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炒めものをした後のフライパンを洗いたくないから、炊き込みご飯にする《頭の悪いレシピを140字で+ 9》

とにかく料理が苦手でめんどくさいから、その後の洗い物なんかもっと苦手でめんどくさくて、「フライパン洗いたくないから炒めものはしない」なんて日ばかりで。だけどたまには炒めものも食べたいじゃん。そんなわけで思いついた。あとに残った汁気と微妙に残った具材で炊き込みご飯をすれば一石ニ鳥。

 

《頭の悪いレシピを140字で》のマガジンもあります。
https://note.mu/beabamboo/m/m720f88c2485a

自己紹介的なマガジン、《五百蔵のトリセツ》
https://note.mu/beabamboo/m/m585d8928b5cc

 

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 いやはや、まったく、どこまでものぐさなのでしょうか。

 だけど、料理が苦手な人間にとっては、苦手な料理をがんばったあげくに、油ギトギトの重たいフライパンを洗うなんて苦行が待っている……なんて、考えただけでため息も出ようものでして。
 そんなわけで、この数ヶ月というもの、フライパンの出番はほとんどありませんでした。

 それ同様、炊飯器の内釜を洗ってマメにご飯を炊く、という行為も非常にめんどくさいのです。とりあえずこれについては、夫が洗って、子どもが仕掛ける、という役割分担で乗り切っています。
 だけど、ご飯はいちどに8合炊いていますが、もって3日くらいです。冷蔵庫の残りご飯を確認しては「明日の分がないから、内釜を洗って。炊いて」と腰の重いアイツらにいちいち指示を出さねばならねーのが「結局、お母さんのお仕事かーっ!」て感じで、たいそうわずらわしい。

 

 しかも、うちの台所、シンクがせまいのです。とうぜん食洗機もありません。
 せまいシンクで大きな鍋釜を洗うのって、取っ手やら蛇口やら引っかかって、ほんとにもう、想像しただけでうんざりなのです。

 夫がなかなか内釜を洗いたがらないのも、むべなるかなです。
 調子にのって「ついでにフラパンも〜♪」と汚れてギットギトのやつを渡そうものなら……そりゃ、ご機嫌もななめになりますわいな。

 

 てなわけで。

 1回でもいい、鍋釜を洗う回数を減らしたい……

 これ、実に、家族一同の切実な願いなのであります。

 

・◇・◇・◇・

 

 そこで考えました。
 炒めものの後のフライパンの汁気を茄子に吸わせたらどうだろう?

 結論。
 茄子からも汁気が出て収拾がつかねー。
 そもそも茄子の気分じゃないときには使えねー。
 それに夫が茄子が苦手。

 はい、オワタ!\(^o^)/

 

 そんなわけでさらに考えて、今年の夏、思いつきました。

 フライパンの汁気で炊き込みご飯にしよう!
 そうすれば、フライパンも内釜も1回ずつ洗うのを減らせるぞ!

 ついでながら、うちの炊飯器は安物なので、炊き込みご飯を炊くとかならず米が半生です。壊れているわけではなくて「安物の炊飯器あるある」のようです。だから、炊飯器で炊き込むのはとっくにあきらめました。

 だったら、フライパンで炊き込みご飯を炊く方法をマスターしといて、どっちみち損はないはずです。
 そうだ、この秋こそは、美味しい炊き込みご飯を食べまくってやる!

 

・◇・◇・◇・

 

 炊き込み方は簡単。
 フライパンを使うので、パエリヤとかピラフとかの作り方をいろいろ調べてもじりました。


 基本の配合は、

 米1合に、水分カップ1。

 この比率の範囲で、酒や醤油で味付けしたり、トマトを投入したりします。
 味付けについては、米1合に、醤油、酒、それぞれ大さじ1ずつ、を目安としています。
 この割合だと、かなりほんのりとした薄味です。

 これに砂糖やみりんを加えると、和風の味に寄ってきます。
 だし昆布なんかも加えると、より美味しいです。
 コンソメやトマトを使うと、洋風の味に寄ってきます。
 カレー粉を加えるのもよろしいです。

 そのときどきのフライパンに残っている汁気の風味によって、どうするか決めます。

 

 基本の手順は、

 細かく切った具を油で炒める、
 生米も入れて炒める。

 水分を入れる、
 木べらでかき混ぜながら炊く。

 水分が減ったらフタをしてとろ火で15分、
 さらに火を消して15分蒸らして出来上がり。

 

 要約すると、

「炒める、炊く、フタをして15分×2」

 はい!では、みなさん、10回唱えて!

