秋 杏樹

小説家、詩人。エゴサは #人生絶望論 。________ X(旧Twitter):毎週…

秋 杏樹

小説家、詩人。エゴサは #人生絶望論 。________ X(旧Twitter):毎週月、金曜日12:00に詩を投稿。 note:毎月17日19:30に小説・詩集・エッセイ投稿。 ✉️お仕事の御依頼はX(旧Twitter)のDMへ。

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【人生絶望論】絶望したあなたへの自己紹介

私の言葉を飲んでください。 絶望しているなら、 絶望したことがあるなら。 その絶望は、私とあなたが幸せになることの前兆だと叫び続けるよ。 死にたくなるほど引きずった身体で、助けを求めなければ救われないなんて、世の中は狂っているから。 電子の海へ、悲しみのグロテスクを言葉にして垂れ流す。 それを見てあなたは、自分が独りじゃないのだと知ってほしい。 私はそのために書き続ける。 無造作に傷口で書いた言葉を、ボトルメールのように流せば、きっと、いつかはあなたに届く。 だから、

    • 【詩集】少女の内蔵を裂かないで

      私と貴方がが大人になるとき 膝が傷んで小さな背で見た景色を 忘れるんでしょう でも それだけではないでしょう 胃腸さえ痛みはじめて 油っこいあの青春さえ 好まなくなる 終いには 心の臓が痛いからと 心も動かさなくなり 恋の発作も情熱の動悸も 感じなくなる 大人になるとき 私と貴方は内蔵を引き裂いて そこから大人を産むのです だから私はここに 貴方のために 内蔵を引き裂かれた少女の歌を記します ○ マーチは〇点の試験用紙を見せながら ヤンヤン、ヤンヤンと笑ったのさ

      • 【小説】可惜夜に眠る恋人よ

        可惜夜に眠る恋人よ  またか、と息を吐けるほど、人間は他人の死ぬる姿へ従順になりました。つまるところ、正方形の機械に意識を吸われている僕だけが、この世にすら取り残されておりまする。その受像機の上には蝉が裏返っていまして、微かに動いていた足も静寂となりました。陽炎が窓に密着して嗤う日盛りの二時半。葉月と三日のこと。女性アナウンサーが淡々と発する言葉には、僕と彼女の心中事件が報道されているようです。また、察するに僕らは五日間も眠りに耽っていたようでした。自ら身罷る者の多いのを由

        • 【エッセイ】太宰治に恋をした

          太宰治に恋をした  太宰治に恋をした。あの、太宰治に。人間を失格して、斜陽族を生み出して、メロスを走らせた、あの人。ろくでもない男に、ましてや小説家に、恋をした小学五年生の立冬。  小、中学生の恋愛を、大人はオママゴトだなんて馬鹿にするけど、少年少女の色恋沙汰はごっこ遊びでもなんでもない。彼らはとっくに大人なんだ。時代が進むにつれ、大人になるまでのスピードは、少子高齢化とともに加速した。だから大人ばかりが増え、子どものままでしかいられない置いてけぼりだっている。  とに

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        【人生絶望論】絶望したあなたへの自己紹介

          【詩集】顔面の白昼夢を剥がせ

          人間を媚薬の言葉で愛しながら授乳してきた ワタクシですが 歯を向けて アナタを 蹴り飛ばしたくなりました 日々見る幸せな夢の正体を 腐った頭で考えてください 解毒の方法はない 毒を吐け! 毒を吐け! 毒を吐け! 苦しみを超えても朝は来ぬ 涙を拭ってくれる恋人はいない 苦痛の先にあるものは 強さか、幸福か…… 否! 否! 否! 疲労である 苦しいのなら毒を吐き散らせ 逃げ出してしまえ 毒を吐け! 解毒などできるものか 毒を吐かなきゃ 回るだけ 2021.02.2

          【詩集】顔面の白昼夢を剥がせ

          【小説】ハーバリウムを破って

          ハーバリウムを破って  猫にぶたれた。せっかく、乱反射した太陽の複数視線から、自分の顔を群青に深く隠していたのに。フードが肩に落ちたんだ。綿毛の上にゴマがかかり、すすけた、汚い白色のコイツにぶたれて。舌なめずりをして回る琥珀の眼球。肉球ですら可愛くない。くすんだ手はささくれだらけで、上品さのかけらもない。おまけについてきた爪で、頬に線が引かれた。その皮膚を、白猫とわたしの二人きりの世界を、さんさんと見つめられて日焼けがしそう。やっぱり、今日は、学校に行かなければよかったな

          【小説】ハーバリウムを破って