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ラヴェルの弟子、アンリエット・フォール
Roger Nichols氏による、作曲家の回想録(Remembered)シリーズは、近しかった人たちの重要証言が網羅されていて、たいへんに興味深いものです。
わたしも一通り揃えて時々参照するのですが、ラヴェル編に収められた次の証言にはびっくりしました。
アンリエット・フォールは1922年(17歳)にラヴェルに師事し、翌年シャンゼリゼ劇場で世界初のオール・ラヴェル・リサイタルを開いた女性ピアニ
クララ・シューマンの弟子たち
音楽之友社から、ブラームス演奏にかんする論文集「ブラームスを演奏する」の邦訳が出た。
自分は曽我大介先生に勧められ、ベーレンライター社の原書で読んでいたが、初めて読んだ時は衝撃を受けたものだ。クララ・シューマン門下のピアニストたちにブラームスがレッスンをし、その人たちの録音が残っているとは!作曲家に直接指導を受けた人たちの録音を聴くと、その作曲家特有の音楽観や美意識が朧げに見えてくるのである。
亭主関白になれなかったシューマン
ピアニストとしてすでに名声を得ていたクララと、新進の音楽評論家として雑誌《音楽新報》を創刊したローベルトは、いわゆる「格差婚」カップルだった。恋人時代から、手紙でこんなやりとりをしている。
わたしも将来のことをよく考えてみました。(…)あなたとごいっしょに生活できたら幸せなのです。でも心配をせずに生活したいのです。(…)ローベルト、あなたが心配ない生活を維持できる状態にあるかどうか考えてみてほ
名曲よもやま話(3)バッハは教育パパ
子どもたちの発表会の定番曲で、「バッハのメヌエット」として知られてきたト長調のメヌエット。実はクリスティアン・ペツォールト(1677-1733)の作曲したものであることが近年判明し、発表会のプログラムでペツォールトのメヌエットと記されることも増えてきました。
このメヌエットが収められている「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」は、1725年頃にまとめられた私的な小曲集で、おそらくバッハ家の