猫本コウヨ

30代/YouTube動画シナリオライター/第11回NOVEL DAYS 課題文学賞「…

猫本コウヨ

30代/YouTube動画シナリオライター/第11回NOVEL DAYS 課題文学賞「お酒が飲みたくなる話」にて佳作入賞/毎週ショートショートnoteに投稿中/各種小説投稿サイトに投稿中/古典ミステリーにドハマり/

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  • メガネの創作たち

    2023.6.13名称変更 掌握やショートショートといった小説を垂れ流してます。 正に私の脳内から湧き出た産物といったところでしょうか。

  • ことわざ慣用句deショートショート

    ことわざから広がった想像の物語を楽しんでほしい。

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    小説「もっこちゃんの愛おしい毎日」をまとめています。

  • 「書く習慣」チャレンジ(20236.6に無事完走)

    いしかわゆきさん(ゆぴさん)の「書く習慣チャレンジ」をテーマに投稿したものを集めました。 ※無事に完走できたー

  • あまくてやさしいこと

    連載小説「あまくてやさしいこと」 大好きなぐりとぐらが出てくるお話です。

記事一覧

【毎週ショートショートnote】残り物には懺悔がある

#毎週ショートショートnote #残り物には懺悔がある 「残り物には福がある」って言葉があるでしょ? ワイ、この言葉嫌いなんすわ~。なんでかって? 残り物を見るとね…

11

【毎週ショートショートnote】ときめきビザ

#毎週ショートショートnote #ときめきビザ 最近、やたらと体の調子が思わしくなく、婦人科にかかってみた。 ここはちょっと変わったクリニックらしく、患者も引っ切りな…

8

【毎週ショートショートnote】モンブラン失言

#毎週ショートショートnote #モンブラン失言 モンブランの美味しい季節がやってきた。 甘い匂い、滑らかな舌触り、ほっくり蒸された栗やスポンジとのマリアージュを味わ…

猫本コウヨ
2週間前
12

【毎週ショートショートnote】○○詐欺

#毎週ショートショートnote #誘惑銀杏 「何だか臭いと、思っていたんです…。まさか自分が引っかかるとは思わなかった」 そう言って老齢の男性が、しょげた様子でコーヒ…

猫本コウヨ
3週間前
6

ヒリヒリするような疾走感

この感覚は、例えていうなら100メートルを一気に走りきった後の、息が切れてくる、そんな苦しさに似ていた…。 今話題のNetflixオリジナルドラマ「地面師たち」を…

猫本コウヨ
1か月前
4

「食堂のおばさん」から「日常」に戻るとき

私は社内食堂で働いている。 厨房は暑くて、最近なんか入っている企業の総務担当の方からの無茶な提案を受けたことにより、働く時間が大幅に変わり、ついていくのに必死だ…

猫本コウヨ
1か月前
4

書いては読んで、の繰り返し

こんにちは。 シナリオセンターの新井さんという方が書かれた「物語のつくり方」と「14歳からの創作ノート」を読みながら、再び小説(うーん、私は物語と表現したい…)を…

猫本コウヨ
1か月前
7

【毎週ショートショートnote】鋭利なチクワ

#毎週ショートショートnote #鋭利なチクワ 冬になると、食べたくなるものがおでん。 一見、湯気が上がり見るからに出汁が染みこんでいそうなそれを見ると、何だかホッコ…

猫本コウヨ
1か月前
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【毎週ショートショートnote】非情怪談

#毎週ショートショートnote #非情怪談 これだけ暑いと、何かヒヤリとしたものを欲したくなる。 さぁ、何を食べようか。 ときおりヒヤッとしたものが首筋を撫でている気…

猫本コウヨ
1か月前
7

#シロクマ文芸部(待っててね、あの人)

#シロクマ文芸部 #風鈴と 風鈴と共に、切りたてのマッシュルームショートが風に揺れる。 その音はまるで、これからの二人を祝福してくれているみたい。 ここ最近行けてい…

