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本のはなし

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コンビニ兄弟-テンダネス門司港こがね村店-/町田そのこ

コンビニ兄弟-テンダネス門司港こがね村店-/町田そのこ

待って今気づいたことがあります、
この本、タイトルで盛大にネタバレしてるな…?!

基本的に難しいこと考えずに、
言葉そのまま、流れそのままに物語を楽しむタイプの私です。

皆さんはどうやって楽しむ人ですか?

小説もドラマもね、
考察してる人、今たくさんいるじゃない。
それこそnoteやyoutubeで、
タイトルの頭文字打っただけで、
溢れるように感想やなんやが出てくるものね。

すごい時代ね

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シルクロード・ハイウェイ・スター/紅坂紫

シルクロード・ハイウェイ・スター/紅坂紫

最近は暑い。

今日は夏至だったらしいけれど、
毎年夏になる度に、こんなに暑かったっけ?
ってお定まりの文句を並べてしまう。

日本人の私たちは、
世界的な大会であるオリンピックが、
世界戦争をしているようなこの状況の中でも開催されることにさえ興味は薄く、あぁ、やっぱりかと希薄な絶望を募らせる。

若者に出会うことは少ないし、
右も左も厳しい顔をした乾涸びたような老人ばかり。

シルクロードのあっ

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デリカシー体操/ヨシタケシンスケ

デリカシー体操/ヨシタケシンスケ

忘れたことすら覚えていない、どうでもいいものたち。の、話。

・怒っちゃったので機嫌が悪い
・ホラ、やっぱり読まなかった(積読)
・どっかから逃げてきたとこまでは覚えてる
・今日やっておいた方がいいことが5つあったとして下から2番目って何?
・成年向け雑誌 雑誌向け成年
・誰かが布団をたたいてる日曜の昼前

こんなノートの端の落書きのような愛おしい日常が
ずっとずっと淡々とイラストに添えて書かれて

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”文学少女”シリーズ/野村美月

”文学少女”シリーズ/野村美月

ときたま思う、
自分の生きる養分は、
食べ物からでなく、物語から吸収してるんじゃないかな?

絵本もノンフィクションもSFも漫画も問わないけれど、
私には物語が必要だ。

朝起きて仕事してご飯食べて仕事してご飯作って食べてお風呂に入って寝る間にたくさんの物語を食べないと、あれ?何してたんだっけ?って気持ちになる。

物語は不思議だ。

料理本や自己啓発本、研究書のように
なにかに役立つ情報が載って

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翻訳できない世界のことば/エラ・フランシス・サンダース 前田まゆみ

翻訳できない世界のことば/エラ・フランシス・サンダース 前田まゆみ

言葉は、真実を、人の心がうつさだすわずかなものに減少させてしまう。
と言う人がいるらしい。

確かにね、言葉に思考や行動が縛られることってあるかな。

でも、言葉で、見える世界の解像度が上がる時ってある。

言葉で、愛おしさを募らせることもある。

この本はですね、
20歳になるかならないかくらいの時に、
友達に貰った本です。

プレゼントととして最高な本だと思う〜
内容も見た目も可愛いし。

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河童が覗いたニッポン/妹尾河童

河童が覗いたニッポン/妹尾河童

こんなに面白い文庫本には、人生で初めてて出会った!

間違いなくそう言える大名作文庫です。

まずね、オール手書きなの。
絵も、字も。
字なんてね、文庫なのに2段構えなの!
それでね、建築の図面みたいな、
真四角の手描きワープロソフトのような
しっかり下地を手書きしてるのです。
先輩に見せたら「ないよ、さすがに印刷だよ!」って言われたけど手書きなの。

読み応えたっっぷりなのです!

でね、出版が

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52ヘルツのクジラたち/町田そのこ

52ヘルツのクジラたち/町田そのこ

52ヘルツのクジラ、じゃなくて、
52ヘルツのクジラ「たち」なんだなって思った。

クジラは歌う、
海の中で、仲間と一緒に。

それは数字でいうと10~39Hz程度の周波数の音で、
歌声は会話で、仲間たちとの繋がりで、
生きていくためにはきっと必ず必要なものなんだろう。

人間の中には優しい人も怒りっぽい人も、
肌の色が違う人も足の遅い人もいるように、
クジラにもいろんなクジラがいる。

主人公と

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少年H 上巻/妹尾河童

少年H 上巻/妹尾河童

大好きな河童さんの
超名作少年H!

