『時転』

こんな日でも寝坊するのかよ、俺は。呆れるな。

今、式場まで走っている。自分の結婚式のため。

主役のくせに何やってるんだ。うわぁっっ！

偶然にも開いていたマンホールに落ちた。

恐る恐る目を開けたら、同じ場所に倒れていた。

「大丈夫ですか？」聞き覚えのある声。

タイムスリップ、か？制服を着た若い頃の妻が、

クスクス笑いながら、手を差し出してきた。

「私の彼に似てる。いつも寝坊して走って転んで

デートに遅刻するの。面白い人でしょ？」


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