猫本コウヨ
1か月前
2

【毎週ショートショートnote】落とせないスイカ

#毎週ショートショートnote #見たことがないスポーツ  (ハンドスイカ) 年々気温上昇著しいこの夏、見た目にも涼やかなスポーツが誕生したことをご存じだろか。 その名…

猫本コウヨ
1か月前
7

【毎週ショートショートnote】見たことがないスポーツ(相撲レスリング)

#毎週ショートショートnote #見たことがないスポーツ 「ヒマダナァー」 「ナニカ、スルカ~」 伸びきったヒゲを撫でながら、男はのっそり立ち上がる。 「オイッ、ソウイ…

猫本コウヨ
2か月前
7

【毎週ショートショートnote】君が「ピ」と言ったから、今日は「海のピ」記念日

#毎週ショートショートnote #海のピ 「ぴあっ、ごあっ、すっち!」 最近になってようやく言葉を発した息子が、某子ども番組に夢中になっている。 ワンオペ育児の私に…

猫本コウヨ
2か月前
12

冷凍庫には牛丼と餃子とアイスしかないけれどごはんが美味しいと思える私の話

「さて、今夜は何を食べようか」 そう思い、野菜室を覗く。 農家をやっている友だちから週に一回、野菜を購入している我が家の野菜室は何だか寂しくて、端境期であることと…

猫本コウヨ
2か月前
3

オードリー若林に「人間」を感じて感動した話

「ナナメの夕暮れ」という本を昨日、読み終えた。 今や国民のほとんどに認知されているお笑いコンビ「オードリー」の若林正恭さんのエッセイだ。 これまでに何冊か出され…

猫本コウヨ
2か月前
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【毎週ショートショートnote】人型ロボットの末路

#毎週ショートショートnote #天ぷら不眠 「ジュージュー、パチパチ」 衣を纏った海老が油の海で気持ちよさそうに泳いでいる。 「おめぇ随分、腕上げたじゃねぇか」 いつ…

猫本コウヨ
3か月前
8
【毎週ショートショートnote】残り物には懺悔がある

【毎週ショートショートnote】残り物には懺悔がある

#毎週ショートショートnote #残り物には懺悔がある

「残り物には福がある」って言葉があるでしょ?

ワイ、この言葉嫌いなんすわ~。なんでかって?

残り物を見るとね、思い出すんですわ~

ワイ、こう見えて10人兄弟でしてね、子供の時分はご飯のおかずなんて取り合いで、残り物なんか何かの欠片ぐらい。しかもこーんな米粒ぐらいの大きさのヤツね。

そうやっていつも悔しい思いをしてきたから、お弁当があ

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【毎週ショートショートnote】ときめきビザ

【毎週ショートショートnote】ときめきビザ

#毎週ショートショートnote #ときめきビザ

最近、やたらと体の調子が思わしくなく、婦人科にかかってみた。
ここはちょっと変わったクリニックらしく、患者も引っ切りなしに来るらしい。
ざわついた待合室をくぐり抜け、ようやく名前が呼ばれたので診察室へ入る。

