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ラヴェルの弟子、アンリエット・フォール
Roger Nichols氏による、作曲家の回想録(Remembered)シリーズは、近しかった人たちの重要証言が網羅されていて、たいへんに興味深いものです。
わたしも一通り揃えて時々参照するのですが、ラヴェル編に収められた次の証言にはびっくりしました。
アンリエット・フォールは1922年(17歳)にラヴェルに師事し、翌年シャンゼリゼ劇場で世界初のオール・ラヴェル・リサイタルを開いた女性ピアニ
奥村智洋×安井耕一 ブラームスの夕べ
奥村智洋さん(ヴァイオリン)と安井耕一さん(ピアノ)による、ブラームスのヴァイオリンソナタ全曲の演奏会が、10月に開かれます。わたしが深く共鳴してやまない音楽家お2人による演奏会で、東京公演はソノリテが主催しています。
【東京】10/11(水)19:00- 五反田文化センター
【札幌】10/19(木)19:00- ふきのとうホール
このお2人をお繋ぎできたことを、心から幸せに思います。昨日、初
鶴澤奏さんのシューベルト
ソノリテ新譜第2弾として、鶴澤奏さんのシューベルト・アルバムを録り終えました。
貴重な音楽仲間の一人である彼女は、ほんとうにナチュラルに音楽に溶け込む人で、純度の高い音楽を奏でます。品のある潔いタッチが、シューベルトの親密な音楽と深く共振します。
音楽に対する謙虚さが、凛とした透徹性をもたらしています。演奏の一回性が強いため、編集を最小限にとどめ、通しで素敵なテイクを録るよう心がけました。
クララ・シューマンの弟子たち
音楽之友社から、ブラームス演奏にかんする論文集「ブラームスを演奏する」の邦訳が出た。
自分は曽我大介先生に勧められ、ベーレンライター社の原書で読んでいたが、初めて読んだ時は衝撃を受けたものだ。クララ・シューマン門下のピアニストたちにブラームスがレッスンをし、その人たちの録音が残っているとは!作曲家に直接指導を受けた人たちの録音を聴くと、その作曲家特有の音楽観や美意識が朧げに見えてくるのである。
亭主関白になれなかったシューマン
ピアニストとしてすでに名声を得ていたクララと、新進の音楽評論家として雑誌《音楽新報》を創刊したローベルトは、いわゆる「格差婚」カップルだった。恋人時代から、手紙でこんなやりとりをしている。
わたしも将来のことをよく考えてみました。(…)あなたとごいっしょに生活できたら幸せなのです。でも心配をせずに生活したいのです。(…)ローベルト、あなたが心配ない生活を維持できる状態にあるかどうか考えてみてほ
ピアニスト解剖(2)ジェラルド・ムーア
ジェラルド・ムーア(1899-1987)。フィッシャー=ディースカウやシュヴァルツコップなど名だたる歌手たちから絶大な信頼を勝ち得てきた、歌曲伴奏のスペシャリスト。彼のソリストの色にカメレオンのごとく寄り添うピアノはあまりにも自然で絶妙で、わたしも尊敬してやまない。
彼は、その仕事に職人的な誇りをもった「闘士」だった。フィッシャー=ディースカウはこう言っている。
ジェラルド・ムーアは(…)伴奏