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自分の限界を超える力を発揮するための「目的」の持ち方

もうこれ以上、うまくなる気がしない、、、
つら過ぎて、もうついていけない、、、
ミスが多くなると、勝てる気がしなくなる、、
この人は強すぎて勝てないだろうな、、、

とかとか、練習中や試合中に自分の限界を感じたことってありませんか?

 いやー私は現役の時正直ありましたよ。周りには絶対言わないけど、なんとなく頭の中でそう思ってしまうことがありました。

 だから練習中こんな思いが続くと、やる気が出なくてだらだら練習してしまったり、、、試合中この思いが続くと、頑張ってるつもりでも全然力が湧いてこなくて、しょぼいプレーになってしまったり、、、

 「勝ちたい」「強くなりたい」って本気で思ってがんばっているんですけど、頭のどこかで「自分はこれくらいだろうな」とか考えてしまうことがありました。実際そういう時は、気合いで乗り越えて、「もっと上を目指さなきゃ」って考えてなんとかやってきたんですが、、、

 でも、なんと!現在では「自分がもう無理」って限界を感じた時に、そこからさらにパフォーマンスを上げるために効果的な「目的の持ち方」が科学的に明らかにされているんです!!!

 ありがたすぎる。しかもその目的を持つことで、『火事場のバカ力』を引き出すことや『燃え尽き症候群からの復活』にも効果があることが証明されています。

 ということでぜひ、「自分の限界」を超えるパフォーマンスを引き出したいという方にお伝えしたく!まとめてみました。特に参考にしたのが、ブラッド・スタルバーグ&スティーブ・マグネス著の「PEAK PERFORMANCE-最強の成長術です。

 この本では、アスリート(オリンピアン含む)、ビジネスマン、ミュージシャン、学者など、幅広い分野で好成績残す人が、何を実践しているのかその原則をわかりやすーく紹介してくれているので感動ものでした。私は正直「自分の限界を超える」ための考え方なんて、嘘くさく感じたんですけど、科学的根拠を元にしているから納得感が半端ないんです。さっそくご紹介させてください!


目的の力

まず、みなさんは競技やお仕事に向かう時どんな目的を持っているでしょうか。

ちなみに目的とは、『目指す姿、到達点、行動を方向づけるもの』で、モチベーションの源泉とも言えます。

私は「勝ちたい」「結果を出して周りから高く評価されたい」「負けたくない」「いい成績を上げて次のステージに行きたい」「達成感を味わいたい」とかでしたね、、、

で、ショックなことに、私のこんな目的が自分の限界を超えられない要因だそうです。

ガーン。え?なんで?

それは、これらが「自分のための目的」だからなんです。正確に言うと、「自分のための目的」ももちろん大事です。でもそれだけだと自分の限界を超えることは非常に難しくて、折れやすいことが明らかになっているんです。

 スポーツ、音楽、ビジネスなど幅広い分野で高い成績を残す人に共通しているのは、「自分のための目的」だけでなく「自分を超えた目的」を持っている、むしろ「自分のための目的」よりも「自分を超えた目的」を意識することによって、自分の中の最高のパフォーマンスを引き出したり、自分が限界と感じたところからさらに力が出せた経験を持っているんです。

で、「自分を超えた目的」ってなんだってところですよね。これはいろいろあるのですが整理するとこの3種類です。

①だれかのため
例:支えてくれる家族を喜ばせたい。指導してくれているコーチに勝って恩返しがしたい。一緒につらい練習を乗り越えてきた仲間に喜んでほしい。

②周囲のため
例:チームが優勝して歴史に名を残すためにがんばろう。どんな時も信じて応援してくれる人のために、結果を残したい。

③社会のため
例:これからラグビーを始める子供たちに、ラグビーの魅力を伝えたいから最高のプレーを見せて勝ちたい。災害で悲しい思いをしている地元の人を元気づけるために、良い成績を残したい。

 このように、自分の頑張りが誰かの役に立ったり、何かに貢献すると認識できるような目的が「自分を超えた目的」です。

 これらの目的を持つことは、「自分のための目的」だけを持っているよりも以下の効果があることが最新の研究で明らかにされているんです。

・恐怖、不安、脅威を克服する確率が高まる
・疲労を感じにくくなる
・つらいことを耐えやすくなる

びっくりびっくり。だからパフォーマンスが上がるんですね!


なぜ「自分を超えた目的」を持つと自分の限界が超えられるのか?

 私はその研究結果に納得しつつも「ほんとに自分の限界を超える」ほどのパフォーマンスが出るんか?と疑問を持ったんですよ。そうしたら、しっかり書かれてました。「自分の限界を超える」こと裏付ける科学的根拠が!