「どうされました?」
「最近なんだか体の調子がよくなくて…」
「それは…足りてませんね」
「えっ?足りてないって?」
「ズバリ、『ときめき』

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【毎週ショートショートnote】モンブラン失言

【毎週ショートショートnote】モンブラン失言

#毎週ショートショートnote #モンブラン失言

モンブランの美味しい季節がやってきた。
甘い匂い、滑らかな舌触り、ほっくり蒸された栗やスポンジとのマリアージュを味わった時の多幸感は何にも耐えがたい。

三度の飯より栗が好きな私にとって、栗と聞けば我を忘れてしまう。
今日もコンビニで『甘栗むいちゃいました』を見つけ、収録前に一袋全部、食べてしまったほどだ。

「今年は栗が不作」
とデカデカと載っ

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【毎週ショートショートnote】○○詐欺

【毎週ショートショートnote】○○詐欺

#毎週ショートショートnote #誘惑銀杏

「何だか臭いと、思っていたんです…。まさか自分が引っかかるとは思わなかった」
そう言って老齢の男性が、しょげた様子でコーヒーを啜った。

今、世間を震撼させている「○○詐欺」の被害者ということで、早速近所の喫茶店で話を聞かせて貰うことになったのだ。

事件後、男性の生活は一変し、家の外壁や玄関には誹謗中傷のビラが連日のように貼られていくのだという。

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ヒリヒリするような疾走感

ヒリヒリするような疾走感

この感覚は、例えていうなら100メートルを一気に走りきった後の、息が切れてくる、そんな苦しさに似ていた…。

今話題のNetflixオリジナルドラマ「地面師たち」をようやく見れた。

我が家はAmazon Prime を契約しているのだが、いまいちピンとこないというか、私の琴線にふれるものがないように感じていた。
夫と顔を合わせる度に
「ネトフリ見たいなぁ~」
と呪文のように唱えた結果、夫もどうや

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「食堂のおばさん」から「日常」に戻るとき

「食堂のおばさん」から「日常」に戻るとき

私は社内食堂で働いている。
厨房は暑くて、最近なんか入っている企業の総務担当の方からの無茶な提案を受けたことにより、働く時間が大幅に変わり、ついていくのに必死だ。
このところの物価高と、ありがたいのになぜかありがたみを感じない最低賃金上昇の影響で、今までの働き方を見直す時季に来ているのだと嫌というほど感じるのだ。

働くってこんなにしんどかったっけ?

会社員をやっていたときもそれなりにしんどかっ

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書いては読んで、の繰り返し

書いては読んで、の繰り返し

こんにちは。
シナリオセンターの新井さんという方が書かれた「物語のつくり方」と「14歳からの創作ノート」を読みながら、再び小説(うーん、私は物語と表現したい…)を書き始めた。
二冊とも同じようなことが書かれているのだけど、前者が大人向け、後者はティーン向け、といったところだろうか。
私はもう立派な、40を目前にした大人ではあるのだけど、理解力に関してはティーンよりも最下位なので、こういった本はあり

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【毎週ショートショートnote】鋭利なチクワ

【毎週ショートショートnote】鋭利なチクワ

#毎週ショートショートnote #鋭利なチクワ

冬になると、食べたくなるものがおでん。
一見、湯気が上がり見るからに出汁が染みこんでいそうなそれを見ると、何だかホッコリした気分にさせられるが、それとは裏腹にあのおでん鍋の中では、温度以上に熱くシビアな戦いが繰り広げられているのである。

「おいっ、ゆで卵!あんまり出しゃばるなよ」
「白滝も、これ以上長くなったらどうなるか分かってるよな~」
「食べ

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【毎週ショートショートnote】非情怪談

【毎週ショートショートnote】非情怪談

#毎週ショートショートnote #非情怪談

これだけ暑いと、何かヒヤリとしたものを欲したくなる。
さぁ、何を食べようか。
ときおりヒヤッとしたものが首筋を撫でている気がするけれど、気のせい気のせい。

えんじ色のメニュー表を見ている内、自分の体が冷気に包まれているように感じる。

ここ冷房が効きすぎてやしないか。
店員を呼び、冷房を調整してもらうように頼むと、店員が苦々しい顔をしながら去っていく

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#シロクマ文芸部(待っててね、あの人)

#シロクマ文芸部(待っててね、あの人)

#シロクマ文芸部 #風鈴と

風鈴と共に、切りたてのマッシュルームショートが風に揺れる。
その音はまるで、これからの二人を祝福してくれているみたい。

ここ最近行けていなかった愛しのあの人の家に向かって、足は軽やかに動く。

いつも乗る電車であの人を見かけてからというもの、頭の中は常にそのことばかり。

朝起きて、何をするの?
ご飯派?パン派?
好きな漫画は?
いつも見ているテレビは?
どんな音楽

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【毎週ショートショートnote】落とせないスイカ

【毎週ショートショートnote】落とせないスイカ

#毎週ショートショートnote #見たことがないスポーツ  (ハンドスイカ)

