私の言葉を飲んでください。 絶望しているなら、 絶望したことがあるなら。 その絶望は、私とあなたが幸せになることの前兆だと叫び続けるよ。 死にたくなるほど引きずっ…
私と貴方がが大人になるとき 膝が傷んで小さな背で見た景色を 忘れるんでしょう でも それだけではないでしょう 胃腸さえ痛みはじめて 油っこいあの青春さえ 好まなくな…
可惜夜に眠る恋人よ またか、と息を吐けるほど、人間は他人の死ぬる姿へ従順になりました。つまるところ、正方形の機械に意識を吸われている僕だけが、この世にすら取り…
太宰治に恋をした 太宰治に恋をした。あの、太宰治に。人間を失格して、斜陽族を生み出して、メロスを走らせた、あの人。ろくでもない男に、ましてや小説家に、恋をした…
人間を媚薬の言葉で愛しながら授乳してきた ワタクシですが 歯を向けて アナタを 蹴り飛ばしたくなりました 日々見る幸せな夢の正体を 腐った頭で考えてください 解毒の…
ハーバリウムを破って 猫にぶたれた。せっかく、乱反射した太陽の複数視線から、自分の顔を群青に深く隠していたのに。フードが肩に落ちたんだ。綿毛の上にゴマがかか…
秋 杏樹
2024年1月17日 19:27
私の言葉を飲んでください。絶望しているなら、絶望したことがあるなら。その絶望は、私とあなたが幸せになることの前兆だと叫び続けるよ。死にたくなるほど引きずった身体で、助けを求めなければ救われないなんて、世の中は狂っているから。電子の海へ、悲しみのグロテスクを言葉にして垂れ流す。それを見てあなたは、自分が独りじゃないのだと知ってほしい。私はそのために書き続ける。無造作に傷口で書い
2024年6月17日 19:29
私と貴方がが大人になるとき膝が傷んで小さな背で見た景色を忘れるんでしょうでもそれだけではないでしょう胃腸さえ痛みはじめて油っこいあの青春さえ好まなくなる終いには心の臓が痛いからと心も動かさなくなり恋の発作も情熱の動悸も感じなくなる大人になるとき私と貴方は内蔵を引き裂いてそこから大人を産むのですだから私はここに貴方のために内蔵を引き裂かれた少女の歌を記し
2024年5月17日 19:29
可惜夜に眠る恋人よ またか、と息を吐けるほど、人間は他人の死ぬる姿へ従順になりました。つまるところ、正方形の機械に意識を吸われている僕だけが、この世にすら取り残されておりまする。その受像機の上には蝉が裏返っていまして、微かに動いていた足も静寂となりました。陽炎が窓に密着して嗤う日盛りの二時半。葉月と三日のこと。女性アナウンサーが淡々と発する言葉には、僕と彼女の心中事件が報道されているようです。
2024年4月17日 19:29
太宰治に恋をした 太宰治に恋をした。あの、太宰治に。人間を失格して、斜陽族を生み出して、メロスを走らせた、あの人。ろくでもない男に、ましてや小説家に、恋をした小学五年生の立冬。 小、中学生の恋愛を、大人はオママゴトだなんて馬鹿にするけど、少年少女の色恋沙汰はごっこ遊びでもなんでもない。彼らはとっくに大人なんだ。時代が進むにつれ、大人になるまでのスピードは、少子高齢化とともに加速した。だから
2024年3月17日 19:35
人間を媚薬の言葉で愛しながら授乳してきたワタクシですが歯を向けてアナタを蹴り飛ばしたくなりました日々見る幸せな夢の正体を腐った頭で考えてください解毒の方法はない毒を吐け!毒を吐け!毒を吐け!苦しみを超えても朝は来ぬ涙を拭ってくれる恋人はいない苦痛の先にあるものは強さか、幸福か……否!否!否!疲労である苦しいのなら毒を吐き散らせ逃げ出してしまえ
2024年2月17日 19:29
ハーバリウムを破って 猫にぶたれた。せっかく、乱反射した太陽の複数視線から、自分の顔を群青に深く隠していたのに。フードが肩に落ちたんだ。綿毛の上にゴマがかかり、すすけた、汚い白色のコイツにぶたれて。舌なめずりをして回る琥珀の眼球。肉球ですら可愛くない。くすんだ手はささくれだらけで、上品さのかけらもない。おまけについてきた爪で、頬に線が引かれた。その皮膚を、白猫とわたしの二人きりの世界を、さん