内藤 晃

ピアニスト。sonoritéレーベル主宰。月刊ムジカノーヴァに「作曲家のレッスンを覗いてみたら…」、月刊音楽現代に「名曲の向こう側」を連載。楽譜やCDの解説多数。音楽の奥深い面白さをカジュアルに発信していきたいです。http://akira-naito.com/

内藤 晃

ピアニスト。sonoritéレーベル主宰。月刊ムジカノーヴァに「作曲家のレッスンを覗いてみたら…」、月刊音楽現代に「名曲の向こう側」を連載。楽譜やCDの解説多数。音楽の奥深い面白さをカジュアルに発信していきたいです。http://akira-naito.com/

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    • ディレクターのひとりごと

      新しく立ち上げたsonoritéレーベルのプロデューサー&ディレクターとして、CD制作の裏側をつぶやきます

    • 読書案内

      作曲家の一次資料(手紙、弟子の証言など)を読み解き、その音楽へのアプローチの橋渡しをします。

    • 名曲よもやま話

      名曲にまつわる知られざるエピソードをご紹介します。あの名曲が違う意味をもって聴こえてくるかもしれません。

    • ピアニスト解剖

      ピアニストだから書けるディープなピアニスト評をめざしています。

    • 知られざるベートーヴェン

      ベートーヴェン生誕250年にちなんで、知られざるベートーヴェンの素顔を気ままにご紹介していきます

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    シューマンとショパン

    「諸君、帽子をとりたまえ、天才だ」といってオイゼビウスが楽譜を一つ見せた。表題は見えなかったけれども、僕はなにげなくばらばらとめくってみた。この音のない音楽の、ひそかな楽しみというものには、何かこう、魔法のような魅力がある。それに僕は、どんな作曲家もそれぞれみるからに独特な譜面の形をもっていると思う。ちょうどジャン・パウルの散文がゲーテのそれと違うように、ベートーヴェンは譜面からしてモーツァルトと違う。しかし、この時はまるで見覚えのない眼、何というか、花の眼、怪蛇の眼、孔雀の

      • レッスンおよび音楽制作のご案内

        ソノリテのプロデューサー、内藤晃の仕事場をご紹介します。 今夏、防音室をリニューアルし、2台のピアノを使ってレッスンをしています。手前がベヒシュタインKモデル、奥がレンナーハンマー仕様のヤマハG2モデルです。 完全防音のなか、NEUMANN KM184ステレオペアマイクを導入し、高音質の録音、オーディション用ビデオ撮影などにも対応しています。作曲家の重要な一時資料は洋書含め一通り揃えており、何をどう読んで勉強したら良いか、生徒さんにアドバイスしています。 リスニングルー

        • 11/19(土) 安井耕一さん ピアノ四重奏コンサート

          柏市在住のピアニスト安井耕一さん(元・国立音楽大学教授)が、ご子息のチェリスト総太郎さんら若い音楽家3名と、ピアノ四重奏の演奏会を開かれます。 わたしは一昨年初めてお聴きした安井さんの音色に心から憧れ、その奥義に触れるべく交流を重ねてきました。安井さんは空間に放たれた音の位相を自在に操り、響きが三次元で立ち現れます。彼の恩師コンラート・ハンゼンや、その師エドヴィン・フィッシャーが体現していた、気の遠くなるほど緻密な「音を創る技術」がそこにあります。 そして、安井さんの音楽

          • 鶴澤奏さん ピアノリサイタル'22

            ソノリテからデビューアルバム「An die Musik」をリリースした鶴澤奏さんが、11月25日(金)に約1年ぶりの日本でのリサイタルをけやきホールにて開催します。 今年も素敵なプログラムを用意してくれました。チラシには、リサイタルに寄せた鶴澤さんの思いが裏面に記されています。 音楽と向き合うことは、作曲家の心の声に触れることであり、自分の魂の内側を見つめることでもある……これが鶴澤奏の音楽家としての信条です。今回のリサイタルに際し、またインタビューを敢行してみました(訊

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            鶴澤奏 特別インタビュー

            バンクーバー在住のピアニスト鶴澤奏さんが、デビューCD「An die Musik - Kanade Tsurusawa Schubert Album」をソノリテからリリースします。中村香織さんによる美しいMVが完成しましたので、まずはこちらをご覧ください。 ディレクター/プロデューサーとして、こんな素敵な作品を皆さんにご紹介できることをとても幸せに感じています。 CDリリースを控え、鶴澤奏さんに、いま思うことを語ってもらいました。 (訊き手:ソノリテ 内藤 晃) コロナ

            神谷悠生、デビュー

            神谷悠生君のデビュー盤「RAVEL & FALLA」が完成し、リリースを待つばかりとなった。 神谷君とはかれこれ長い付き合いになる。お母様が耳の肥えた人で、CDショップの試聴機か何かで僕のデビュー盤を聴き、当時中学生だった彼をうちに連れてきたのである。しばらくレッスンのような感じで音楽づくりの手伝いをした。僕もまだ学生で指導経験が浅く、お世辞にもいいレッスンと呼べる代物ではなかったかもしれない。 彼は高校から桐朋に進んだ。いつ頃からか定かではないが、彼の中で探究心が開花し

            鶴澤奏さんのシューベルト

            ソノリテ新譜第2弾として、鶴澤奏さんのシューベルト・アルバムを録り終えました。 貴重な音楽仲間の一人である彼女は、ほんとうにナチュラルに音楽に溶け込む人で、純度の高い音楽を奏でます。品のある潔いタッチが、シューベルトの親密な音楽と深く共振します。 音楽に対する謙虚さが、凛とした透徹性をもたらしています。演奏の一回性が強いため、編集を最小限にとどめ、通しで素敵なテイクを録るよう心がけました。 レコーディング・チームは前作「Rebirth/大内暢仁」と同様の心強いメンバー。

