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不水溶性な日常

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少しのこと、たくさんのこと、いっぱい考えたこと…についてのエッセイ。 あんなことやこんなことを誰かと共有できたらいいなと思っています。
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少女らしさの因数分解

少女らしさの因数分解

私は少女っぽいことを嫌う少女だったと思う。記憶の中にそういう部類の楽しい記憶がほとんどない。かといって男の子っぽかといえばそんなこともなくて、子供の頃の写真を見返すと普通の女の子の風貌をしている。そもそも少女らしさってどういうことをいうのかと考えてみる。当時の友達たちは少女マンガを買ってその付録についている可愛らしいグッズを集めていた。そしてそれを友達同士で交換したり、その当時に好きだったアイドル

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ご機嫌よう、パンを食べよう特に意味もなく

ご機嫌よう、パンを食べよう特に意味もなく

街を歩いていると、探さなくてもパン屋に出くわす。お米が余っているというニュースが流れる中、世の中がお米からパンに移行してきているのがよくわかる。昔のパサパサのパンと違って美味しいパンが作られるようになってきたのも理由のひとつだと思うが、パンもブランド化して映える系の話題のパン屋の前にはいつも長い行列ができている。私が住む街はそういうパン屋の激戦区でもあり、雑誌やテレビで紹介されたパン屋が数多く点在

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欲の鎮静化

欲の鎮静化

私はいつもとは違った意味で動揺していた。いつもルーチンでやっているメールチェックをしていると、タイミングよくクレジットカード会社から請求書がメールに届いた。開いてみてびっくりして「えっ!」と小さく声をあげてしまった。請求額が多いのではなくて、少な過ぎてびっくりしたのだ。「何か計上し忘れていませんか?」と問合せしたくなるくらい少なかった。家計簿のようなちゃんとしたのではないが、使った金額をまとめてあ

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ソーダ水の中にある記憶装置

ソーダ水の中にある記憶装置

一生の楽しきころのソーダ水

富安風生のこの句が私はとても好きだ。若い頃の迸るような夏をこの一行で表している。

ソーダ水は1年中飲んでいるが、夏に飲むソーダ水はなんとなくノスタルジックな気持ちになる。きっとそこの句を知っているからだろう。時々、声に出して唱えてみると一瞬だけでもあの頃に戻れるかもしれない...などと十数年前までは思っていたが、さすがにもう諦めた。そんな少女が書くポエムのようなこと

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必要なのは変革ではなく微調整

必要なのは変革ではなく微調整

この世の中、人間も動物も弱肉強食で弱い者は生き残れないと思われがちだが、なんかそうでもなさそうだ。天声人語のバックナンバーを読んでいたら2019年11月24日の記事にとても興味深いことが書いてあった。その記事はネアンデルタール人のことについて触れられていた。

ネアンデルタール人はどうして絶滅したのか。専門家の間では諸説あるというが、筆者には不思議出会い方がない。強いものが弱者を力で倒すこの世界で

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みんながそれぞれうっすら傷つき...

みんながそれぞれうっすら傷つき...

とても世話好きな友人がいる。彼女は高校の同級生で、その当時から世話好きで仲間内では有名だった。クラスの誰かが悪さをしたら母親みたいに諭し、病気で休んだら下校時にノートを持ってお見舞いに行く。年配の先生を心配だからと家まで送っていったり、テストで悪い点を取ったら一緒に勉強してくれる。書き出すとキリがないくらいに世話に没頭した人だった。私もその恩恵を受けたうちのひとりで、私はお昼ごはんは学食に行ったり

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今日は、よちよち歩きでいこう

今日は、よちよち歩きでいこう

自分自身が口下手ということもあり、それほど親しくない人と話をするのはとても苦痛で気を遣う。相手が無口だとなおさらで、数秒の無言が何度も続いて帰りたくなってしまう。私が母親に似てなりふり構わずマシンガンのように喋るタイプだといいのだけど、どうも口下手な父親に似てしまったようだ。一言一言を考えながら話すので丁寧だと自分では思っているがなんせ時間がかかる。こんな私と無口な相手が二人っきりで話し合いの場に

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音のない写真の陰に萎れた花

音のない写真の陰に萎れた花

「ん?何だろうこの感覚は...」と思いながらインスタグラムを見ている。私がフォローしている方々がそういうタイプなのか、それとも最初はそうではなかったけど徐々にそういうタイプになったのかは今となってはわからないが、「丁寧な暮らし」「質素でも丁寧に暮らしています」というテーマの写真や記事が多いのに気がついた。最初はただ単に「そうなんだね〜」という気持ちで見ていたが、今は「ん...?」な感じで見ている。

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浅はかな習慣に溺れる虚栄心

浅はかな習慣に溺れる虚栄心

今、私は絵画3作品を前にして、どうすべきか途方に暮れている。これらには何の罪もない。でもこれらが邪魔で邪魔でしょうがない。

「いい人」っていう定義はわりと分かりづらい。いい人は私の周りにもたくさんいるし、街中でもいい人を見かけたりすることがある。困っている人に躊躇なく手を差し伸べ、何かを頼んでも嫌な顔もせず引き受けてくれる。それで救われる人がいるのも確かなのだけど...。私自身もたぶん「いい人」

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ミニマムサイズになったあなたへ

ミニマムサイズになったあなたへ

異端児と呼ばれた女が亡くなってから5回目の夏がやってきた。ミニマムサイズで棚の上に収まる姿にもすっかり慣れた。慣れたのは私であって、あなたはどう思っているのかはわからない。「悔しい」なのか「寂しい」なのか「どうでもいいや」なのか...

そんな小さな遺影を目の前にして、ビールを1杯飲む。美味しい。なんて美味しいんだ。こんな暑い日に冷たいビールを飲めるなんて、生きているって素晴らしいことだよ。ねぇ、

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個性についてのエトセトラ

個性についてのエトセトラ

「個性的」という言葉は褒める時にも使うが、貶す時にも使われる。果たしてあなたが誰かに「個性的ですね」と言われた時にどちらの意味だと思うだろうか。

今日、自宅マンションのエレベーターでいつも顔を合わせる同マンションの住人の女性と乗り合わせた。その方とはたまにエントランスやエレベーターで顔を合わせることがある。特に嫌いな人でもないし特に好きな人でもない。単なるマンション内の顔見知りの人というだけの存

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