年々気温上昇著しいこの夏、見た目にも涼やかなスポーツが誕生したことをご存じだろか。

その名も、ハンドスイカ。

ルールは概ね、ハンドボールと同じ。
だが一つだけ、変わったルールがある。

それは…。

ボール代わりのスイカを見事割ってしまった場合は相手チームの点数となる。

この理不尽なルールに、選手以下コーチや監督た

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【毎週ショートショートnote】見たことがないスポーツ(相撲レスリング)

【毎週ショートショートnote】見たことがないスポーツ(相撲レスリング)

#毎週ショートショートnote #見たことがないスポーツ

「ヒマダナァー」
「ナニカ、スルカ~」
伸びきったヒゲを撫でながら、男はのっそり立ち上がる。
「オイッ、ソウイヤオマエ、オレノオンナニ、テヲダシタダロウ」
これまた伸びきったパサパサ長髪を掻き上げた男は、そう言ってヒゲ男に突っかかってきた。

「ナニ、チョットカラカッタダケダ。ナニヲムキニナッテイル」
ヒゲ男はなんてことない口ぶりで言う。

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【毎週ショートショートnote】君が「ピ」と言ったから、今日は「海のピ」記念日

【毎週ショートショートnote】君が「ピ」と言ったから、今日は「海のピ」記念日

#毎週ショートショートnote #海のピ

「ぴあっ、ごあっ、すっち!」

最近になってようやく言葉を発した息子が、某子ども番組に夢中になっている。

ワンオペ育児の私にとって、この番組は神だ。

「ふぅ~、ご飯できた」
後は食べさせるだけというところまで準備をし、腰を落ち着けた瞬間に息子がパタパタと走って、私のところにきた。

「ぴ!」
「ぴ?ぴってなにかな~?」
嬉しそうに私によじ登ってきた息

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冷凍庫には牛丼と餃子とアイスしかないけれどごはんが美味しいと思える私の話

冷凍庫には牛丼と餃子とアイスしかないけれどごはんが美味しいと思える私の話

「さて、今夜は何を食べようか」
そう思い、野菜室を覗く。
農家をやっている友だちから週に一回、野菜を購入している我が家の野菜室は何だか寂しくて、端境期であることとこのところの気候変動が影響しているのか、友だちが作る無農薬野菜の美味しさを味わう機会がめっきり減っている。
仕方の無いことなのだが。
7月の始まりにしては暑すぎる暑さの中、懸命に自然と向き合ってくれている友だちを始め、農家さんが元気に野菜

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オードリー若林に「人間」を感じて感動した話

オードリー若林に「人間」を感じて感動した話

「ナナメの夕暮れ」という本を昨日、読み終えた。

今や国民のほとんどに認知されているお笑いコンビ「オードリー」の若林正恭さんのエッセイだ。
これまでに何冊か出されているようだが、私が最初に読んだのは「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」

最初に何故これを読もうと思ったのかは自分でも分からないが、文体と若林さんの屈託すぎる思いの深さに感銘を受け、彼のことをもっと知りたいと思い、これを手に取っ

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【毎週ショートショートnote】人型ロボットの末路

【毎週ショートショートnote】人型ロボットの末路

#毎週ショートショートnote #天ぷら不眠

「ジュージュー、パチパチ」
衣を纏った海老が油の海で気持ちよさそうに泳いでいる。

「おめぇ随分、腕上げたじゃねぇか」
いつもは眼光鋭い師匠が、嬉しそうに目尻を下げている。
俺は何だか誉れ高い気持ちになった。

師匠のお店である「割烹しょうと」の門を叩いたのは3年前。
長いことお笑い芸人として存在していた俺は、相方にも家族にも逃げられて、発砲塞がりの

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