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本のはなし

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読書記録や、本をめぐるエッセイをまとめています。
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最近読んだ本たち(2024年4月分)

最近読んだ本たち(2024年4月分)

4月は出会いの月とよく言われるけれど、ほんとうにそうで。いろいろな方面で新しいつながりができてよかったなー、としみじみしている。

月の前半は娘たちが春休み、または午前中授業ということで、限られた時間内で仕事に追われた。それでも、ちょっとは本を読む時間を確保できた。よし!

残るは「エクササイズをしたあと眠くなってしまう問題」だ。「筋トレしてから本読もうっと」などと思っていると、睡魔に襲われて読め

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最近読んだ本たち(2024年2月3月分)

最近読んだ本たち(2024年2月3月分)

2月はのんびりするつもりが、結局なんだかんだであわただしく過ぎていった。とりあえず確定申告を無事終えられてほっ。

3月もあまり読めず(春休みだから?)。

1冊、どうにも合わなかった本があった。タイトル非公開のままレビューを書きたい。

『絶対悲観主義』 楠木建

2022年に読んだものを、もう一度読んだ。ちゃめっ気とユーモアが見え隠れする文章がとても好きだ。

「心配するな、きっとうまくいかな

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最近読んだ本たち(2024年1月)

最近読んだ本たち(2024年1月)

1月は怒涛の月。なぜか毎年そうなる。いろいろな人が、新年の抱負とともにスタートダッシュを決める時期だからだろうか。とくに抱負を立てない意識低い系としては、ちょっと気おくれしてしまって、まごつく。そして、雑務がたまっていくのだ。

2024年1月の4冊『これが生活なのかしらん』 小原晩

これめっちゃおもしろいよ、と友人に貸し出していたのが、戻ってきたばかり。いや、おもしろいという表現は不適切かもし

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最近読んだ本たち(気ばかり走った12月分)

最近読んだ本たち(気ばかり走った12月分)

年が明けた。時が過ぎるのは早すぎるといつもぼやいている私は、年末が近づいた頃からへんに開き直ってしまっていた。「まあ、もうすぐ2024年になっちゃうよ。しゃーない」。そう思っていたので、年越しは落ち着いて迎えられた。よかった。

ただ、12月は忙しくて気が急いてしまい、あまり本が読めなかった。

『悲しみの秘儀』 若松英輔

悲しみにフォーカスしたエッセイ集。11月に義父を亡くして、ぼんやりとした

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最近読んだ本たち(ゆっくりさんな11月分)

最近読んだ本たち(ゆっくりさんな11月分)

時の流れは早いと毎月書いていて、自分で嫌になる。悲しいくらい同じことを書いている。けれど今月も書く。ほんと、早いよねえ。だって、11月もすごい勢いで過ぎていったから。

気持ちが上すべりする原因がたくさんあった。本を読んでいる場合じゃなかろう、との心の声もときどき響いた。それでも少しは読んだ。ときに読書は現実逃避のための手立てだ。そしてときに本は心を救う道具でもある。「いいなあ、本って」と思わされ

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最近読んだ本たち(秋をかみしめた10月分)

最近読んだ本たち(秋をかみしめた10月分)

もう11月。こわい。

……最近、こういうことしか言っていない気がする。先月も「もう10月だなんておそろしい」と書いていた。こわいのは時の流れじゃなくて自分の脳内だということにやっと気づいた。今年もあと2ヶ月、後悔のないよう突っ走る所存である。

『書く仕事がしたい』 佐藤友美

「読んでなかったんかーい!」とツッコまれそう(誰に……?)な、ライター界隈では有名な一冊。平易な言葉が連なる親しみやす

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最近読んだ本たち(バタバタ、でもまったりな9月分)

最近読んだ本たち(バタバタ、でもまったりな9月分)

