#海外小説
『夏草の記憶』 トマス・H・クック
痛ましく残酷な、青春の愛の物語である。
南部の田舎町で、地元の医師として敬愛されているベン。しかし、穏やかな中年医師の顔からはうかがい知れない深い闇を、その心は抱えている。
妻にも親友ルークにも告げることのできない、ベンの胸に秘めた大きな重荷は、青春時代に起きたある出来事に関するものだ。
ベンがハイスクールの2年生の時、北部の大都会ボルティモアから、一人の転校生がやって来た。
浅黒い肌と黒い巻
『家の本』 アンドレア・バイヤーニ
人の家というのは、何かしら覗いてみたくなるものだ。
TVでビフォーアフターやドリームハウスが人気番組となり、他にもお家訪問の番組や企画が数多あるのはその証拠だろう。
私達が人の家に惹きつけられるのは、その住人がそこでどんな生活習慣を持ち、暮らしの物語を紡ぐのかを思い描く楽しさがあるからだろう。
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この小説は、1975年生まれの「私」の人生の節目節目を、その時に住んでいる家を通して描
『壁の向こうへ続く道』 シャーリイ・ジャクスン
ごく平凡に見える世界が、近寄ってよく見てみたら、とんでもなく異常な世界だった。
そんな、「ほんとは怖い普通の世界」を描いて異彩を放つ、じんわりホラーの旗手シャーリイ・ジャクスンの長編小説。
長編小説、しかも群像劇ということで、シンプルな構成の短編小説が多いジャクスンにしては珍しいタイプの作品だ。
時は1930年台。カリフォルニア州郊外の小規模な住宅地が物語の舞台であり、そこに住む人々が登場人物で