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西部忠編『福祉+α 3 地域通貨』ミネルヴァ書房、2013 西部忠「地域通貨とはなにか――統合型コミュニケーション・メディア」pp.1-21
地域通貨が関連する学問領域は経済学や社会学をはじめとして、極めて多方面にわたっている。それは、地域通貨が解決しようとする問題が多面的であるだけでなく、地域通貨の性質が多義的であるためである。したがって、地域通貨は学際的な研究対象になりやすい一方で、既成の学問分野の枠組みや方法によって理解することは難しい。本稿では、こうした地域通貨を捉えなおすために、まず経済に対する考え方を見直し、次いで地域通貨
もっとみる多辺田政弘「自由則と禁止則の経済学―市場・政府・そしてコモンズ」『循環の経済学―持続可能な社会の条件』学陽書房、1995 pp.49-146
経済学者ニコラス・ジョージェスク=レーゲンは、経済の過程もエントロピー増大則にしたがっており、閉鎖系である地球も最終的にはエントロピー最大の状態である熱的死に至るほかはないと考えていた1。しかし、玉野井芳郎は、地球は定常開放系であり、熱は大気と水の循環によって処理され、物質はさまざまに循環していくという物質循環論を唱えた。この物質循環論は、ジョージェスク=レーゲンのような悲観的観測ではなく、また
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