なに、もう10月なの。やだこわい、なにそれ。

最近、そういうことばかり呟いている。だって、あと3ヶ月で今年が終わるなんて、どういうことなのか理解しがたい。理解したくない。

年始の抱負は立てない派の私でも、今年のお正月には「いい年にするぞ」なんて意気込んだ。

はたしていい年になっているのかどうか確信が持てないままに、10月。おそろしいことだと思う。月日って残酷だ。

『小津安二郎 老いの流儀』

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生きていく人たちの物語

生きていく人たちの物語

フォローさせていただいている菅野浩二(ライター&編集者)さんによる短編小説集『すべて失われる者たち』が出版された。

以前から、noteに執筆されていた短編小説たちを拝読していた。

重苦しい描写があれば胸がぎゅうっと縮こまるように感じるし、やりきれない心情を描いた場面ではため息が出てしまう。いい意味で心に波を立てる文体と表現にいつも「ああ、筆力ってこれなんだ」と思っていた。

今回出版された『す

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最近読んだ本たち(駆け抜けた8月分)

最近読んだ本たち(駆け抜けた8月分)

8月はあれこれ立てこんでいて、忙しかった。夏休みがあったので、娘たちの昼食をつくり、遊びにも参加し、もちろん仕事もした。

終えてみると、駆け抜けた感じ、達成感が大きい。一つの山を越えては「なんとかなるもんだ」と、息をつく。そんなことを繰り返して、ここまできた気がする。

『旅をする木』 星野道夫

写真家としてアラスカで暮らした、星野道夫のエッセイ集。

アラスカの州都・ジュノーや、オーロラの町

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最近読んだ本たち(見返り美人な7月分)

最近読んだ本たち(見返り美人な7月分)

7月はわりと有意義に過ごせた気がする。仕事も子育ても、勉強も。

「あんた、ちょっといいひと月だったでしょう」と振り返ってにやりと笑ういい女みたいな、そんな月。なかなかの見返り美人でいらっしゃった。

『欲望の見つけ方』 ルーク・バージス

発売当初から読みたかったのに、買おうとするたびに売り切れだった。やっと買えて、手もとにやってきてくれた。嬉しい。

「模倣の欲望」理論を提唱したルネ・ジラール

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女らしさについての雑感あれこれ

女らしさについての雑感あれこれ

ジェーン・スーさんと中野信子さんの『女らしさは誰のため?』を読んだ。

女性性やジェンダーについて論じる書籍は数あれど、これはカジュアルな対談形式で「女らしさ」を扱っているところがとても意義深いと思う。いまいち納得感を得られない項もあれば、「あー、それ! それよ!」とページに向かって叫びたくなる箇所もある。女子会に参加しているノリで「女らしさ」について考えられる。

とくに、社会から求められる「女

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小さい川さんから世界は開く

小さい川さんから世界は開く

双子の娘たち(5歳)が夢中になっている本、それは『長くつ下のピッピ』と『ルドルフとイッパイアッテナ』。

しばらく前に「もう絵本読んでくれなくていいからね!」と言われたものの、寝る前には少しくらい読み聞かせる。

次女は『長くつ下のピッピ』の主人公・ピッピのおてんばぶりに一目惚れ(一耳惚れ?)で、私がひとつの章を読み終えるまで決して眠りに落ちない。

どちらも小学生向けの本なので、文章のなかにちょ

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最近読んだ本たち(走り去った6月分)

最近読んだ本たち(走り去った6月分)

6月はいきなり台風による大雨に見舞われた、気がする。1か月も経つと記憶がおぼろげになるのが悲しい。

以前、5月は逃げていったと書いたけれど、6月は走りさっていった。手もとに一瞬たりともとどまらぬ時の流れ、どうにかならないものだろうか。

『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』 宮崎伸治

村井理子『本を読んだら散歩に行こう』のなかで紹介されていた一冊。もちろん私は出版翻訳家ではないけれど、読

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500円で手に入る、本まわりのしあわせ

500円で手に入る、本まわりのしあわせ

本を読むのが好きだ。

昨日までは片桐はいりさんの『わたしのマトカ』を読んでいた。各所で絶賛されていたので思わずぽちっとネット購入したのだけれど、噂に違わぬ素晴らしいエッセイ集だった。

映画撮影のためフィンランドで過ごした日々を綴ったもので、片桐さんならではのユーモアと茶目っ気が詰まっている。フィンランドに住む人々のあたたかな表情までも見えるように感じられる作品。

演技だけでなく、エッセイの才

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