これは脳の機能も関わることなのですが、通常人は、恐怖・不安・脅威・損傷の危機を感じるとこんなことが脳と体に起こります。

《通常》
恐怖・不安・脅威・損傷の危機を感じる

自己防衛本能が働く(体や心が傷つくことを防ごうとする)

筋肉がまだ余力がある状態でも脳が「疲労」の信号を送って、その行為から撤退させようとする

体の疲労を認識して、もうできないと限界を感じる

努力することをやめる(諦める)

 つまり、自分を守るために、脳が疲労の信号を送って、自分に限界を感じさせてるんです。だから、その行動の目的が「自分のため」だと、自分を守ろうとすることの方が大事だと認識して、限界を超えるパフォーマンスを出すことが難しいんですね。

 では、「自分のための目的」でなく「自分を超えた目的」を持った時にはどうなるでしょうか。

《自分を超えた目的を持った時》
恐怖・不安・脅威・損傷の危機を感じる

自分よりも、大切にしたいことに意識が向く

自分を守るリミッター(自己防衛本能)が外れる

疲労の信号がでないから、疲労を感じにくくなる

努力が続く

パフォーマンスが上がる

だから、ブラッド・スタルバーグ&スティーブ・マグネスの言葉を借りれば

「自分のことを考えない方が、パフォーマンスが上がる」

ということになるんです。自分の限界を超えるパフォーマンスが発揮できる理由は、脳の機能が大きく関わっていたんですね。

燃え尽き症候群の特効薬にも

 さらに、最近の研究ではこんな結果が明らかにされているんです。

・人は誰かを助けると、脳内の報酬系や快楽中枢が活性化するので、気分がよくなり、前向きに取り組めるようになって、元気になる
・人は誰かの人生に影響を与えていると実感すると、ストレスが減って疲弊しにくくなる

 そのため、これまでは燃え尽き症候群の人やストレスの多い仕事をしている人に対しては、長期の休暇を取ることが有効だと言われていたのですが、実際アスリートやビジネスマンもそんな長く休めないという現実があることからも、最近では行動科学の研究者達が燃え尽き症候群に対する『特効薬』として、「お返し」をする機会を探すことを勧めているそうです!

まとめ

みなさん「目的の持ち方」について、いかがでしたでしょうか??
 「自分の限界を超える」って、なんかイカつい追い込みしないと無理なのかと思ったら、実はこういった意識の持ち方、目的の持ち方次第で変えられるものでもあるんですね。

 「感謝の気持ち」とか「だれかのために」という想いを持って行動できる人って素敵だなと思っていましたが、それがパフォーマンスを上げる秘訣にもなっていたなんて、、、驚きでした!

 確かに、私もnote書こうとする時「読んでくださっている人の悩みが解消されて、目標を達成するきっかけになったらいいなあ」なんて考えると、嫌なことがあっても、夜中になっても、書くぞーって筆が進みます(*´ω`*)

 あ、あと一個だけ付け足しさせてください!昔の私だったら「私は誰かのためにがんばらなきゃと思うとプレッシャーに感じて、いいプレーができなくなるので、周りのことは考えない方がいい気がするんですけど。」と考えていたと思うんです。でも今なら、下記のようにポイントを分解して説明して、考え方のトレーニングをするように伝えようと思います!

①「誰かのため」と思うと、いつも以上に勝ちたいという気持ちが強くて、覚醒が高まっているんだね。

②「誰かのために」という思いは、パフォーマンスを向上させる要因にもなるんだよ。(★今日のコラム)

③プレッシャーや不安で体が動かなくていいプレーができなくなるなら、それはプレッシャーや不安にへの対処をする方法を身につければいいんです。(対処法はこちら♡)

④プレッシャーから逃れようとするよりも、自分の状態を理解してプレッシャーに対処できるように訓練しよう!その方が、これからもっときっついプレッシャーがきても、力を発揮する強いプレーヤーになれる!

 もちろん、中には「自分のため」の目的をどんどん強化して限界を突破できる人もいると思います。でも、自分の限界を引き上げるって本当に難しいことです。だから、ぜひ「自分を超える目的」を意識することによって、今までに感じたことのない力が湧く可能性を高めてみてはいかがでしょうか!


<参考>
・ブラッド・スタルバーグ&スティーブ・マグネス(2017)PEAK PERFORMANCE-最強の成長術
・アダム・グラント(2014)GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代
・Noakes, T. D. (2011). Time to move beyond a brainless exercise physiology: the evidence for complex regulation of human exercise performance. Applied physiology, nutrition, and metabolism, 36(1), 23-35.
・Noakes, T. D. (1997). JB Wolffe Memorial Lecture. Challenging beliefs. ex Africa semper aliquid novi. Medicine and Science in Sports and Exercise, 29, 571-590.
・Marcora, S. M. (2008). Do we really need a central governor to explain brain regulation of exercise performance?. European journal of applied physiology, 104(5), 929-931.