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偶然の誰か、偶然の本に出会える幸せ。

いつだったか、京都のショッピング 
モールを好きな人と一緒に歩いて 
いた時になにげなく入ったお店。

雑貨屋さんのような本屋さんのような、
ゆるやかな
コンセプトのお店にふらっと立ち寄った。

キッチングッズやステーショナリー
などを、ちらっと見ていると、
そばにいた人が、なにかをしきりに
読んでいたので、覗いてみた。

それは星座にあわせた絵本を選んで
くれるコーナーだった。

今でいうマッチング。

年に一度も会えない一緒にいた人が 
およそそういうものが好きな
タイプだとは思わなかったから、
ちがう一面をみたみたいで、わたしは
ただただ面白がっていた。

それに年に一度も会えない人との
再会は次はないかもしれない不安に
満ちているからあれこれ嫌だと
言っていたら、あとになって
ぜったい後悔することを知っていた。

彼の提案によろこんで乗る。

ぼんちゃんはこれって言われて
差し出された本は、
『長くつ下のピッピ』だった。

「世界一つよい女の子」ピッピ、
親としべつしたピッピは子ザルと
馬と一緒に<ごたごた荘>で
暮らすことになるのだけれど。

とくにママと別れて、ママは空に居て
ちいさな穴から今も見守ってくれてると
信じている女の子だ。

しべつっていう表記がやさしい。

子どもにとってのそれはあくまでも
「し」なのだ。

あの漢字のタヒじゃないほうの「し」。

みずがめ座とその童話がどうむすび
ついたのか今となっては忘れて 
しまったけれど。

ピッピは誰よりも力持ちで、それを
ことあるごとに発揮する。

そして、誰にでも意見する。

ちがうことを違うということに
慣れている。

ここ完全にわたしとキャラが被らない。

力持ちは、小さい頃から自信があるから
そこだけは写し絵のようだ。

赤毛を何とも思わないところもちょっと
ちがう。

くせ毛にさんざん悩んできたし、学校の
あほみたいな規則にも屈してきた。

生まれつきのどこがいけないん
ですかって言えなかった。

わたしにも小さい頃ピッピ成分が
幾分かあればもっと生きやすかった
だろうな。

そしてはじめての学校に通い始めた
ピッピは、

「あなたみたいにおぎょうぎの悪い女の子は、どんなに自分でに来たがっても、学校に入れてもらえないでしょうよ」

ひゃ~。

言いよりましたなって今なら、喧嘩
売ってきた相手と戦える(ような気がする)

その人はそう思ったんだなって
スルーするところ今も昔も
あるけれど。
これは、スルー案件じゃない匂いが
する。

ピッピはちょっと違う。

お行儀悪かったですか?

っておとなに問いかける。

そして、そんなことには気づか
なかったと告白する。

何か言われても恨まないんだな。

スーパーポジティブだと思うと

そうじゃなくて、誰よりも悲そうな
顔をするらしい。

そこは少しわたしに似ているかも
と安堵した。

今思うとピッピはわたしの鏡の裏に
いそうなキャラなのだ。

好きな人の星座を表している本が
なになのか知りたくて肩越しに 
のぞくと、ほんとうに
似つかわしくない
『クマのプーさん』だった。

こういうのってほんとでたらめだよねって
言いながらも、その人のさそり座を
表す本が「クマのプーさん」だった
ことだけは、
なぜだか忘れずにいた。

「プー、きみ、朝おきたときにね、まず第一にどんなこと、かんがえる?」 「けさのごはんはなににしよ?ってことだな」とプーがいいました。
「コブタ、きみは、どんなこと?」
「ぼくはね、きょうは、どんなすばらしいことがあるかな。ってことだよ。」
プーはかんがえぶかけにうなずきました。
「つまり、おんなじことだね。」 

今朝のごはんのことと、何か素晴らしい
ことがあるかな?って考えることが
「つまり、おんなじ」
だよねというところ。

とても好きなシーンのひとつだ。

彼と会えなくなってから何年も 
経ってその本を、
開いて読んでいた。

「プーがなにかばかなことをすると、
それがばかなことじゃなくなるんだ」
って、友達のコブタが云う。

わたしは、プーさんじゃなくて
いつのまにかあの人を
重ねてよんでいた。
そういうところあるな、
あったなって思いながら。

そして、まえがきにある

「動物園にいくと、ほんとうにいい人たちは、まっすぐ、
自分のいちばんすきな動物のところにいって、いつまでも
そのそばにいるものなのです」

という言葉を読みながら、感情がおろおろした。
なにげなく立ち寄った星座と童話の
マッチングのあの店の光景が
浮かんで消える。

困ったとき、いつもそばにいてほしい
誰かがこの世を
あとにしてから知って、わたしは
プーさんのなかに
あの人の面影を探している。

そして、困った時のプーの口癖
「いやんなっちゃう」を自分の中で
リフレインさせる。

そのせつな彼をそこに重ねながら、
やりたいことと
やりたくないことについて、
相談をかけるように
自問自答する。

答えが出るまで彼は一緒に居てくれる。

それはまえがきにあるあのプーさんの
ようにあれからずっとそばに
いてくれている
気がするのだ。





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