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豚「骨」を食べる文化・沖縄

ー 竹富島で自分のちっぽけな常識は崩された。 ー


今年の2月、沖縄県の竹富島へ。


ワケあって一人旅をしてきた。

(大したワケは特にない。傷心旅行ではないし。)

竹富島に行ったのは、10日間の沖縄旅行の6日目のことだった。


まず東京から那覇まで飛行機に乗って。

そして那覇から石垣島までまた飛行機に乗って、

最後に石垣島から竹富島までフェリーに乗って、

やっとの事で上陸した。


ここまでして沖縄旅行の行程に半ば強引に竹富島を入れたのには理由があった。

バイト先の沖縄大好きな社員さんに、

「竹富島めっちゃいいよ。俺着いた瞬間涙出たよ。」

と教えてもらったからだ。


泣けるって相当だな?

そうして期待に胸を弾ませて私は竹富島行きを決めた。


竹富島には独特の空気が流れていた。

初めての沖縄旅行。

私は本島、石垣島、西表島、そして竹富島を訪ねた。

いろんな町を一度に見た私から言わせてもらうと、竹富島は沖縄の中で最も「沖縄らしさ」が色濃く現れている場所だった。


滞在時間はたったの半日だったけれど、思う存分味わい尽くした。



照りつける太陽

地面はアスファルトじゃないから優しく熱を吸収してくれる。

民家はどこも平屋建て

そういう決まりがあるとかないとか。

(人の話をあんまり聞かない悪い癖が、、)


道端にはハイビスカスをはじめとするトロピカルな花が咲き乱れている。

(道端クオリティじゃないよこれ。ジェシカもアンジェリカもびっくり。)


こういうところで育っていたらもうちょっと性格いい子に育っていたんだろうなあ。


でもここに住んだらこの景色たちが日常になってしまうんだよね。

なんかもったいない。

この光景に毎回感動していたいから、私はこれからも旅人のままでいいやと思った。


もともとこの日は島を歩きで回るつもりだった。

(前日に泊まったゲストハウスで話した人が、竹富島は歩きでも十分回れるよ〜と言っていたから。)


でも竹富島に着いた私を港で迎えてくれたのは、数えきれないほどのレンタサイクル屋さんの送迎バスたちだった。


そして一緒に船に乗っていた観光客の方々が、皆吸い込まれるようにして送迎バスに乗って行く。


私、焦る。


これ、レンタサイクルするものなのかな?

、、っぽいな。


流されやすいタイプの私、

秒で今日の行動計画をサイクリングモードにチェンジする。


バスに乗ってレンタサイクル屋さんに行き、マイ自転車をゲットする。


スイス〜イと漕いで、午前中のうちに名物の海を2つ見て回った。

これは星砂の浜

頑張って見つけて、写真を撮ろうとして手を開いた瞬間、舞い散った星砂。

別に泣かないもん。


ここら辺でまだ竹富島に行ったことのない方に向けて言っておくと、

この島、驚くほど小さい。

(だからサイクリングが盛んなわけなんだけど。)


それなのに、

冬なのに、!

観光客はめちゃくちゃいた。

でもこの島にお食事処は数えるほどしかない。

となると、、


「お昼ごはん、混む、よな、?」

という考えが必然的に浮かぶ。


しかも私がこの日行きたかったのは、島に1つしかないソーキそば屋さん。

(なんか人気ありそう。)


12時になる前に着いておこうと思った。


お店に到着すると、案の定、待っている人がたくさんいた。



私も名前を書いて木陰に入る。


しばらくしてカウンター席に通された。


メニューはいたってシンプル。

なはずなんだけど、

「八重山そば」

「三枚肉そば」

「ソーキそば」

と並んでいる。


いや、ここらへんの違いなんて知らないし、、


と思いつつも、一番トッピングの肉がゴツゴツしていた「ソーキそば」を頼んだ。


(今調べたら、ソーキは沖縄の骨つき肉のことだった。つまりスペアリブらしい。wikiより。)


ついでに「ジューシー」という沖縄風炊き込みご飯も頼む。

(この組み合わせ、ラーメンチャーハン的な感覚。普段こんなこと絶対しないのに、、旅先では欲張りなタイプなんです。)


きました!!

