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俳句 短歌

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2024-08-18 誕生日20集連作

2024-08-18 誕生日20集連作

特別さなくなっていく青空の下で腐ってしまうお盆のカレー

『今月の誕生日の子』に並ばない8月生まれ蝉も死んだか

これからは絶望感の勢力が勝っていく我の影濃く

足掻く気もなくなってきた夜夜中まだ産まれてはいない気がする

真っ白な家をペンキで塗りましょう あなたを思い出さないように

大学を非常口から立ち去ってビッグになれないままのニンゲン

一年をかけておんなじ場所にいる解放計画断念直前

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短歌『8月18日は私の日』

短歌『8月18日は私の日』

零時過ぎ我が誕生を主張せずただドキドキと眠る日よ

目が覚めて尿意が重くのしかかる トイレに来ても猫が来ない

「プレゼント何が欲しいの?」愛と勇気と就活せずにいられる身分

猫の吐瀉物片付ける 睡眠を中断しても蝉の声が近い

欲しいものも行きたい場所もない夏を不幸ではなく生きがいと捉え

20超えただの人になり何も出来ない自分すら肯定できるようになれ

もう夏も終わりそうだと囁かれ誕生の喜びより

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私の世界とチューニングが合わない人がいてもいい

私の世界とチューニングが合わない人がいてもいい

今日は現代詩演習という短歌の授業で合評が行われた。

これは、匿名の短歌に赤と白の軍団に別れて半分は褒めて、半分はdisるという歌合スタイルだ。
私が今回『学校』というお題で出したのはこれだ。

写真詩集秋『蛇行する夕焼け』にも掲載したものだ。

歌合であるから、2つの短歌からどちらが良かったかを多数決で決める。(本来のルールとは違うけれど)

私には私のライバルの短歌は全然良くないように見えた。

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写真詩『ここにいて、明日に繋げて』

写真詩『ここにいて、明日に繋げて』



冬に慣れるとは、太陽の暖かさに気づくということ。
曇りの美しさは、光を思うこと。
雪の音は、体温があるとわかること。
きっといつか気づかなくなる。
何もわからなくなって見えなくなる。
その日までは、このなんてことの無い自分というものを嘲笑わないで暮らせたらいいな。
私以外は誰も知らない。
そんな私は今日も雨に打たれて、輪郭を得る。