マンション修繕memo

良識的なマンション住民が、コツコツ積み立てきた修繕積立金が無駄な工事に使われています。…

マンション修繕memo

良識的なマンション住民が、コツコツ積み立てきた修繕積立金が無駄な工事に使われています。建設関係の仕事に長年携わってきた者からみた「マンション修繕」について自由に書いていきます。当該マンション住民の方々には、コメント欄を解放しますので、ご自由に書き込んでください。

最近の記事

大規模修繕工事④~今後の方針

ここまで、大規模修繕工事の状況と問題点について述べた。これらの背景には「知らないと損をする」という「管理会社と管理組合との情報格差」の問題がある。さらに、管理会社が提案してきた大規模修繕工事の項目は、施工性の良い安直な工事であるという印象であった。今後は、コンサルタント等の第三者の助言を得て、効率性・経済性を追求した「大規模修繕工事の方針」を決めたいと思う。マンション住民がコツコツ積立てた修繕積立金を無駄な工事に浪費できない。 第三者機関への検討依頼項目(案)  1)大規模

    • 大規模修繕工事③~当該マンションはそもそも適用外

      以前、管理組合の理事をやっていた時に、管理会社に「大規模修繕工事の周期を延長できないか?」と質問したところ、「特殊建築物定期調査にて、外壁改修工事から10年を超えている場合は、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要があります」との回答があった。ここで言う「特殊建築物とは何か?」を調べてみたところ、以下のような内容がN市ホームページにあった。   N市の特定建築物 共同住宅    A(延床面積の合計) > 200㎡ かつ    A(延床面積の合計) > 100㎡(Aは6F以上

      • 大規模修繕工事②~12年周期説は事実でない

        管理会社の説明により「大規模修繕工事」が「国交省により法で定められたこと」であるかのように理解している人がいるかもしれない。これについては法律などで定められた決まりではなく「大規模修繕工事を実施しなくても特に問題ない」と言える。 この件については、以下のような過去記事があったので抜粋する。 マンション大規模修繕工事は「12年周期」が決まりという誤解 ダイヤモンド 2018.04.27  ※抜粋:あなたのマンションの長期修繕計画では、大規模修繕工事の周期を何年と設定されている

        • 大規模修繕工事①~現状で必要な状況ではない

          「建物調査診断報告書 ① ~ 劣化問題なし」で述べたとおり、調査結果をみる限り「現状で大規模修繕工事が必要な状況ではない」と考えられる。一番悪い判定となった外壁においても「タイルの浮きは僅か0.7%」であった。管理会社の報告書では、これを全面足場を組んで張り替える修繕計画となっている。また、劣化の少ない「廊下長尺シートの貼り替えや壁面塗装の塗り替え等」が提案され、総額6000万円の工事費が計上されていた。これらの「僅かな建物の劣化」に対して多額の修繕工事費を費やすのは「コスパ

        大規模修繕工事④~今後の方針

          建物調査診断報告書 ③ ~ 調査は「第三者」で実施すべき

          もちろん、管理会社にも言い分があるだろう。「工事ありき」は主観的なものであり、証拠を示すことはできない。このようなケースでどうするべきか?というと「外形的公正性」を確保すべきと考える。「外形的公正性」とは、恣意的に行われていると疑念を生じさせることのない(公正性)、手続きを経ること。つまり、過去記事にあるように「調査はしがらみのない第三者」で実施すべきということ。管理会社の調査費用は、調査項目の割に比較的安価に抑えられていると考えられる。第三者の調査は、費用と手続きの面で敷居

          建物調査診断報告書 ③ ~ 調査は「第三者」で実施すべき

          建物調査診断報告書 ② ~ 調査は「工事ありき」の結果

          報告書をよく読んだが「修繕が必要である技術的な根拠」は明確に示されていない。2019年にも、給水管の調査と交換工事の提案があった。管理会社に「技術的にどこに問題があるのか?」聞いたが、明確な回答が得られず、その工事は却下された。これらの調査では、調査結果がどうであろうと「工事ありき」の結果でまとめられていると思われる。 この件については、ダイヤモンド(2018.04.27)に以下のような過去記事があったので抜粋する。 ※抜粋:工事をしたくてうずうずしている管理会社や関連会社

          建物調査診断報告書 ② ~ 調査は「工事ありき」の結果

          建物調査診断報告書 ① ~ 劣化問題なし

          管理会社が作成した「建物調査診断報告書 2020.12」をじっくり読んだが、特に「問題となる建物の劣化」は見当たらなかった。外壁が一番悪い判定となっているが、タイルの浮きは0.7%、ひび割れは2㎜/㎡である。外観を目視しても、特に目立った劣化は見当たらない。 ところが報告書では「足場が必要な大規模修繕工事は2~3年後を目処に実施することを勧める」となっており、修繕計画が立てられていた。よく読んだが「修繕が必要である技術的な根拠」は明確に示されていない。 今の状態で6000

