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2022年11月の記事一覧

アムリィタ

機械の手錠に
繋がれた神は
近未来で作られた空を
眺めて終末を憂う
生き神を手元に
収めたと疑わない
浅はかな人類が
滅びへ向かう中で
最後に叫び狂う刹那
神は嘆き憂うだろう
全てを作り直そうと

揺れちまうのさ

多分まともな
心を持ってる筈の
コメンテーターは
昼間のニュースで
ありきたりの言葉を
今日も吐き続ける
時給15万辺りで
契約してるんだろう
枠から外れない限りは
その椅子に座れるぜ
揺れちまうのは
俺の體だけでいい
きっと上手くいく筈さ
俺は何処でも
揺れちまうのさ
退屈に耐えられねえから
何時だって揺れちまうのさ

黒い烏

何も出来ず
何にも為れず
骨すら残らない
そんな生き方
したくないんだ
黒い鳥で構わない
誰に嫌われても
全てに疎まれても
貴方が離れても
黒い烏で構わない
愛しいカナリアが
傍らにいてくれるなら
貴方だけに
この命を捧げよう

ホワイト

純白の心で
街を燃やすホワイト
全て炎に包まれ
ガソリンの匂いが
頸椎の隙間に
染みついて離れない
そんな素敵な夜は
二度と訪れないと
分かっていたよ
生まれ落ちる前からさ

マキリ隠し

荒砥石を
落として割る
ザアカイ
腰に隠した
マキリで
罪人の胸を
貫いて消えたよ
取溜の無い
未来へ

フリージア

孤独な街で壁に
話し掛ける眼鏡の男
見えない何かを眺めて
其れを手に入れてしまった
全てに罰を与える為
フリージアを胸に差し
破壊の限りを尽くすだろう
フリージアが咲き乱れるまで

死神と道化の不協和音

他人と合わせられない道化
仕事に疲れ切った死神
彼らは出会うだろうか
残酷なこの世界で
分かり合える魂を探しても
口だけのガラクタばかりだ
死神と道化の不協和音が
街中に延々と響き渡り
皆が知るのだろう美しい事を

ザ・ワンダー・オブ・ユー

背に睡蓮と髑髏の紋々を
背負う若者の夢は世界平和
今日も絡んで来た相手を
片手で地面へ殴り倒す
半端に生きてんじゃねえと
啖呵を切り街を練り歩く
刃物ではすられても
銃で弾かれても若者は
世界平和を夢想していた
純粋過ぎるその思考が
時に生き方を否定しても
若者は其れしか出来なかった
組長直々の特命を受けて
名前も知らない相手の命を
弾いて鬼火と囁かれようとも

スラップ・ヘブンリィ

でたらめな天国へと
誘う酔いどれた使徒は
天使だった頃を
もう思い出せやしない
酷く退屈で曖昧な話を
延々と聞かせる詐欺師の様に
手段を選べないのは
焼きが回っているからなのか
貴方がそれを望むなら
僕が真実を見せてあげよう
永遠を巡るならず者として

抱き締められたら

本当の事は何時も
上手く言葉に出来なくて
喉の奥で嘘に変わるの
どうしてでしょうね
情けない女だと
貴方は私を蔑んだりしない
時に酷く罵倒される
妄想を楽しんだりする私は
酷く安い女でしょう
背骨が軋むほど
抱き締められたら
もう貴方から離れられない
私は弱く醜い女だから
それを深く知ってしまった
口先の愛ではない何かを
貴方だけがそっと教えてくれた
どないしようも無い私に

煌めくパンクス

星が落ちる夜に
絡んで来た相手を
安全靴で地面へ蹴り倒す
煌めくパンクス
あいつは気違いだと
他人に揶揄されても
全く気にせずに
賑やかな街を闊歩する
ただ独りだけの自分を信じて

地獄で悪魔と口笛を

人の心を持たない者が
泣き叫ぶ民衆を撃ちまくる
星が落ちそうな夜に
延々と続く市街戦
せめてこの世の果てに
終わりがあると言うのなら
地獄で悪魔と口笛を
吹いて歩き回るのだろう
人の形をしている者は

束縛

如何でも良い筈の
言葉に束縛され
私は今日も退屈な
歌を歌い続ける
誰の為でも無く
空の引き出しを
何度も叩きながら
私は声を振り絞り歌う
なけなしの夜に

12体の怒れる人型

限り無く人に近づけた
12体の人型を作る博士
幾ら倫理がいかれていても
彼は研究を止めなかった
世に放つべきでは無いと
闇に葬られる前に
博士は彼らを完成させた
終末の日を始める為に
それが正しいか否か
歴史だけが決めるのだろう
世界が滅ばない限りは