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アート関係を必死に理解しようとしてレビューするマガジン

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#モダンアート

村上隆 もののけ 京都

村上隆 もののけ 京都

「村上隆の五百羅漢図展」(2015年)よりはこぢんまりとした印象。

よく知られている日本画のテーマやモチーフをスーパーフラットに解釈した作品群と、村上隆によく登場するキャラクターの現在形が展示されていた。そういう意味では、新作ではあるものの、どこかで観たことのある作品、ということになる。

これが現在の村上隆なのかもしれない。
つまり、ウォーホルは大衆文化のアイコンを大量に複製することでアートに

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奈良美智: The Beginning Place ここから@青森県立美術館 240102

奈良美智: The Beginning Place ここから@青森県立美術館 240102

青森県立美術館には「あおもり犬」と「森の子」があるので、今回の企画展では、建物全部で奈良美智美術館といってもいい印象を受けた。

展示自体は展示数自体は多すぎず少なすぎず、ちょうどよかった。
1,家
2.積層の時空
3.旅
4.No War
5.ロック喫茶「33 1/3」と小さな共同体

上記のテーマに沿って、1979年から2023年までの作品からチョイスされていた。
5つのテーマは奈良美智の作品

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「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」展

「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」展

火薬を使ったパフォーマンスで有名なアーティスト。展覧会で展示されているのは、火薬を使って作った絵画のような作品と、パフォーマンスの構想を描いた作品(企画書のようなものもあるが、ちゃんと火薬を使ってイメージを描いてあり、作品になっている)。

冒頭「火薬を使用したのは、若い自分が、社会的統制に対して反発心を持っていたからでもあるでしょう」と書かれていた。
彼はずっと日記を書いているようなので、この言

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デイヴィッド・ホックニー展

デイヴィッド・ホックニー展

これはすばらしかった。
デヴィッド・ホックニーという作家は、プールに飛び込んだ瞬間の絵が代表作なんでしょ、くらいでさほど好きでもなかった。ただ、こういう風に回顧展として作品に触れると、いろいろと見えてくるものがある。

ホックニーはイギリスのブラッドフォード出身のモダンアートの作家だ。若かりし頃にピカソの作品に出会い、大きな影響を受ける。
絵画を描くときの自由なスタンスというのを学んだのだと思う。

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ゲルハルト・リヒター展

ゲルハルト・リヒター展

「ゲルハルト・リヒター展」

なかなかおもしろかった。
情報は反復・模倣を繰り返すうちに劣化し、そこにこめられた感情は欠落していく。

とくによかったのは、今回の目玉である「ビルケナウ」。
アウシュビッツの隠し撮り写真を、リヒターが抽象画にしている。その向かい側の壁にその抽象画をプリントしたものが展示してある。それぞれの作品が展示してある横の壁は全面鏡になっている。つまり、0、現実のアウシュビッツ

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マックス・リヒター

マックス・リヒター

音楽家ではあるが、ぼくにとってはモダン・アートの作家に近い位置づけだ。
「近い」というのは、彼の活動が音楽に限られている(絵画や造形を発表していない)ため、モダン・アートの作家と呼ぶのをためらわれるというだけの理由であり、感覚的には「モダン・アートの作家」だ。

そう呼ぶ大きな理由は、ヴィヴァルディの四季を再構築した業績だ。これはモダン・アートの要素である過去を再編集しての新しい提案をしている。話

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