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地域移住の【コレいい、コレあかん】VOL.5 イベント戦国時代 その②実施編

半年に一回、地区の大規模な清掃の日があります。どのような理由であれ、これに参加できない場合は5,000円徴収されます。どのような理由であれ、です。出張だろうが高齢だろうがなんだろうが、、、

さてさて。

今回のテーマは前回に引き続きこちらッ!

【戦国時代突入っ!イベント乱立の世を生きるための考え方!!その②実施編!!】

地方に無限にある「イベント」、イベント地獄との言葉もある通りイベントをすれば「やった気」は上がりますが、果たして地方創生の役割を果たしているのか?またイベントを実施する場合にどのような点を考えればいいのか?大枠としては前回の記事中にある地方創生イベントの『実施(継続)することが手段のイベント』と捉えて頂ければと思います。

前回を踏まえて「実際にイベントを実施しよう」、または「今のイベントをブラッシュアップさせよう」という方はぜひご参考ください。

それでは地方創生三種の神器「モノ」「ヒト」「コト」に分けて記述していきます。

① イベントで活用する「モノ」とは?

特産品などの「素材」、祭りなどの「文化」、道の駅などの「場所」、寺社仏閣などの「歴史」etc…、活用できる「モノ」は多岐に分かれていきます。それらをどう活用するかは当然『イベントそのものの目的』に由来します。
例えば「農業振興」で都市部への販促を強化することを目的としよう。その場合優先される「モノ」は、都市部へ販売をしていきたい「素材」や直売所や畑など農村を感じられる「場所」であると考えることが一般的だろう。

ちなみに、「利用する素材は何がいいのか?」こんな質問を時々頂くこともあるのだが、私としては「なんでもいい」というのが一つの結論になっている。「なんでもいい」という表現はやや語弊が生まれやすいが、微妙な地場にある特徴を素材として活用するならばそのようなフックは取っ払って考えるほうがいいということだ。
先述の例のように「農業振興」を目的とした場合、その地域がりんごの生産量が日本一だったらりんごを素材としたイベントでいいし、農地における稲作面積比率が県内一位だったらそれを素材にすればいいと思ってる。ただ、ほとんどの地域はそのようなずば抜けた客観的特徴はないのである。最終的な目的が都市部への販促強化ならばそこに向かうための手段は多くある。地域内でほとんど生産されてない素材(パンやスイーツ等)や全く関係ない素材(AIといったテクノロジー等)でも、目的が果たされる道筋があるのならば素材として活用するべきだと考える視野の広さは必要である。

少し話はそれるが、自治体職員など地方創生に携わっている方に「この地域は何か特徴的なものあるんですかー?」って聞いたときに「自然が豊かである」「歴史が豊かである」「農産物(魚介類)がおいしい」「人がやさしい」と本気で答えられたらかなり警戒したほうがいい。ほとんどの場合で他地域と比べて大したことがないからである。客観的に自分たちの地域を捉えられない方と仕事をすると滅茶苦茶しんどい上、成功確率は圧倒的に下がる。逆に「うちの地域は何もないんだよなー、ガッハッハー!」と言われたくらいの方が希望を持てたりする。ただこの場合も稀にただの豪快なおバカさんが混じっている場合もあるので注意は必要だが、、、
ちなみにその中でも「人がやさしい」はずば抜けてヤバい。逆に人がやさしくない地域を教えてほしい。

話を戻すが、活用する「モノ」については目的から逆算して合理的であればなんでも良い。逆に今すでに地域にあるモノなどだと汎用性も狭くなる上、結局は代わり映えのないイベントになる可能性が高いのである。

② 全ての肝であるイベントに関わる「ヒト」について

事業の経営などと同じくイベントにおいて「ヒト」による影響が大きいのは異論がないかと思います。イベントにおける「ヒト」は大きく分けて3つの視点がある。「イベントを実施するヒト」「イベント実施に関わるヒト」「イベントに来るヒト」の3点である。

A. イベントを実施するヒト
文字通りイベントの主催者側のヒトである。主催者が個人や組合・法人等の団体のケースももちろんあるが、地方創生イベントは「実行委員会」形式をとる場合が比較的多い。つまり関係各所より代表者が実行委員会に入り、イベントを作り上げていくのだ。イベントの目的により関係各所は細かく変わるが、農業振興であったら「役場農政課」「観光協会」「JA関係」「商工会議所」「4Hクラブ」etc…から代表者が集うイメージである。この実行委員会形式は決して否定はしないが、どちらかと言うとネガティブな理由からこの形式になることが多い。失敗したときやうまくいかなかった時に「みんな集まって一緒に考えたでしょ?」と言いたいのだ。その割に成功した時は我先にと手柄を取り合うのだが、、、
事業と同様に責任と権限、そして物事の決定方法をあらかじめ決めていないと泥仕合になる可能性が高い上、秀逸なイベントを作り上げるのは困難と言えよう。