          建物調査診断報告書 ① ~ 劣化問題なし

          マンションすまい・る債

          「マンションすまい・る債」は、住宅金融支援機構(政府系)が発行する債券(10年満期)である。元本が保証されているうえに、1年以上経過すれば、解約時の手数料なしで利息まで付けて返金してくれる。管理組合にとっては、有利で安全な金融商品といえる。昨年の総会にて、多額の普通預金残高の問題点を指摘したが、これらの比較を以下に示す。 すまい・る債 ==> 利息:0.208% 格付け:AA+( R&I)~A+(S&P) 元本保証 M銀行(普通) ==> 利息:0.001% 格付け:AA-

          マンションすまい・る債

          機械式駐車場の方針⑤~「合意形成」が一番難しい

          さて、ここまで「機械式駐車場の問題点~フェイドアウト案」まで述べてきたが、ここから進めるには「以下に示す課題」と向き合う必要がある。 1)合意形成の問題:機械式駐車場の撤去は、共用部分の形状または効用の大きな変更になる。このため、特別決議(組合員総数及び議決権総数の4分の3以上の賛成)が必要となる。 2)残りの車両の移動先の問題:現状で平置きに駐車できる台数が限られている。 合意形成の件については、以下のような過去記事があったので抜粋する。 知られざる地雷、「マンションの

          機械式駐車場の方針⑤~「合意形成」が一番難しい

          機械式駐車場の方針④~「附置義務」の問題

          一定規模以上のマンションには附置義務という、規模に応じて駐車場を設置しなければならない条例がある。この条例が大きな足かせとなって、駐車場が撤去できない事例もある。実情と合わない「条例による駐車台数」により駐車場の合理化が進まず、マンション管理が困難になっているケースもあるとのこと。(そもそも、1日1個のペースで増え続ける日本の規制には、無駄なモノが多過ぎるのだ) ※参照:マンション「駐車場ガラ空き」問題の解決を阻む時代遅れの制度とは ダイヤモンド 2019.12.26  ht

          機械式駐車場の方針④~「附置義務」の問題

          機械式駐車場の方針③~「フェイドアウト」の提案

          以上のように、機械式駐車場には多くの問題を抱えている。 さらに、多額の更新費を費やした「機械式駐車場」は、最終的に撤去費がかかる上にリセール価値がゼロである。例えば、土地を購入して駐車場にした場合、将来、土地をリセール(再販)すれば購入費の一部が戻ってくる。 このまま「機械式駐車場を更新」すると、巨額な負債だけ残ることになる。つまり、将来的に「機械式駐車場は不良資産化するリスク」が極めて大きい筋悪案件なのだ。 不良資産化問題の対策として、18期では「機械式駐車場のフェイドア

          機械式駐車場の方針③~「フェイドアウト」の提案

          機械式駐車場の方針②~ こんなに多い「現状での問題点」

          当該マンションでは、現状においても既に以下のような問題がある。このため、外部の駐車場を借りている居住者もいる。 1)過去に水没している(水没1回,水没未遂2回) 2)2段、3段の天井が低く、ワンボックスが入らない 3)3段目の出し入れに時間がかかる(約4分+約4分) 4)故障した際、車の出し入れができなくなる(過去数度発生) 4)メンテナンス履歴をたどると、メカに欠陥がある 5)進入防止柵の設置問題が度々取り上げられる 6)駐車場の空きが多い(地下部駐車台数:8台/18台)

          機械式駐車場の方針②~ こんなに多い「現状での問題点」

          機械式駐車場の方針①~ 機械式駐車場は「金食い虫」

          機械式駐車場の維持には「莫大なコスト」が発生する。以前(18期)、そのコスト(更新費+修繕・維持管理費)を管理会社の修繕計画を元に算定したところ、今後30年間で約9300万円のコストになった。機械式駐車場は大規模修繕工事と並ぶ修繕費を食いつぶす「金食い虫」である。最近、この問題は、複数の経済誌でも取り上げられている。経済誌の内容をまとめると以下のようになる。 1)機械式駐車場の「莫大な維持費」は修繕積立金を食いつぶす。 2)駐車場の「空き」があるマンションはさらに厳しくなる

          機械式駐車場の方針①~ 機械式駐車場は「金食い虫」