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「憂国のモリアーティ」で学ぶ、訴求力について

✔「憂国のモリアーティ」という作品

 あの「シャーロック・ホームズシリーズ」を、彼の宿敵モリアーティ教授側の視点で描いてある作品です。単に視点を変えただけでなく、大英帝国の身分社会における不文律を憎み、特権階級のエゴの犠牲となった労働者階級たちに、完全犯罪の復讐を指南する「クライム・コンサルタント」として描かれています。

 ですが、第1話はむしろ、探偵のような感じだったところが面白かったですね。殺人事件が起きたらまずその犯人を突き止めてから、被害者家族に復讐させる、という流れですので、モリアーティは犯罪者と言うよりも、むしろ探偵に見えるからです。

 もちろん、シャーロック・ホームズも登場します。単に探偵と名乗るのではなく、スコットランド・ヤードをクライアントに位置付けた「コンサルタント・ディテクティブ」と、こちらもコンサルタントと名乗っています。

「人は見たことも無いものは欲しくならない」

 コンサルタント・モリアーティは、ある朝、ロンドン市内を脅かす、未解決連続少年殺害事件の記事に目を通します。そして「手掛かりがなく未解決」とされているこの事件の手掛かりは、まさに今読んでいる記事の中にある、と静かに言います。

モリアーティ

 そして「人は見たことも無いものは欲しくならない。目にしたものを欲しくなる」と言います。つまり、犯人は衝動的な通り魔などではなく、明らかにその被害者をターゲットにしていることを示唆したのです。間近で見ていたからこそ、その少年たちを強く欲したのだと。

 続けて、弟が焼いてくれたオムレツが大好きで、出先で空腹になると、そのオムレツが恋しくなる…だが、オムレツの存在を知らない異国の人間が、それを食べたいと思うことはない、という例え話します。

 これについて、例え話は、他にいくらでもあげられます。例えば、完全に現代社会から遮断された状態の原住民の少女が、突然、自発的に口紅を欲しくなることはありません。存在を知らないからです。

 ですが、その村が現代社会と交流を持ち、口紅で美しく装える事を知った場合はどうでしょう?その存在と、それを手に入れたらどうなるかを知った少女は、生まれて初めて口紅と言うものを手に入れたいと望みます。これを訴求といいます。

✔私たちの周囲は「訴求」で溢れている

 TVやWEBに、ひっきりなしに出てくるCMはもちろん、SNSによる口コミ、知人からの直接的な口コミ、車内広告…私たちをあらゆる物・サービスへ関心を向けさせるための訴求の中で、私たちは生活しています。

 広告や口コミなど、与えられる情報だけでなく、身近な友人や憧れている芸能人やインフルエンサーが身につけているもの、所有しているものを見るだけで、勝手に欲しくなる場合もあります。また、アニメを見ていると原作が読みたくなる場合もあります。手に入れたい、という欲求だけでなく、見たい、読みたい、聞きたい、話したい…など、様々な欲求が勝手に起きてきます。

 ちなみに、憂国のモリアーティの中だけでなく、犯罪は「勝手に欲しくなる」という部類に入ります。「欲しい」と言う欲求が歪んで間違った方に向くと、犯罪になってしまうのです。

いいいいいいモリアーティ

(↑ホームズに「捕まえたい」と訴求させるモリアーティさん)

✔訴求効果が高いものとは

 どんなものに訴求効果があるのか、鬼滅の刃「無限列車編」のすさまじい大ヒットで考えてみます。この映画は、劇場公開前は、TVなどのメディアでは、ほとんど取り上げられていませんでした。

 メディアが動いたのは、初動3日で大きく興行成績が上がったからです。この間に劇場に足を運んだ人たちは、確実に、内容が期待値を超える事を知っていた人たち…従来のファンたちです(みみのすけもその一人w)。内容を全て知っている人たちが、足を運んで出したのが、あの3日間の記録です。

きめつえいが

 そして、そのことが認知され「3日の成績であれほど大きく数字が動いたということは、よほどに面白んだろう」と期待した人達が加わり、さらにリピーターが増えたことで、短期間であの興行収入を叩き出したのです。

 ネットに上がっている様々な意見の中には「興行収入=良作ではない」と主張している人もいますが、いい作品がどうかはそれぞれの主観なのでさておき、少なくとも、それだけ多くの人たちの「見たい」という訴求を起こさせたという点では成功しています。

 ここから分かることは、人は、より期待度が上がるモノに、お金と時間を使うということです。訴求するには、おもしろそう!楽しそう!感動しそう!という期待値を、ターゲットに対してどれだけ高く上げられるか、にかかっています。カウンセリングなどであれば、癒されそう!気持ちがラクになれそう!安心できそう!と思ってもらうことが大事ですよね。

✔的確な分析と正しい努力

 いうのは簡単なのですが、これが簡単にできれば誰も苦労しません。このnote1つとっても、誰もが「読んでほしい」と思っていますが、「読みたい」と訴求するの事が難しいということは、お分かりになっている方が多いと思います。(もちろん私もそうです。)

 日本人は「真面目にコツコツ努力していればいつか報われる」という言葉が好きで、実際にそうすることが好きですが、残念ながらこれはちょっと違います。その「努力」自体が間違っていれば、望んだ結果はどれだけ頑張っても得られません。

 正しい努力で結果に繋げる一つの方法として、すでに訴求がうまくいっている人の真似をする、と言うのがあります。そのうまくいっている人が何故うまくいっているのか?自分と何が違うのか?その人がしている事で、自分がやっていない、出来ていないことは何か?と分析して、自分がやっていなかったことをやってみて、トライ&エラーを続けましょう。

 そして「人は見たことも無いものは欲しくならない。目にしたものを欲しくなる」ということを忘れないでいてください。自分のサービス、記事、配信、物販…たくさんの人に見てもらう知ってもらうための、正しい努力を続けていきましょう!

 

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