B. イベント実施に関わるヒト
イベントの主催者ではないが、来場者を迎える側の人たちである。例えば出店者や当日ボランティアスタッフ等がこれに当たると考えている。あまり重要視されることがないが、私はここのヒトを最重要視している
一般来場者より濃くイベントに関わって頂ける上、出店者においては昨今のイベント乱立も伴って人気店に出店頂けるケースも多くある。当然人気店には優秀な固定客が多くいるケースが多い。イベントの趣旨や目的を理解頂いた上、当日の集客や売り上げも満足いくものになれば、地域に関わる情報の発信をその人気店からも期待ができる。これは地域のアンテナショップの一役を担うことにもなり、この相乗効果は大きいのは言うまでもない。
但し当然出店者もシビアにイベントの比較評価をしている。一つ対応を間違えばマイナス方面の遡及効果も高いので注意はしなければならない。

C.イベントに来るヒト
単純に当日お客様として来場するヒトである。来て下さる理由は様々ではあるが、わざわざ時間を空けて来ているということはまず忘れてはいけない。まずは感謝を忘れずに。
このヒトたちのポイントは「いかにギャップを埋めるか」ということ。イベントの目的を理解した上で来てくださる方なんて基本的にはいない。上記の例に準えると、「農業振興」がイベント目的だとしても、来場者は「お祭りしてる楽しそー」「農産物が安く買えそー」が来場目的なのである。これを忘れずにいかに「農業振興」に意識を繋げることのできるイベント内容を作っていくか、これがないとイベントの手段と目的のはき違えが起こりうるのである。

③ イベントの形式「コト」について

主に集客型、非集客型に分けることができます。
集客型のイベントは文字通り、日取りを決めイベントを実施して会場にお客さんが来場するイベントです。「花火大会」や「農産物直売会」など一般的に想像するイベントはこちらが主体となるかと思います。
非集客型も正確には集客はするのですが、上記のような会場や日にちが限定的なものではなく、期間を定めた「地域内のスタンプラリー」や都市部の飲食店などと提携した「〇〇町ウィーク」等が一つの例である。
「イベントをやるぞー」となるとどうしても集客型イベントを想像しがちだが、様々な形態があることは知っておいたほうがいい。私の専門は観光誘致であったりするので、わざわざ現地を訪れる集客型イベントにはより高い汎用性があると考えているが、天候やその他の事情で集客が伴わないリスクもある。当然これも一長一短であるので、目的に応じた選択が必要である。

最後に具体例を2つばかり。

≪かわさきパン博≫
西日本でも最大級のパンイベント。なお実施地域の福岡県川崎町にはパン屋は2軒しかない。地域内に紐付く「素材」ではないが、昨今のパンブームや立ち上げ当時は同様の切り口の取り組みはない独自性から、今や20,000名もの集客を誇る。また目的である「農業振興」への繋げる取り組みとして、出店者は町内産の野菜や果物を利用したオリジナルパンの出品が義務付けられると共に、レギュラーで配達できるシステムも構築し定期的な購買も可能。今や町のアンテナショップとなる出店者もあり、観光促進の観点でも一定の役割を果たしている。

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≪東京すだち遍路≫
すだちの生産量日本一である徳島県神山町のすだちと東京の飲食店とのコラボレーション企画。すだちについては一定の知名度と販路があったが、特にB品の販路拡大及び当町の知名度拡大が目的である。B品商材については様々な地域で加工品に利用するパターンが多く見受けられる中(当然それも進めているが)、規格をそれほど気にしない飲食店の特異性と、東京エリアへの販促をすることでより多くの人が目につく機会をつくりあげた。また、当町はIT企業のサテライトオフィス移転でも著名であり、東京エリアでの知名度拡大からの移住者獲得にも成功している。

スライド1

また、あえて今回の記事には言及しなかったが「カネ」も大事なファクターであるのは間違えない。行政が絡む場合や個別でする場合など様々だが、助成や出店経費、協賛金や負担金などを予め精査し、その中でいかに費用対効果を上げるかを考えるのが重要なのは言うまでもない。ポイントは「できること」を考えるのではなく「しなくていいこと」を考えることが大事。青天井な予算などないのだから、MUST条件とWANT条件を洗い出し、その中の優先順位をしっかり考えていかねばならない。

最後に改めてになるのだが、この「モノ」「ヒト」「コト」が大義名分である『目的』に対して合理的になっているか、そして目的のKPIに対してどこまで達成できているのか、これを見返す作業が必ず必要である。何度も述べている通りイベントを実施するのには多くの時間や体力、もちろんお金もかかる。それだけにイベントが終わったら一息つきたくなるのも、実施側からすると大いにわかる。ただ、ここで本当に一息ついてしまうと今までしてきたことが水の泡になるのだ。そこは肝に銘じてほしい。

結論、イベントが終わっても打ち上げをするな!本当にうまい酒はその先に待っている。

次回は地域移住のコレいいコレあかんは少し番外編『私が政治的主張をSNSでしない理由~フリーランスという生き方~』

お楽しみに!

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