エゴイスト/ひたすら与え続けた愛は美しく哀しい
こんばんは。Book Conseillerの都築です。
今回ご紹介する作品は、映画化もされたゲイの男性が主人公の恋愛小説です。
ただ、恋愛小説ではあるけれども家族愛も含んだ深いストーリーです。
恋愛小説なのに「エゴイスト」という題名のアンバランスさに何故か惹かれました。
映画予告で作品を知り、映画は見逃してしまったのですが、気になり本のほうを読んでみることにしました。
ジャンル: ロマンス 人間ドラマ 恋愛小説
著者: 高山真(浅田マコト)
出版社: 小学館
主人公の浩輔は、幼い頃から自分が性的マイノリティであることを自覚していました。
閉鎖的な地方の町で逃げ場のない中で、
クラスメイトに虐められても、家族に打ち明けられずに孤独を深めていく様子が、追想で語られていきます。
彼は後に居場所を求めて上京し、同じ立場の友人もできますが、恋愛をすることができませんでした。
龍太との出会いから、本当に人を愛することができた浩輔。
けれど、二人の関係が続いていく先に思いもよらない悲しみが待っていました。
なぜ、「エゴイスト」という題名なのか。
この作品を手に取る切っ掛けになった理由は、読み進めていくにつれて理解することができました。
愛しているが故に、また幼少期の後悔から、自分の気持ちを制御出来ず、ただひたすら相手に押し付けてしまうエゴ。
それをわかっていても、止められない切なさが文章にあふれていました。
同性愛者が主人公のものを読むのは、初めてでしたが、この作品は誰にでも共通するテーマが描かれたものでした。
「愛する」ことをじっくり考えたい方に、おすすめの作品です。
☆5点満点中
切なさ ☆☆☆☆☆
恋愛 ☆☆☆
家族愛 ☆☆☆☆
予告しか見ていませんが、映画と本を比べてみると、映画の方が、ゲイの恋愛にリアリティーを持たせているように感じました。
小説は、「ゲイの恋愛感」よりも個々の人間同士のドラマとしての印象が、個人的に強く残りました。
皆様と本との素敵な出会いがありますように。
都築都でした。
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