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写真というメディアを考える

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イメージ・コンテンツを制作する事は、視覚を通過して、人の心に問いかけることが一番のポイントだ。 人の心に問いかける事は、感性の同一性を得るということで、国境、時間という領域を超え… もっと読む
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2019年9月の記事一覧

イメージは意味の極限である- ロラン・バルト

イメージは意味の極限である- ロラン・バルト

イメージは意味の極限である - 映像の修辞学
「映像の修辞学」(*ロラン・バルト)には、
映像=イメージにについての、3つのテキストが収まる。
それは、2篇の論文と1篇のインタビューから成る。
そして、イメージから記号を読み取る見事な手法、言葉の持つ官能性を存分に味わえるロラン・バルトの世界だ。

1)イメージの修辞学(パンザーニの広告について)
パンザーニの広告写真から多様な記号を拾いあげ、イコ

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デュシャンの制服を考える

デュシャンの制服を考える

デュシャンの制服
デュシャンは、私たちが「男」または「女」として、社会から記号化された存在と考え、その延長上に、デュシャンは、職業自体が、社会が人間にお仕着せる記号と考えた。
シンディ・シャーマンより、60年前だ。
それらの制服はまるで拘束服のように表現されている。デュシャンは、職業自体を社会が人間にお仕着せる記号と考えているからだろう。

デュシャンは「大ガラス」で「お仕着せの制服の墓場(九つの

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報道写真家- フェリーチェ・ベアトの記録(1832-1909)

報道写真家- フェリーチェ・ベアトの記録(1832-1909)

フェリーチェ・ベアト(Felice Beato /1832-1909 イタリア生):イギリスの写真家。
イギリスの従軍写真家でもあるフェリーチェ・ベアト(Felice Beato)は、多くの旅を通して、国々・人々・事象・表象を撮影した。

日常写真、ポートレイト、またアジアや地中海の風景や建物のパノラマ写真でも著名であり、インド大反乱やアロー戦争の記録も撮影しており、最初期の報道写真家だ。ベアトは

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ファッション写真家ピーター・リンドバーグ- 逝去

ファッション写真家ピーター・リンドバーグ- 逝去

ピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh -1944.11.3-2019.9.3ドイツ)ファッション写真家。
「ヴォーグ(VOGUE)」「ハーパーズ・バザー(Harper's BAZAAR)」などのファッション雑誌や、「ディオール(DIOR)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」など、メゾンブランドのビジュアルを担当。

当初は、ディスプレイ・デザイナーとして働きながら美

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タンクマン- Charlie Cole の報道写真

タンクマン- Charlie Cole の報道写真

2019.9.5に亡くなったチャーリー・コール (Charlie Cole)の報道写真

チャーリー・コール (Charlie Cole 1955 – 2019 US)米国のフォトジャーナリスト。
1989年の天安門広場での抗議運動中の「戦車男」(Tank Man)を撮影した写真家のうちの1人。
このNewsweekの写真は、1990年ワールドプレスフォトオブザイヤーを受賞。フィルムの時代だ。(N

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写真家ロバート・フランクが亡くなった・・・

写真家ロバート・フランクが亡くなった・・・

ロバート・フランク(Robert Frank -1924.11.9 - 2019.9.9 スイス生)は、20thで最も影響を与えた写真家といわれる。
代表作となった写真集「The Americans」(アメリカ人)は、米全を横断し、アメリカ人の何気ない日常生活をスナップ撮影した物だが、そこにはロバート・フランクの視点が収まっている。
その写真集は、全世界のアメリカに対する見方を変えた。
ロバート・

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戦時下の子供たち  (c)LIFE

戦時下の子供たち (c)LIFE

「写真:それはかつてあった」ロラン・バルト

Document (c)LIFE///1942年-、戦時下の3枚の子供たちの写真
この子供たちが、20thをささえた。
(1) UK、Londonの家族の食卓の手前の少女に笑みを感じる。
(2) ドイツ(Belsen)強制収容所-死のキャンプ、直後に通る少年。
(3) US オクラホマの農家の娘は、希望に満ちてのハイスクール入学を目前にして読書。この

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チー・ポンの異世界

チー・ポンの異世界

チー・ポン(迟鹏 - Chi Peng - 1981)

2005年、中央美術学院卒(北京)
写真・コラージュがメインテーマの現代美術作家。
Chi Pengは、世界中の写真展で、現在、その作品手法の傾向を着目される中国人アーティスト。

  (c)Chi Peng

スマートフォンという映像文化環境を考える - 京浜急行事故

スマートフォンという映像文化環境を考える - 京浜急行事故

イメージと文化:スマートフォンという映像文化環境を考える。

痛ましい事故に深くご冥福と共に、早期の身体の回復をお祈り致します。

現在、日本人のほぼ全員が、スマートフォンという、映像記録とどこでも送信できるデバイスを持ち合わせている。
この状況は、映像文化にとっては、理想環境であり、このことは、映像言語の域を超え、むしろ何でもありの状態だ。
TVでは、この事象が、まだ、現在進行形の中で、多くの

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SX-70 CAMERA(1972)の開発者と悲劇

SX-70 CAMERA(1972)の開発者と悲劇

Polaroid SX-70 LAND CAMERA - DESIGN 1972 (Henry Dreyfuss)

1970年代前半に、写真映像業界に於ける3つの大きなニュースがあった。
1)カラー写真の定着化
2)8mm映像フィルムカメラに於ける、同時録音(フィルム端の磁気部分に録音)
3)拡散転写式の"SX-70 Film”と”SX-70 LAND CAMERA”

SX-70 LAND C

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Matthew Pillsburyの動的表現

Matthew Pillsburyの動的表現

マシュー・ピルズベリー (Matthew Pillsbury) 1973- フランス
自然史博物館やルーブル美術館といった時間が永遠に静止した空間でうごめく群衆の残像を長時間露光で撮影した「Time Frame」シリーズ。そして近作となる「City Stages」では、ニューヨークを拠点に、パリ、ロンドン、東京といった都市空間のランドマークで、光と闇、そして人々が織りなす残像を同じく長時間露光の手

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JOHN BALDESSARIの方法

JOHN BALDESSARIの方法

JOHN BALDESSARI(ジョン・バルデッサリ)
現代美術家・フォトコラージュ他 (1931- 2020/US)
合衆国のカリフォルニア出身であり、モダンアート界の重要な作家として、
いわゆるコンセプチュアルアートの分野を積極的に牽引してきた人物。写真やパフォーマンス、映像を使ったコンセプチュアルな作品を作り続ける。

映画のワンシーンの白黒イメージを人物の顔や写真の一部分にカラフルな円

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