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記憶の記録

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ふと思い出せたこと、忘れたくないこと、雑多ないろいろ。
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TopfuntersetzerとKopfuntersetzer

TopfuntersetzerとKopfuntersetzer

新しい言葉を覚えるきっかけはさまざまだが、強烈なインパクトを伴うものは記憶に定着しやすい。

ドリカムというバンド名は「ドリーム・ズカム・トゥルー」だと思い込んでいた私が、中学生になって英語の授業が始まり、正しくは「ドリームズ・カム・トゥルー」であると知ったときの衝撃は忘れられない。また、大学生になるまで付箋というものを見たことがなく、塾講師のアルバイト先で付箋を求めた主任に対し「付箋って何でしょ

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味ご飯

味ご飯

「味ご飯」が方言だと知ったのは、大学進学のため東京に引っ越してから。

「味ご飯」とは、いわば炊き込みご飯のことで、祖父母は「味めし」と呼んでいた。ただ、(あくまで松阪市近隣での使用法ではあるが)炊き込みご飯よりも狭義である。典型的な具材としては、鶏肉(場合によっては牛肉)、にんじん、椎茸、ゴボウ、油揚げ、かまぼこ、こんにゃく、である。それをほんのり甘い醤油ベースの出汁で焚き上げる。

一方の炊き

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餅が食べたい

餅が食べたい

今年は帰省できず、自家製の餅を食べられないためか、妙に餅が食べたくて仕方がない。スーパーで買う真っ白でなめらかな餅ではなく、ややざらついていて歯ごたえのある、我が家のあの餅が食べたいのだ。

特に恋しいのは、「やじろ」。やじろとは、もち米とうるち米をまぜてつく餅のことで、餅になっても米粒の触感が残る、楽しい餅のことだ。このやじろは、三重をはじめ近畿地方で主に食べられるようで、なかなか全国のスーパー

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大晦日の音

大晦日の音

このあたりのお寺では、コロナによる除夜の鐘つき中止を知らせる看板が目立つ。

子どもの頃から、紅白が終盤に差し掛かる頃には、新年が待ちきれないらしい人たちの鐘の音が聞こえてくるのが大晦日の醍醐味だった。私と弟も、待ちきれず家を飛び出し、鐘つき後にふるまわれる甘酒をめがけて、この日しか許されない深夜の外出を楽しんだものだ。そのときの頬の冷たさを思い起こさせてくれる除夜の鐘が、今年は聴けないのだから、

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