『眩虚』
こんなにも眩しい瞬間を見たのは、初めてだ。
あっ。という間の出来事だった。
落ち着いて巻き戻そう。今、見たものを。
それは空へ舞い上がるように、ふわりと浮かび、
すぐに、私の視界からいなくなった。
さっきまでは、無邪気に笑い、戯けていたのに。
変わらない毎日に、飽きてしまったのか?
違う世界を、見に行きたくなってしまったのか?
教えて欲しいけれど、解けない謎として残る。
今、弟が病室から飛び降りた。永遠に、消えた。
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