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わたしというもの

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私にまつわる日々のあれこれについてまとめています。
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2023年2月の記事一覧

天体観測

天体観測

新人ナース時代を私は田舎の寮で過ごした。
こぢんまりとした部屋のあちこちにTHE BLUE HEARTS、UNICORN、フラワーカンパニーズなどのたくさんのCDが散乱していた。

やっと念願のナースになれたは良いが上手くいかないことばかりで、あっちからもこっちからもそしてまたあっちからも叱られ毎日クタクタになっていた。
学生寮とは違い、話したい時にすぐに話せる相手もいない。
学生時代から仲の良か

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冬を表す

冬を表す

患者さんが「子どもの頃を思い出すような寒さだね」とポツリと言った。

寒さを表す言葉は色々あるが「子どもの頃を思い出すような」というのはなかなかに詩的な表現だなあ!と思った。

(ちなみに私は更衣室で「今日めちゃくちゃ寒くない!?ズボン履き忘れて来たかと思っったよ!正気の沙汰じゃないね〜」と詩的とは程遠い表現で寒さを表していた。)

一口に「子どもの頃」と言っても思い出す時代や風景は1人1人違うは

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自己紹介

自己紹介

自己紹介というものを久しくしていない。

患者さんと初めて対面するときもせいぜい名前を名乗るくらいである。
職場も長年かわっていないし、コロナ禍になり飲み会にも久しく行ってないため自己紹介をする機会がない。

ぜひやりたい。やってみよう。人見知りでも文字でなら自己紹介できそうだ。

名前:かを(Twitterも同じ)
年齢:40代  性別:女性 
結婚歴:なし
職業:看護師(精神科急性期)
家族構

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アレとあそことホレ♪

アレとあそことホレ♪

先ほど寄ったコンビニでの出来事だ。

年齢が高めの女性店員さんが二人で店を回していた。

私がコピーを取っているあいだ、他にお客さんが居ないこともあり二人は仲良さげにお喋りをしていた。
「アレどうだった?」
「だめだめ。美味しくなかった。」
「じゃあほら、この前のアレは?」
「あんたアレはさ、焼いても煮ても良かったわよ。」
「この前あそこで安売りしてたから寄って帰ろうか。」
「あそこ以外は高くてダ

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かもしれない

かもしれない

私は30歳を越えてから車の免許を取った。
それも合宿で。
当時つとめていた病院を辞め、転職までの間しばらく休むことにしたため「免許でも取るか〜」と軽い気持ちで思い立ったのであった。

1月だか2月のくそ寒い日に、東北地方の小さな教習所に私は1人やってきた。
周りは高校を卒業する地元の若い子達ばかりでほとんどが自宅から通ってきていた。

私だけ、寮と呼ぶには広すぎるマンションの1室に案内された。

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木のおうち

木のおうち

どこでも住めるとしたら。
真っ先に浮かんだのは子どものころ大好きだったおもちゃ「こえだちゃん、木のおうち」である。

樹木を愛する私にとって木と一体化して生活できるなんて夢のような話だ。(夢の話だけれども)

トムソーヤのツリーハウスのようなものも良い。子どもの頃に作った秘密基地のような、こぢんまりしたものが良い。

そこにお気に入りのものばかりを持ち込んで本を読んだり音楽を聞いたりして過ごす。

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好きなので

好きなので

通勤途中の道にお気に入りの木がある。
相変わらず今日もキレイだ。
いそいそと杖(長い距離を歩く際は私は杖歩行である)を股の間に挟み、首からぶら下げたスマホで写真を撮る。
あちこち向きを変えて夢中で撮る。

するとである。
いつのまにか年配女性が私のすぐそばで一緒に木を見上げているではないか。
まずい。これはまずい。
これまでも何回か同じようなことがあったので私にはこの後の展開が手に取るように分かる

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お大事に

お大事に

「お大事にどうぞ」
「お大事になさって下さいね」
普段なにげなく患者さんに向けて使っている言葉である。

体と心はもちろん。
自分のいろいろな気持ちを。
自分のことを心配し見守っていてくれる人たちのことを。
時間を。
自分の支えとなる人、もの、場所、音楽や物語、受けとった言葉。
そういったもの全てを「アンタもちゃんとお大事にしなよ〜」と、たまには自分に向けて言ってみる。

大事なものは大事にできる

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上を向いて歩こう👣

上を向いて歩こう👣

私は子どもの頃から上ばかり向いて歩いていたらしい。
目を細めヒコーキを指さしたり、立ち止まっては雲が流れるのをいつまでも見ていたそうだ。
坂本九さん推しというわけではなく、ただただ空と雲が好きなのだ。

木を見上げることも好きなので大人になった今もとにかく上を向いて歩いている。
葉っぱが風に揺れ、光がちらちらすると小躍りしたくなる。

一方で下はほとんど見ていないため、私はおそらく他の人と比べ犬や

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