 

 
 

 ……もう覚えましたね。これであなたもフライパンでご飯が炊けるようになりました。

 あ、大事なことを忘れていました。
 我が家では、フライパンは25㌢前後のどっしりしたものを使っています。
 いちどに米は2〜3合炊けます。
 ややアルデンテのパラパラとした感じに仕上がります。

 

 ポイントがいくつか。

 フライパンに残っている炒めものの汁気が多ければ、取り分けて計量して使います。
 すくなければ油を少々足して、そのまま具材を炒めます。

 生米は洗わなくてもよいとのこと。手間がはぶけてありがたいことこの上なしです。
 米は透明になるまで、4分ほど炒めるのがセオリーのようです。

 

 水分を加えたら焦げないよう、木べらでかき混ぜながら炊きます。
 強めの中火で加熱します。
 米が水を吸って、水分も蒸発して、ほどよい水加減になってからフタをします。
 木べらで掻いたら鍋底のあとがすっと残るくらいで。
 「これならモーゼ一行も鍋底を全速力で走ればなんとか向こう岸に間に合うかな?」という加減です。

 五百蔵のような料理苦手人間にとって、米を鍋で炊くのって「はじめちょろちょろなかぱっぱ」の加減がよくわからないので不安なんですよね……。
 でもって、いざ食べようとすると芯があったり、お粥っぽくなってたり。
 だけど、この、あらかじめ水分を減らす方法だと、鍋底の見え具合で水分の残し具合が目視で確認できるんです!
 水気の具合を目で確かめながら好みの硬さに炊き上げることができるので、本当に合理的だと思います。

 このやり方を見つけたときは、まさしく目からうろこでした。

 

 そしてとろ火で仕上げていくのですが、おこげができていると、フライパンの底からパリパリとかピキピキとかいう感じの乾いた音がきこえます。
 おこげが苦手な人は、とろ火の時間や水分量で調整してください。

 15分たって火を止めて、フタをあけてのぞいてみて、「ちょっと水っぽくないかな?」と感じても大丈夫です。蒸らしている間にしっかり吸水されます。
 また、鮭の切り身やブロッコリー、アスパラなんかは、この最後の蒸らしのタイミングでご飯のうえにのせて、ふっくらと加熱します。
 その場合は、とろ火を切るすこし前からのせておいたり、フタにタオルをのせて熱が逃げないようにするなど、ひと工夫を。

 

 だけども、まだまだ課題が。

 なんといっても、素人のすることですから、できた炊き込みご飯の味がボケまくっているんですね。
 どんな炒めものの後にどんな味付けの炊き込みご飯がいいか。
 追求していく必要があります。

 だけど今は、
 フライパンで炒めもの→そのままフライパンで炊き込みご飯
 という流れ自体が楽しい。
 とりあえず回数を重ねて、見えてくるものがむこうから来てくれるのを待っている段階です。

 

・◇・◇・◇・

 

 以上のようにして、炒めものをした後のフライパンで炊き込みご飯を作ります。

 別にわざわざ炒めものの後に炊かなくてもいいのですが、季節の変わり目のせいか調子が悪く、料理をする意欲が全面的にくじけている今の五百蔵にとっては、

 炊き込みご飯が食べたい
 →しかたない、まずはがんばって炒めものをするか!

 という、本末転倒ながらも、日々の料理をがんばれる良いサイクルになっているのですね。

 

 例えばです。

 昨日も、炊き込みご飯が食べたいばっかりに、夫の買ってきたブタのかたまり肉をフライパンでじゅーじゅー料理しました。
 そもそも、スーパーのレジ袋から肉がごろっと出てきた瞬間に、「コイツなんでこんな面倒くさい食材を……自分で焼けや……アタシはイヤだぞ……料理なんてしたくないんぢゃ……!」とブツクサ文句をたれていたにもかかわらずです。

 ああ、炒めものの後のフライパンでつくる炊き込みご飯……なんて偉大!

 

・◇・◇・◇・

 

 こんなふうに、五百蔵が頭の悪い手抜きレシピにこだわるのには、理由があります。
 なんとなら、一般に出回っているレシピは、

 強者のレシピであって、弱者のレシピではない、

 という現実へのアンチをとなえたいからです。

 

 強者
 すなわち、料理好きな人。手作りが苦にならない人。時間がある人。もしくは、健康な人。

 それに対し、弱者
 すなわち、料理が苦手な人。できたらご飯は食べさせてほしい人。時間がない人。もしくは、病気持ちの人。
 だけど料理はしないといけない、せっぱつまった人。

 

 五百蔵は去年過労で倒れて、仕事も辞めて、それ以来ずっと寝ついたりマシになったりの毎日が続いています。そんななかで、同じように不調に悩みながら日々暮らしている人のブログを体調管理の参考に読んでいます。

 やっぱり、病気を持ちながら家族のめんどうもみている女性のものは、共感できることが多いです。
 そして、彼女らの書いているものを読みながら、気がついたことがあります。

 

 病気という正当な理由があったとしても、
 長期にわたって夫の収入で養われているというのは肩身が狭いこと。

 せめて家事だけはしっかりして、
 夫との間にギブアンドテイクの関係を成り立たせたいと思っていること。

 家事がこなせる、ということが、
 病気で働けない身にとって、自分の存在理由になっていること。

 外には出れなくても、家の中では誰かの役に立っている、
 それが薬のようによく効く心の支えとなっているです。
 だって人間はそもそも、だれかの役に立つことをいちばんの喜びとしている生き物なのですから!

