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#超短編
絵のない絵本【青いココロ】(全話)
ココロは、まっさおな雪の朝に生まれました。
空みたいに深くて、太陽みたいに透き通った目をした女の子。でも、祝福にやってきた人たちは、「こんな赤ん坊は見たことがない」と顔をしかめました。
ココロは、少し歩けるようになると野原に飛び出しました。
本当に飛んでいたのです。
ココロの背中には翼が生えていました。
光の加減で灰色のようにも桃色のようにも見えました。
町の子ども達は、気味悪がって、ココロ
【忘れられない手紙】ショートストーリー@uminootoさん
ルカは、海を見ていました。
仕事帰りに、いつも道路から眺めているだけの海に寄ったのです。
昨日吹いた春の風で、海は荒々しく波しぶきを立てています。
仕事で責任者という名のスケープゴートになったルカ。社会人になって三年目、ようやく仕事を覚えたばかりのルカには重荷でした。
波をみていると、思い出が寄せたり、引いたりを繰り返していました。
どっどう どっどう
幼いルカは、母親とショッピングモ
ウミガメとぼく【超短編童話】
ぼくのかあさんは「物書き」だ。
いつもノートにボールペンで何かを書いている。
さらさらさら
ペンがノートの上を走る。
物語を書いているときのかあさんは夢中でまわりのことが見えなくなる。
だから、ぼくはペンの音が嫌いになった。
ペンの音がしなくなると、かあさんはドライブに出かける準備を始める。
そして、「ねえ、一緒に行く?」とぼくを誘う。
ぼくは、かあさんと行くドライブが好きだ。
テーブルに