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門司港ヤネウラで考え中

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しぇあはうすの日常の記録
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#門司港

門司港ららばいは続く。

門司港ららばいは続く。

北九州から東京行きのスターフライヤーの機内で「門司港ららばい」を久しぶりに観た。関門海峡に面した古き良き港町、門司港を舞台にした短編映画だ。私はいまその街で暮らしている。

小さな画面の向こうにはコロナ前の私達の日常があった。休業補償なんかじゃ補いきれない門司港の日常。それが映画というかたちで残っていることを心強く思う。フィクションとは純度の高いノンフィクションだ。

いま正直、心が色々折れていて

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夢は忘れた頃に叶う

夢は忘れた頃に叶う

2008年、当時18歳だった私は地球の裏側のアルゼンチンの愛に溢れた家庭で多感な時期を過ごした。

いつまでもラブラブな両親と三つ子のように仲良しな兄弟(上から女17・男16・男15)、それから大きな黒いラブラドールと小さい三毛猫というのが、その家族の構成だった。それに日本からやってきたスペイン語も喋れない私。

それだけでも充分賑やかなのに、家の扉はいつでも開け放たれていて、夕方になると親戚やら

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落ち込むこともあるけれど、私、この町が好きです

落ち込むこともあるけれど、私、この町が好きです

光の方へ久々に朝からひどい落ち込みの波に引きずられて目の前が真っ暗になった。けれども、かわいいシェアメイトが「苺食べる〜?」といつものように朗らかに聞いてくれたので、はっと気持ちが光の方へと向いた。舌から苺の甘酸っぱさが染みわたり、重い身体にかすかな電流が走った。

先日、門司港にアジールをつくりたいという主旨の記事を投稿したが、結局のところアジールをいちばん必要としているのは他でもない私自身なの

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不良になれなかった私のアルゼンチン門司港逃避行日記

不良になれなかった私のアルゼンチン門司港逃避行日記

不良になれなかった私物心ついたころから、何故だかはわからないが日本の教育や社会に馴染めなかった。都心にある中高一貫の私立の女子校。校則とか時間割とか部活とか意味わかんなかったし、学校にいると自分がどんどんロボットになっていく感じがした。

通学中に満員電車に乗っている大人とか観察してたら、何のために生きてるのかよくわからなくなった。MDのイヤホンでブルーハーツの1985年の『僕たちを縛り付けて一人

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原風景と郷愁-映画『門司港ららばい』レビュー

原風景と郷愁-映画『門司港ららばい』レビュー

映画『門司港ららばい』を観たら何だか胸がいっぱいになってしまって、この余韻を忘れぬうちにと思って、こうして急いで筆を走らせているわけです。

冒頭の門司港へと近づく車窓のシーンから、胸の奥をぎゅっと掴まれて疼いた。線路ごしにみえる海峡。行き来するコンテナ船。汽笛の音。潮の匂い。東京からやってきた主人公の弥生が門司港に降り立ったときの感覚とこれからはじまる物語を私は知っている、と思った。

少しだけ

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