河童さんは知らなくてもドラマか何かの影響でこれだけは知ってるって人も多いみたい。

ちなみに私は産まれる前に出版されたので
河童さんとの初対面は「河童の覗いたインド」

少年+アルファベットって、
なんとはなしに未成年で犯罪を起こした人が想起されるよね。

この少年Hは、河童さんの元の名前、
肇(はじめ)のH、つまり、河童さんの少年時代の回想録!

覗いたシリ

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少年H 下巻/妹尾河童

少年H 下巻/妹尾河童

下巻、読み終わりました。

戦争の渦中の日本、
天皇様の神格化、
あの戦争ってなんだったの?
どんな教科書を読むより、
どんな再現ドラマを見るより、
ずっと本当の戦争がまっすぐな目で見て、綴られる。

苦しくて痛くて、
でも知っておく必要のあるお話だったのです。

本当に、河童さんがこの本を書いておいてくれてよかった。

美化もせず、嘘もつかず、本当にただあったこと、思った事を率直に綴るのって本当

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シュナの旅/宮崎駿

シュナの旅/宮崎駿

犬になった王子というチベット民話を元に、
宮崎駿がつくった、シュナの旅。

これはですね、
もう、小説とも漫画ともそんな枠に収まらないものすごいものなんですよね、ほんとにすき。

ちなみに文庫600円なんだけれど
6000円で大判絵本として出してほしい、
もっといえばアニメにしてほしい。

ある貧しい国の王子シュナの元に、
黄金の穀物が実る血がはるか西にあるという話が入る。
その黄金の穀物を求めて

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平安女子は、みんな必死で恋してた-イタリア人がハマった日本の古典-/イザベラ・ディオニシオ

平安女子は、みんな必死で恋してた-イタリア人がハマった日本の古典-/イザベラ・ディオニシオ

私が年を取って髪の毛がすべて真っ白になったら、
真っ黒な服を着て、大きなダイヤモンドだけがきらりと光る、
素敵な老婦人になろうと生意気にも企んでいた。

清少納言の「枕草子」で綴られる言葉は、
今も昔も心に響く女性のバイブルだって知らなかった。

これを語るのはイタリア人枝るイザベラさん、
イザベラさんの超訳がとにかく、本当に、おもしろい◎

まずもってネーミングセンスが最高。

清少納言のことを

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BOOK25/mederu jewelry

BOOK25/mederu jewelry

ものづくりをする人、
手でつくったものはどうしてか暖かく優しい。

今日は本といいつつカタログに近いのだけれど、
mederuのBOOKが届いたので!

待ち望んでいたのでとっても嬉しかった。

宝石の成り立ち、
今思うこと、
例えば、花を飾ることと着飾る事、髪挿すとの関連について。

宝飾品はやもするといやらしい輝きに満ちて、
塗りたくった化粧のようにみすぼらしくなることもある。

メデルのジュ

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そこに工場があるかぎり/小川洋子

ただの箱でいいんです。

そう言われて、ハッとした。

羽海野チカさんのはちみつとクローバー、
だいすきな漫画で美大を出てから
建築の道をいくリカさん夫婦がつくる美術館、
それはでっかい箱で、でっかいおうち。
そんな話があった。

それとおんなじで、
必要なのは、「中の人」

どんなに精密な機械も、
職人の手作業にはかなわない。

原料はそりゃ高いですけど、
そこにどんな付加価値をつけることができ

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ぼくモグラキツネ馬/チャーリー・マッケジー

ぼくモグラキツネ馬/チャーリー・マッケジー

久しぶりに人に会うと、
何を話していいかわからなくなったりしない?

初めて会う人と、何を話せば場が持つか悩んでしまったりしない?

話すことって、なんだろう?
質問して、答えを得ること、相手を知ること。
意見や疑念、信念や考えを伝え合うこと。
目的に向けて意思の統一をすること。

言葉を話すのって不思議だよね。
地球の裏側にも、同じ状況や同じ気持ちに相応な言葉が存在する。

りんごやライオン、存

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