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【詩集】顔面の白昼夢を剥がせ

人間を媚薬の言葉で愛しながら授乳してきた
ワタクシですが
歯を向けて
アナタを
蹴り飛ばしたくなりました

日々見る幸せな夢の正体を
腐った頭で考えてください

解毒の方法はない

毒を吐け!
毒を吐け!
毒を吐け!

苦しみを超えても朝は来ぬ
涙を拭ってくれる恋人はいない
苦痛の先にあるものは
強さか、幸福か……

否!
否!
否!

疲労である
苦しいのなら毒を吐き散らせ
逃げ出してしまえ

毒を吐け!
解毒などできるものか
毒を吐かなきゃ
回るだけ

2021.02.22

アァそれはまさに……

臓物など所詮人間の中身でしかない
グロテスクなそれは人間の中身でしかない

己の幸福の為に血肉をすする人間ドモ
己の幸福の為に臓物をすする人間ドモ
すすったグロテスクは身体のグロテスクへ
貯蔵されていく

アァそれはまさにカニバリズム
愛しき憎き人間ドモの性癖……
涙の代わりに流れるは人の血肉
アァそれはまさにカニバリズム
乙女の真っ赤な唇はグロテスクのあと
アァそれはまさにカニバリズム

カニバリズムを讃えているお前
カニバリズムに身を染めているお前

その悲しきグロテスクの性癖は
所詮……
アァやはり人間の中身なのだ

2021.03.13

木枯らしのお茶会

ひそひそひそ
おばさま方のお茶会に
招かれた子猫がいたそうな。
ドレスアップも何も無い、
木枯らしのお茶会であったそうな。

ひそひそ
ひそひそ
何を話しているのやら、
ひそひそ
ひそひそ
子猫が聞くところによると、
「椿ってば、もう花をつけて」
「お目当てがいるんでしょ」
おばさま方に赤みはなく、
雪に凍える細い枝が
ひそひそ、ひそひそ……

子猫は苦虫を噛み潰した

2022.01.07

還元する、蝋燭へ

一、
命が心を燃やすのでなく
心が命を燃やすのだ
ガソリンでしか火が灯らぬように
火にガソリンは灯らぬのだ
心が生きるその場所は
パラドックスでしかないのである

我らの心臓が誰そ彼を呼ぶように
心は常に君を呼ぶ
血液の流れるままに
酸素を取り込む心のままに
私は貴方を呼んでいる

二、
悪魔に魂を売りし君ならば
私の心を刺すのだろう
心臓からは君を呼んだ
血液がドロドロと溢れ出す
ドロドロ、どろどろ、dorodoro

悪魔に捧げし君ならば
私を殺しても見もしない
それに対するマグマだけが
私の山を押し上げて
どうしようもないのである

2022.01.26

電気思考回路

直列回路かよ
ぽっと出
放たれた言葉

直列回路だよ
口開く
単一的な電気量

直列回路だね
まるで
何も考えちゃいないくせに

並列回路なら
僕の迷いだって
わかるくせに

2023.01.02

ヒト

目が口ほどにものを言うのではなく、
瞳の描いた線がゴシップをばらまいているのでしょう。
アナタは今、私の乳房を見たのでしょう。
アナタは今、私の隣にいる彼を見たのでしょう。
アナタは今、私から目を逸らしたでしょう。

裏切りが人の性なのではなく、
快楽の程度を知って離れたのでしょう。
アナタが誰かから借りた口紅は、似合っていません。
アナタが略奪した恋人は、不釣り合いです。
アナタは今、私の声に耳を塞ぐでしょう。

2023.01.21

無作為に傷つけあう僕らは

無作為抽出されたくじ引きみたいに
僕らは傷ついて回っている

涙を滑らせるのが上手いからといって
その子が傷ついているわけがあるまいし
眉間に小山を作るのが日課だからといって
その人が傷ついていないわけもない

ただ、無作為に、
誰かが引いたくじ引きに書いてあった名前の人が今日は傷ついて
くじを引いた人が傷つける番

無作為に、平等に、訳もなく、
人間というだけで発生したくじ引きで
傷つけあって生きている

2024.01.18

悲しみの作り方

悲しみの作り方は、
ケーキの容量に似ています。
吐いたガラスを割って、
中から心を取り出します。
涙の塩と、混ぜ合わせて、
その他を徐々に加えていきます。

その他とは、
軽蔑です。侮辱です。エゴです。
自慢です。性欲です。正義です。
はたまた人間そのものです。

全てマーブルに溶けて、炎上させて焼き上げます。
最後にケーキの名前をつけて
悲しみは出来上がりました。
だから人の悲しみは、甘い甘い匂いがする。

2024.02.03


白昼夢がモヤで完成されるのは
それが本当に美しいものだからでしょうか
人間の解剖図の中に星はあるのでしょうか
あるのは、臓器と欲望とそれから……
人間と、自分の醜さを自覚しろ


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