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奴隷商人

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紀元前45年、ダマスカスの奴隷商人の物語
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2023年2月の記事一覧

奴隷商人 Ⅸ、第53章 ●奴隷商人51、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第53章 ●奴隷商人51、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ
第53章 ●奴隷商人51、紀元前46年 ●砂漠行 5
【砂漠行12日目】 200+120キロ

 ホルスを放つと言って飛んでいってしまったムラーはその晩帰って来なかった。翌日、出発の午前4時の1時間前に急に空中から飛び降りてきた。荷物を持っている。

「どこに行ってたのよ?心配するじゃない?」
「ああ、スマン。ちょっとアレキサンドリアの王宮に行って、あるものを盗んできたんだ」
「王宮

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奴隷商人とその時代 Ⅴ

奴隷商人とその時代 Ⅴ

奴隷商人とその時代 (続き)
奴隷商人とその時代 Ⅴ
●奴隷の相場、娼婦の相場これで相場を考えてきましたが、計算式が間違い。

です。訂正します。

紀元1年の奴隷の値段は、

という記録がある。このころのローマ帝国の人口は5,400万人で、そのうち3分の1が奴隷だった(半分以上と見積もる人もいる)1デナリウス=銀3.9 g。当時のローマの庶民の年収は、500~1,000デナリウス、約100~20

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奴隷商人 Ⅸ、第52章 ●奴隷商人50、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第52章 ●奴隷商人50、紀元前46年

奴隷商人 Ⅹ
第52章 ●奴隷商人50、紀元前46年
 ●砂漠行 4
【砂漠行11日目】 200+90キロ 30キロ、大スフィンクス方向に進んだ。残りあと3日。昨日のムラーとの話は重かった。第1~4ユニバースまでの運命がこの一戦にかかっていると思うと気が重い。どうしてもクレオパトラ7世は抹殺しないといけないが、できるんだろうか?

 目的地の南の大スフィンクスは、ギザの大スフィンクスからほぼ南に5

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奴隷商人 Ⅸ、第51章 ●奴隷商人49、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第51章 ●奴隷商人49、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ
第51章 ●奴隷商人49、紀元前46年
 ●砂漠行 3
【砂漠行10日目】 200+60キロ 純粋知性体ってのは、アインシュタインにも全宇宙中のレシピを知っているグルメにも似ている。神にも等しい。ただ、鍋やフライパン、天体望遠鏡などという下賤なものは扱わん、という存在だ。

 もちろん、純粋知性体は、地球の内核、外核を操って大規模造山運動を起こさせることはできる。事実、ベータ本体はア

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奴隷商人 Ⅸ、第50章 ●奴隷商人48、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第50章 ●奴隷商人48、紀元前46年

奴隷商人 Ⅸ、第50章 ●奴隷商人48、紀元前46年
●砂漠行 2
【砂漠行7日目】 200+30キロ「アルシノエは知性体が入っているわけじゃない。こいつを第4夫人にするつもりはない。ゆくゆくは素質があれば、ソフィア、ジュリアの次をやらせてみてもいいかな?と思うんだが・・・」と言うと、
「アルシノエを私とジュリアの次ですって?旦那様、私とジュリアはどうするおつもりです?」とソフィアが食いつく。俺は

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奴隷商人とその時代 Ⅳ

奴隷商人とその時代 Ⅳ

奴隷商人とその時代 Ⅳ ●紀元前46、47年前後の出来事
 ●古代ローマの浴場

●紀元前46、47年前後の出来事

 4.の年代がピンと来ないですが、2023年の今年、紀元前46年は2069年前にあたります。日本で『卑弥呼の日食』と言われる天岩戸伝説が起こったのが西暦247年。今から1776年前ですが、それでも紀元前46年は、『卑弥呼の日食』よりも293年昔。ピンと来ないんですよ。

 そこで、

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奴隷商人とその時代 Ⅲ

奴隷商人とその時代 Ⅲ

奴隷商人とその時代 Ⅱ ●イスラムの一夫多妻制度
 ●奴隷制度
 ●奴隷制度・ハレムと一夫多妻制
 ●奴隷商人ムラーの商売

●奴隷制度

 そもそも、アラビア起源、特に、イスラム教が始まってからのハレムとそれ以前のハレムは違う。

 ハレムの習慣は、古代の地中海世界において、家族の女性の居室を隔離した風習があったから、モハメッド・イスラム教が始めたわけでもなんでもない。紀元前からハレムは中近東に

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