ソーキそばから食べる。


ずずっ


一口すすって、


「オキナワだーー!」って叫びたくなった。


優しいスープ

肉とは思えないほどほろほろのソーキ

もちもちとか狙ってないし、かっこつけてない、柔らかい麺


それをこのゆったりとした「島時間」の流れる中で食べている。

心地いい風が吹いていて、広い空はどこまでも青い。

ここは「沖縄らしさ」が残る島。


この味に出会えたのが東京の沖縄料理店とかじゃなくて、

竹富島でよかったと心の底から思った。


その土地の空気と、その土地の食が一体となって私の中に入っていく。


その時初めて私は「ソーキそば」を「ソーキそば」として食べられた気がする。



麺が伸びないようにスピード感を大切にしながら食べ進めていたその時だった。


私は食べてはいけないものを食べた気がした。


ソーキを食べていたらもちもちしたからだ。


もち、もち、、??


げ、、なんだそりゃ、、



目を凝らして見た。

何やら「得体の知れない透明なもの」を食べてしまったようだった。


脂っこくはないから、脂身とは違う。

肉ではないし、、


え、、じゃあ、ほ、骨??


骨ってこんなに透明になっちゃうの??


てか骨って食べちゃって大丈夫なやつ??


体に悪いこととか無いかな?

だって東京で普段食べていないってことは、それなりの理由があるからなんじゃない??

カルシウム多そうだからオッケー?

でも骨って硬いから消化されなそう、、私お腹壊さないよね??


(普段栄養学を学んでいるクラス底辺の私。頭の中で必死に教科書を開こうとする。)


頭上にクエスチョンマークが山積みになった私に気づいてくれたのか、お店のおばちゃんがカウンター席に座る私の目の前に来てくれた。


すかさず聞いてみた。

「この透明なのってなんですか?」


おばちゃんは聞かれ慣れているかのように答えてくれた。

「あ〜それ、軟骨だよ。食べられますよ。」


軟骨、、、か、、。


あ〜軟骨だったのか〜!

じゃあ食べてもなんくるないんですね〜〜!

うんうんなるほど!!

(根本的には理解できていないけど、とりあえず安心した人。)


「軟骨だから食べられる」という何かをすっ飛ばしている感じのこの理屈がよくわからない。

てか軟骨って何もの?

って思ったけど、

とりあえず食べ進めた。


今まで食べてこなかったものを食べてみるのには勇気がいる。


軟骨と知ってからも私は恐る恐る食べ進めた。

(てかむしろ、軟骨ってわかってからの方が恐る恐る食べていたような、、)


まあなんか体に良さそうだよね!

とか自分を安心させてみたりもした。


沖縄の食文化に触れた瞬間だった。


そういえば沖縄の人は豚の皮まで食べるらしい。

(耳の皮はミミガーという。私は聞いたことはあるけど食べたことはない。空港には豚の頭の皮も売っていた。普通にリアルな豚のお面だった。)


その土地で守られてきた食文化には、その土地の大切にしたいものがつまっているんだろうな。


沖縄の豚を丸ごと使う文化、私は好きだな。


旅行に行くと、

「今まで自分の見て来た世界は狭かったんだな」とよく思う。


自分の当たり前が壊されていく。

自分の中の常識が世界の常識ではないことを教えてもらう。


そのときの、自分が一回り大きくなる感じが好きだから、私は旅行が好きだ。


これからも日本中、世界中を旅して、

その土地の空気に触れて、その土地の食文化に触れて、

その土地が大切にしてきたものを直に見つめていきたい。


おまけ

牛車。これだけでも東京じゃありえない光景なんだよな〜〜

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