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2021年4月の記事一覧

オーダースパンコール

スパンコールのスーツを
オーダーする左目のジュリー
銃とナイフを隠し持っても
気付かれない様にする為に
冷徹な街は今日も弱者を
暗闇へ誘い込んで消費する
神様はその手を1度切りさえ
差し伸べてくれないのだから

壊れた橋

酷く乾いた風が
吹き荒れる街中を
皆が歩いて逝く
表情を無くしてさ
壊れた橋を渡り
君は大人に為った
退屈なメロディを
奏でる人達の様な
僕は独りの部屋から
出れずに怯えている
生まれたての命が
必ずそうするように

if

心が擦り切れた
少年は何れ
もしもあの時と
過去を振り返る
それは誰にも
叶わない夢物語と
知らずにただ
真っすぐな程

ミルキー

甘いミルキー
舐めながら
歩く街は
とろけそうだ
皆何かに
怯えながら
会社へ向かい
社会に返還する
働き蜂みたいに

ルシファーズハンマー

夜の公道を黒く染める
ルシファーズハンマー
煌びやかな街を破壊して
延々と走り続ける
ガソリンが尽き果てても
止まる事すら叶わずに

憂鬱な道化師

高い金を払って
仕掛けを手に入れても
直ぐに飽きられて
また仕掛けを買う
憂鬱な道化師
他人の喜びは一瞬だと
気付いていたのに
如何してもそれを
手放せなかったんだ

鈍い痛み

朝から晩まで続く
鈍い痛みに悩まされ
壊れてしまいそう
差し伸べられる手は
何処か歪んで見え
僕は発狂してしまう
樹海に沈みながら

点灯

止まらないサイレンが
T型フォードに乗る二人を
追い掛け回しても
彼らは逃げ切るだろう
安い命が点灯し続け
罪を重ね続けるのだから
破滅へ向かうその瞬間まで

忘れられた街

帰る場所を探す
無実の子達は
生まれた場所すら
思い出せずに
忘れられた街を探し
孤独な夜を彷徨う
陽炎に抱かれて

本物の世界

歩き疲れた者は
果てを眺め絶望する
歩けない者は
己の體を自由に変える
何処にも無い
本物の世界で

片言の恋

不自由な人達が
高く声を上げても
銃声にかき消され
街に広がる静寂
僕は貴方と片言の
恋をしていた
見えない世界の果てで

ミラージュ

思い出の中に
閉じ込めた感傷
振り返っても
何もないと
僕は知ってしまう
年を積み重ねて

ディレイ

孤独な部屋に
鳴り響くギター
ディレイを通して
遅れる音すら
誰も気付かない
引き籠る僕らは
明日を信じられず
命を食い潰す
まるで蟻の様に

ニッキ

あの娘は何時も
ニッキの香りがした
遠い記憶が
埋もれても
心さえ崩れ
貴方を忘れても
僕は思い出すだろう
その香りだけは