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2023年5月の記事一覧

ガーリー・オンライン

貴方の本当の
顔も名前も知らない
夜な夜なモニターで
貴方を眺めるだけ
心が砕けそうな夜も
絶望を抱いた朝も
光の入らない部屋で
貴方を眺めるだけ
私が知らないだけで
きっと沢山の人達が
同じ事をしてるのでしょう
癒されない體を震わせて

紛い物ですらない

偽物とすら言われず
紛い物ですらない
どうすれば良かったかすら
もう僕は分からないんだ
外野の嘴に差されて
気違いになってしまう前に
君に伝えたい事があったけど
きっと言葉は届かずに
僕は犯罪者になるのだろう
例え罰を望まなくとも

幾千もの涙が

悲し過ぎる日々に
幾千もの涙を
零す少女はもう
細やかな夢すら見ない
生きる事は何時だって
辛く苦しいのだから
私達は手を合わせ祈る
過去の偶像に向かい
願いなど叶わないと
知ってしまっても

見つめ合えたなら

貴方と
見つめ合えたなら
何もいらない
そんな言葉を
上手く吐けたなら
私は
きっと詐欺師にだって
為れたでしょうね
現実は
何も言えず
貴方は
知らない人の手を引いて
私の
元から去ってしまった
秋風の様に

冬の向日葵

冬が来る前に
枯れた向日葵を
眺めるならず者
アウトブルーズを
聞きながら
次の街を目指す
行く当てすら
探せないままで

不幸

願うのは何時も
他人の不幸
異国の空が
赤く燃えて
叫び声すら
掻き消える日々を
貴方は願い
今日も退屈な
日常を彷徨う
自分は幸福だと
信じ込んで

ラストダンス

爆撃された街で
ラストダンスを
踊るバシール
世界は混沌に満ちて
民は見えない何かに
怯えて生きてる
どうでも良いねと
権力者は笑う
高級な革張りの椅子に
腰掛けながら
残骸となった街で
ラストダンスを
踊るバシール
願いは叶わなくても
祈る事しか出来なくても

大切な物

大切な物など
何処にも無いと
貴方は笑う
幼子の様に
それは何時も
目に見えなくて
皆が見失い
気にせず生きて逝く
手に触れたなら
壊れてしまうよな
大切な物を
私は失くさずに
生きて行きたい
愚かだねと
貴方が嘲笑っても

浮付く風に

浮付く風に
吹かれて私は
変わってしまう
別人の様に
何処からか響く
声に背を押され
私は悲惨な
事件を起こす
声に出す事すら
悍ましい程の
浮付く風は
今も止まらず私を
操り続ける
壊れた機械の様に

最果て

最果ての
カーモーテルで
客を待つ
娼婦は
トリップダンスを
踊り続ける
二度と来ない
愛しき
危険な人を
今日も待つ
ガラスの瞳を
磨きながら

星を見る人

この世の端で
星を見る人は
人目をはばからずに
涙を流すだろう
もう帰れないと
分かっているから
何処に行っても
星を見る人は
迫害され続けて
涙を溜めるだろう
己は異邦人だと
知っているから

左目のジュリーは夢を見ない

夜に星が降っても
左目のジュリーは
夢を信じない
本当なんだよ
昼に誰かが泣いても
左目のジュリーは
夢を抱かない
どうしてだろうね
朝に花火が上がっても
左目のジュリーは
夢を見ない
悲し過ぎるから

パラダイス・シュガー

偽物のドクターマーチンを
履いて楽編へいこう
甘過ぎてとろける様な
罪も罰も存在しない
不浄の楽園に行こう
甘過ぎてむせ返る様な
名前を忘れたあの娘を連れて
許されざる楽園へ逝こう
退屈に耐え兼ねて
廃人に変わっちまっても

ナイーブ

傷付きやすい心を
隠して貴方は
今まで生きて来た
少しずつ壊れながら
ひび割れた精神を
元には戻せず
貴方は絶望する
素晴らしきこの世界で