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「自己啓発」観(非学問的走り書き)
自己啓発、とは一体何なのか。その言葉の語感からして、本来的にその意味は「自己を啓蒙する」こと、「自らをより高い次元へと押し上げること」という意味に近接するのだろう。さて、その「高い次元」とはなんなのか。少なくとも全ての人にとってそれが、「出世」だとか「成功」に当てはまるものでもないのは当然のことだろう。大体の出世を求めない人、つまり私のような凡人にとって見れば、出世とは割に合わない給料と、食べられ
もっとみる論理哲学論考についてのまとめノートを書こうかと思ったのだが、論理哲学論考は論理哲学論考単体で成り立つような本であり、これ以上、私の浅い知識では語りうることも、加えることもない。論理哲学論考に書いてあることと、論理哲学論考に書かなかったことが、この本の全て、それだけでこれは完全だ。
イロニーとシニシズム(冷笑主義)との差異
はじめに
キルケゴール、ロマン主義における「イロニー」と、現代に特有の知的態度である「冷笑」とは現象、あるいは表層的に見て非常に類似している。しかしながら、特にロマン主義におけるそれ、すなわちロマン主義的イロニーと、現代的な冷笑主義とは、質的に非常に異なったものであり、なおかつその区分においてはイロニーとの対比ではなく、同じくCynicismの語で表される「キュニコス主義」との関係において語られ