地面へ殴り倒して
Z750FXに跨り
ミルクホールへ向かう
無敵の不良少年は
まだ支配を知らない
誰にも縛られずに
生きて行けると信じて
限界まで単車を飛ばす
美しい季節の中で

ご機嫌なブギィ

うだるような暑さの夜に
ご機嫌なブギィを
孤独をため込み向かう朝に
いかしてるブギィを
リズムに合わせて
さあ踊ろう愛しき人よ
私達は僅かな日々の中で
消えて逝くしかないのだから
この素晴らしい世界で
ご機嫌なブギィを

無垢な子供の様に

真夏の夢から
目覚めた子供は
母と父を探し
叫び喚き嘆く
その声は届かずに
彼は大人に為った
冷血な人として
生きてしまった
無垢な子供の様に
他人を傷つけて
日々笑い転げる
革張りの椅子から
滑り落ちる日まで

造られた世界

造られた世界で
細やかな夢を見る二人
祈りは天に届かず
遠く離れ離れに
造られた世界で
物を言えぬ子供達
言論は統制され
思考も統一される
皆が同じ意識の中で
効率だけを求められる
造られた世界は
誰かが作った
理想郷なのだから
社会が完全に壊れるまで
廻り続けるだろう
全てが幻想だとしても

微睡み

雨の木曜日に
踊る道化師
季節は微睡んで
大切な筈の
貴方を少し忘れた

魂が燃えている

定めと言う言葉を
信じない殺し屋
その言葉を肯定したなら
自分が殺した者の
運命すら操る事に為るから
生まれ死ぬ事こそが
本当の定めだと
彼は信じて疑わない
自分が殺される時が来ても
それを受け入れるだろう
魂が燃えている限り

上海ドリーマー

異国の地で
夢を追うならず者
命の価値が安い
上海で生きて逝く
真夜中に彷徨う
野良犬の様に
遠吠えはしない
どんなに空しくても

愛すべき人の不幸

有名な人が自殺して
知らない誰かが騒ぎ出す
皆不幸が好きだから
自分には関係ないから
憶測で物を言いながら
明日には違う不幸を探す
何かに疲れた表情で
何かに憑かれた顔をして

フェイクジャズタイム

偽りから生まれる
音もあるだろうと
言いながら笑う
孤高のジャズマスター
大金を積もうが
自分が気に入った時しか
彼は演奏をしない
それでも彼のステージを
一目見ようと客は殺到する
まるでジャンキーの様に
彼を求め続けては
次のステージを待ち続け
高額なチケットに手を伸ばす
まるで夢の中から抜け出せない
フェイクジャズタイムだ
生きている事以外は
全て幻なのだからと彼は囁く
高級な車の中で
冷たい

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仮初の恋

嘘を上手く絡ませて
仮初の恋をしよう
どうせ貴方も私も
本気では無いのだから
冷たい唇を重ねて
仮初の恋をしよう
直ぐに私と貴方は
離れてしまうのだから
燃え上がる事の無い
仮初の恋を