 

 体調が悪い方に傾いて、
 やむなくレトルトや出来合いのものを毎日食卓に並べることは、
 もしくは、食事の準備を全面的に夫に依存することは、
 たとえ夫の愛に支えられていたとしても、自分の存在意義の危機なのです

 ましてや、なかには病気のことを理解してくれない夫に悩んでいる人もいますから。
 そうなってくると、生活が基盤ごと覆されかねません。

 

 体がしんどくなっても、すこしだけなら食事を手作りすることができる。
 もしくは、ただでさえ病気で弱っている体に疲れをためないために、削れる手間は極力削る。

 こんなふうに、心身がしんどいことを前提においた、弱者のためのレシピがほしいのです。
 なぜなら、社会的には無力な病人でも、仕事で疲れて帰ってくる夫に手作りのご飯を食べさせて、ねぎらってあげることならできる。そうすることによって保たれている自尊心もあるのです。

 とりわけ、うつによる落ち込みで、外出して買い物する意欲も調理の意欲もなくして生活全般が滞ってしまっている人には、準備から片付けまで込みのトータルで「ひとつでも手間がすくないレシピ」が必要なのを痛感します。
 きょう、すこしでも栄養のあるものを食べて生きていくために、料理が簡単であることが必要なのです。

 

 つまり、どういうことかというと、
 カレーのあとの鍋を使って、カレースープを作って鍋をきれいにする。
 それを生活の知恵で終わらせるのではなく、

 カレースープで締めくくって
 鍋をきれいにすることまでがガチのレシピ、

 というものとしてレシピを考案してもいいんじゃないか?
 という提案です。

 たかが洗い物ひとつを減らすだけ。
 だけど、それだけで、ほんとうに心身の負担が軽くなるのです。
 「しんどいけど、もうひと品なら、がんばって料理しようかなぁ」と思えるのです。
 そのうえ、わるいなぁ……と思いながら夫に汚れたフライパンをわたす心の負担が、すこし軽くなります。そうすれば夫も多少はにこやかにご飯のおこげの跡のついたフライパンを洗ってくれるでしょう。

 こんな私たち弱者のためのレシピがほしいと心から思います。
 支えてくれる夫の笑顔を増やすためにも、そんなレシピがほしい。

 

・◇・◇・◇・

 

 そんなにいじましいことをしてまで、手作りにこだわらなくても……という意見もあろうかとおもいます。
 ていうか、いま、食事については、手作りへのこだわりからの解放がトレンドですよね。

 だけど、五百蔵はアレルギーで食べられないものが何品目もあるので、出来合いのもののうちに食べられるものは全くありません。
 あれだけ多様なおかずがそろっている惣菜コーナーで、買って帰ることができるのは、せいぜいドレッシングのかかってないグリーンサラダか白飯くらいです。
 アレルギー対応のレトルトは非常に割高で、とてもではないですが毎日、毎食は使えません。しかも、バリエーションは、おそらく10もありません。
 体調も悪いので、外食に行く元気もありません……いや、そもそも、行ってもサラダバーくらいしか食べれるものがないから、外に食べに行く意味がないですよね。

 わかりますか。
 この世には、どんなに辛くても、どんなに疲れ切っていても、どんなに料理が苦手でも、

 「手作りしないと一切、食べるものが無い」人間

 が少数ながら存在しているのです。
 こんなに日本が豊かな国なのに、なんだか変ですよね。
 「スーパーにもコンビニにも、私には食べれるものがろくに無い」と思うたびに、日本の豊かさってなんなんだろう?……と、バカバカしくて笑っちゃいます。

 そんな人間にとっては、日本の「豊かさ」を前提とした「必死になって手作りしなくていいよ」との優しいささやきも、まったくの無意味なのです。
 むしろ、「あなたたちだけラクになって、ズルい」と泣きそうになってしまいます。

 

・◇・◇・◇・

 

 この世にはどうしても「炒めものをした後のフライパンを洗いたくないから、炊き込みご飯にする」ことが必要な人間がいます。

 誰かその必要に応えてください。

 

 「毎日、料理をしなければならないこと」が、
 料理を休むことがゆるされないことが、本当に辛いのです。

 誰かこの辛さを、軽くしてください……レシピの力で。

いま、病気で家にいるので、長い記事がかけてます。 だけど、収入がありません。お金をもらえると、すこし元気になります。 健康になって仕事を始めたら、収入には困りませんが、ものを書く余裕がなくなるかと思うと、ふくざつな心境です。