マンション修繕memo

良識的なマンション住民が、コツコツ積み立てきた修繕積立金が無駄な工事に使われています。…

マンション修繕memo

良識的なマンション住民が、コツコツ積み立てきた修繕積立金が無駄な工事に使われています。建設関係の仕事に長年携わってきた者からみた「マンション修繕」について自由に書いていきます。当該マンション住民の方々には、コメント欄を解放しますので、ご自由に書き込んでください。

記事一覧

大規模修繕工事④~今後の方針

ここまで、大規模修繕工事の状況と問題点について述べた。これらの背景には「知らないと損をする」という「管理会社と管理組合との情報格差」の問題がある。さらに、管理会…

大規模修繕工事③~当該マンションはそもそも適用外

以前、管理組合の理事をやっていた時に、管理会社に「大規模修繕工事の周期を延長できないか?」と質問したところ、「特殊建築物定期調査にて、外壁改修工事から10年を超え…

大規模修繕工事②~12年周期説は事実でない

管理会社の説明により「大規模修繕工事」が「国交省により法で定められたこと」であるかのように理解している人がいるかもしれない。これについては法律などで定められた決…

大規模修繕工事①~現状で必要な状況ではない

「建物調査診断報告書 ① ~ 劣化問題なし」で述べたとおり、調査結果をみる限り「現状で大規模修繕工事が必要な状況ではない」と考えられる。一番悪い判定となった外壁に…

建物調査診断報告書 ③ ~ 調査は「第三者」で実施すべき

もちろん、管理会社にも言い分があるだろう。「工事ありき」は主観的なものであり、証拠を示すことはできない。このようなケースでどうするべきか?というと「外形的公正性…

建物調査診断報告書 ② ~ 調査は「工事ありき」の結果

報告書をよく読んだが「修繕が必要である技術的な根拠」は明確に示されていない。2019年にも、給水管の調査と交換工事の提案があった。管理会社に「技術的にどこに問題があ…

建物調査診断報告書 ① ~ 劣化問題なし

管理会社が作成した「建物調査診断報告書 2020.12」をじっくり読んだが、特に「問題となる建物の劣化」は見当たらなかった。外壁が一番悪い判定となっているが、タイルの浮…

マンションすまい・る債

「マンションすまい・る債」は、住宅金融支援機構(政府系)が発行する債券(10年満期)である。元本が保証されているうえに、1年以上経過すれば、解約時の手数料なしで利…

機械式駐車場の方針⑤~「合意形成」が一番難しい

さて、ここまで「機械式駐車場の問題点~フェイドアウト案」まで述べてきたが、ここから進めるには「以下に示す課題」と向き合う必要がある。 1)合意形成の問題:機械式駐…

機械式駐車場の方針④~「附置義務」の問題

一定規模以上のマンションには附置義務という、規模に応じて駐車場を設置しなければならない条例がある。この条例が大きな足かせとなって、駐車場が撤去できない事例もある…

機械式駐車場の方針③~「フェイドアウト」の提案

以上のように、機械式駐車場には多くの問題を抱えている。 さらに、多額の更新費を費やした「機械式駐車場」は、最終的に撤去費がかかる上にリセール価値がゼロである。例…

機械式駐車場の方針②~ こんなに多い「現状での問題点」

当該マンションでは、現状においても既に以下のような問題がある。このため、外部の駐車場を借りている居住者もいる。 1)過去に水没している(水没1回,水没未遂2回) 2…

機械式駐車場の方針①~ 機械式駐車場は「金食い虫」

機械式駐車場の維持には「莫大なコスト」が発生する。以前(18期)、そのコスト(更新費+修繕・維持管理費)を管理会社の修繕計画を元に算定したところ、今後30年間で約9300万…

大規模修繕工事④~今後の方針

ここまで、大規模修繕工事の状況と問題点について述べた。これらの背景には「知らないと損をする」という「管理会社と管理組合との情報格差」の問題がある。さらに、管理会社が提案してきた大規模修繕工事の項目は、施工性の良い安直な工事であるという印象であった。今後は、コンサルタント等の第三者の助言を得て、効率性・経済性を追求した「大規模修繕工事の方針」を決めたいと思う。マンション住民がコツコツ積立てた修繕積立

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大規模修繕工事③~当該マンションはそもそも適用外

以前、管理組合の理事をやっていた時に、管理会社に「大規模修繕工事の周期を延長できないか?」と質問したところ、「特殊建築物定期調査にて、外壁改修工事から10年を超えている場合は、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要があります」との回答があった。ここで言う「特殊建築物とは何か?」を調べてみたところ、以下のような内容がN市ホームページにあった。

  N市の特定建築物 共同住宅
   A(延床面積の合

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大規模修繕工事②~12年周期説は事実でない

管理会社の説明により「大規模修繕工事」が「国交省により法で定められたこと」であるかのように理解している人がいるかもしれない。これについては法律などで定められた決まりではなく「大規模修繕工事を実施しなくても特に問題ない」と言える。

この件については、以下のような過去記事があったので抜粋する。
マンション大規模修繕工事は「12年周期」が決まりという誤解 ダイヤモンド 2018.04.27 
※抜粋:

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大規模修繕工事①~現状で必要な状況ではない

「建物調査診断報告書 ① ~ 劣化問題なし」で述べたとおり、調査結果をみる限り「現状で大規模修繕工事が必要な状況ではない」と考えられる。一番悪い判定となった外壁においても「タイルの浮きは僅か0.7%」であった。管理会社の報告書では、これを全面足場を組んで張り替える修繕計画となっている。また、劣化の少ない「廊下長尺シートの貼り替えや壁面塗装の塗り替え等」が提案され、総額6000万円の工事費が計上され

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建物調査診断報告書 ③ ~ 調査は「第三者」で実施すべき

もちろん、管理会社にも言い分があるだろう。「工事ありき」は主観的なものであり、証拠を示すことはできない。このようなケースでどうするべきか?というと「外形的公正性」を確保すべきと考える。「外形的公正性」とは、恣意的に行われていると疑念を生じさせることのない(公正性)、手続きを経ること。つまり、過去記事にあるように「調査はしがらみのない第三者」で実施すべきということ。管理会社の調査費用は、調査項目の割

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建物調査診断報告書 ② ~ 調査は「工事ありき」の結果

報告書をよく読んだが「修繕が必要である技術的な根拠」は明確に示されていない。2019年にも、給水管の調査と交換工事の提案があった。管理会社に「技術的にどこに問題があるのか?」聞いたが、明確な回答が得られず、その工事は却下された。これらの調査では、調査結果がどうであろうと「工事ありき」の結果でまとめられていると思われる。

この件については、ダイヤモンド(2018.04.27)に以下のような過去記事

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建物調査診断報告書 ① ~ 劣化問題なし

管理会社が作成した「建物調査診断報告書 2020.12」をじっくり読んだが、特に「問題となる建物の劣化」は見当たらなかった。外壁が一番悪い判定となっているが、タイルの浮きは0.7%、ひび割れは2㎜/㎡である。外観を目視しても、特に目立った劣化は見当たらない。

ところが報告書では「足場が必要な大規模修繕工事は2~3年後を目処に実施することを勧める」となっており、修繕計画が立てられていた。よく読んだ

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マンションすまい・る債

「マンションすまい・る債」は、住宅金融支援機構(政府系)が発行する債券(10年満期)である。元本が保証されているうえに、1年以上経過すれば、解約時の手数料なしで利息まで付けて返金してくれる。管理組合にとっては、有利で安全な金融商品といえる。昨年の総会にて、多額の普通預金残高の問題点を指摘したが、これらの比較を以下に示す。

すまい・る債 ==> 利息:0.208% 格付け:AA+( R&I)~A+

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機械式駐車場の方針⑤~「合意形成」が一番難しい

さて、ここまで「機械式駐車場の問題点~フェイドアウト案」まで述べてきたが、ここから進めるには「以下に示す課題」と向き合う必要がある。

1)合意形成の問題:機械式駐車場の撤去は、共用部分の形状または効用の大きな変更になる。このため、特別決議(組合員総数及び議決権総数の4分の3以上の賛成)が必要となる。
2)残りの車両の移動先の問題:現状で平置きに駐車できる台数が限られている。

合意形成の件につい

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機械式駐車場の方針④~「附置義務」の問題

一定規模以上のマンションには附置義務という、規模に応じて駐車場を設置しなければならない条例がある。この条例が大きな足かせとなって、駐車場が撤去できない事例もある。実情と合わない「条例による駐車台数」により駐車場の合理化が進まず、マンション管理が困難になっているケースもあるとのこと。(そもそも、1日1個のペースで増え続ける日本の規制には、無駄なモノが多過ぎるのだ)
※参照:マンション「駐車場ガラ空き

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機械式駐車場の方針③~「フェイドアウト」の提案

以上のように、機械式駐車場には多くの問題を抱えている。
さらに、多額の更新費を費やした「機械式駐車場」は、最終的に撤去費がかかる上にリセール価値がゼロである。例えば、土地を購入して駐車場にした場合、将来、土地をリセール(再販)すれば購入費の一部が戻ってくる。
このまま「機械式駐車場を更新」すると、巨額な負債だけ残ることになる。つまり、将来的に「機械式駐車場は不良資産化するリスク」が極めて大きい筋悪

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機械式駐車場の方針②~ こんなに多い「現状での問題点」

当該マンションでは、現状においても既に以下のような問題がある。このため、外部の駐車場を借りている居住者もいる。

1)過去に水没している(水没1回,水没未遂2回)
2)2段、3段の天井が低く、ワンボックスが入らない
3)3段目の出し入れに時間がかかる(約4分+約4分)
4)故障した際、車の出し入れができなくなる(過去数度発生)
4)メンテナンス履歴をたどると、メカに欠陥がある
5)進入防止柵の設置

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機械式駐車場の方針①~ 機械式駐車場は「金食い虫」

機械式駐車場の維持には「莫大なコスト」が発生する。以前(18期)、そのコスト(更新費+修繕・維持管理費)を管理会社の修繕計画を元に算定したところ、今後30年間で約9300万円のコストになった。機械式駐車場は大規模修繕工事と並ぶ修繕費を食いつぶす「金食い虫」である。最近、この問題は、複数の経済誌でも取り上げられている。経済誌の内容をまとめると以下のようになる。

1)機械式駐車場の「莫大な維持費」は

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