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アレとあそことホレ♪

先ほど寄ったコンビニでの出来事だ。

年齢が高めの女性店員さんが二人で店を回していた。

私がコピーを取っているあいだ、他にお客さんが居ないこともあり二人は仲良さげにお喋りをしていた。
「アレどうだった?」
「だめだめ。美味しくなかった。」
「じゃあほら、この前のアレは?」
「あんたアレはさ、焼いても煮ても良かったわよ。」
「この前あそこで安売りしてたから寄って帰ろうか。」
「あそこ以外は高くてダメよ。」
「ほれ、あそこはアレも安かったもんね。」

私はコピーどころじゃなくなった。

アレって何だ…

その後もアレ、あそこ、ほれ、ホイ♪といった調子で二人の会話は流れるように進んでいった。
 
私は買いたいものも無かったが「焼いても煮ても良いアレ」だけは何としても知りたいと思い、二人の会話を盗み聞きしながら無駄にゆっくりと店内を回って歩いた。

ところがいつまで経っても「アレ」の正体は明かされず、真剣な顔で店内をウロつく自分が次第に万引き犯のように思えてきたため「アレ」については諦めることにした。

帰り道、あの二人の「アレ」「あそこ」は本当に噛み合っているのだろうか?と、ふと気になった。
しかしたとえ噛み合っていなくとも二人が楽しければそれで良いのだろう、とすぐに思い直した。

二人は「あそこ」で「アレ」を買って帰っただろうか。
私も早く帰って美味しい「アレ」を食べよう。