            CDのPVをつくってみた

            わたしのプロデュースで、大内暢仁氏のCD制作を進めています。2月発売予定ですが、それに先立ち、PVを制作し公開しました! 曲はブクステフーデのアリア・ラ・カプリチョーザ。そう、ゴルトベルク変奏曲のクオドリペットにも使われている流行歌「ベルガマスカ(キャベツとカブ)」のテーマによる変奏曲です。 このビデオ、本当はレコーディングセッションの最終日に撮影する予定でしたが、それがうまくできなかったので後日サロンで撮ったものです。CDの音を試聴していただきたいので、それを再生しなが

            クララ・シューマンの弟子たち

            音楽之友社から、ブラームス演奏にかんする論文集「ブラームスを演奏する」の邦訳が出た。 ​自分は曽我大介先生に勧められ、ベーレンライター社の原書で読んでいたが、初めて読んだ時は衝撃を受けたものだ。クララ・シューマン門下のピアニストたちにブラームスがレッスンをし、その人たちの録音が残っているとは!作曲家に直接指導を受けた人たちの録音を聴くと、その作曲家特有の音楽観や美意識が朧げに見えてくるのである。 ブラームスはクララ・シューマンの弟子たちに大いに興味を示し、自分の曲の勉強で

            レコーディングの裏側

            突然ですが、新レーベルsonoritéを立ち上げ、CDのプロデュースを始めます。 記念すべき第一号は、ピアニスト大内暢仁氏のバロック・アルバム。バッハ以前の北ドイツのバロック音楽を愛し、ブクステフーデやラインケンを、あえてモダンピアノで弾いている変人。僕はこういう変人が大好きです。演奏も深い研究と愛がにじみ出ていて共感します。 たとえばバッハの作品は、書かれた音楽そのものが普遍的にすばらしいから、チェンバロやクラヴィコードで弾いても、現代ピアノで弾いても、そこに宿っている

            レッスンでのZOOM活用法

            この災禍のなかで、やむを得ずビデオ通話アプリを利用したリモートレッスン…細かいニュアンスが伝わらず、ストレスを溜めていらっしゃる先生方も多くいらっしゃると思います。 今日は、ピアノのレッスンでの、僕のZOOM活用法をお話しします。と言っても、いかにましな音質でZOOMレッスンをするか、というお話ではありません。いくら良い機材を揃えても音質には限界があり、生徒さん側に高いマイクを買っていただくのも非現実的なので、僕は、通常のようなリアルタイムのレッスンをオンラインでやることを

            亭主関白になれなかったシューマン

             ピアニストとしてすでに名声を得ていたクララと、新進の音楽評論家として雑誌《音楽新報》を創刊したローベルトは、いわゆる「格差婚」カップルだった。恋人時代から、手紙でこんなやりとりをしている。 わたしも将来のことをよく考えてみました。(…)あなたとごいっしょに生活できたら幸せなのです。でも心配をせずに生活したいのです。(…)ローベルト、あなたが心配ない生活を維持できる状態にあるかどうか考えてみてほしいのです。(1837年11月24日 クララ) きみのお父様の霊がきみの背後に

            ピアニスト解剖(2)ジェラルド・ムーア

            ジェラルド・ムーア(1899-1987)。フィッシャー=ディースカウやシュヴァルツコップなど名だたる歌手たちから絶大な信頼を勝ち得てきた、歌曲伴奏のスペシャリスト。彼のソリストの色にカメレオンのごとく寄り添うピアノはあまりにも自然で絶妙で、わたしも尊敬してやまない。 彼は、その仕事に職人的な誇りをもった「闘士」だった。フィッシャー=ディースカウはこう言っている。 ジェラルド・ムーアは(…)伴奏者の人柄は控え目すぎるほど控え目で、できるだけ目立たないでいる「ピアノの紳士」だ

            ピアニスト解剖(1)アレクシス・ワイセンベルク

            僕は、ワイセンベルクが好きという人に出会ったことがあまりないし、このピアニストについて、一般の音楽ファンの間では「カラヤンといつも共演していたやたら上手い人」という程度の認識にとどまっていることが多いように思う。そして、早くにパーキンソン病を患って演奏活動を退いたために、華やかな活躍に比して、その活動期間は短かった。実際、僕は必ずしも彼の音楽に思い入れのあるファンではないのだが、彼がその演奏を通じてやろうとしていたことの特異性に気づいてからは、かなりの録音を聴き、その都度、面

            音楽×国語/新しいレッスンを始めました

            このご時世で、動画や通話アプリを使ったリモートレッスンを始められた先生方も沢山いらっしゃると思います。 僕もリモートレッスンを始めてみました。まとまった時間繋ぐのではなく、動画ワンポイントを複数回、という形をとったので、プロセスを細かく追跡・フォローできるメリットを感じた一方、主に音色面で、微妙なニュアンス、肝心なところが伝わらないもどかしさがつきまといました。微妙な音色の翳り、タイミングのずれ、和声感に寄り添った背中を緩めるタイミング、タッチの濃淡のコントロールなど…「神

            ベートーヴェンとシュパンツィヒ

            1792年、ハイドンに弟子入りするため、ドイツの片田舎ボンからはるばるウィーンに出てきた21歳のベートーヴェン。音楽好きのリヒノフスキー侯爵の屋敷の一室に住まわせてもらうことになる。侯爵のサロンには才能のある弦楽器の少年たちが出入りしていて、そのリーダー格が、ベートーヴェンより6歳年下のイグナーツ・シュパンツィヒだった。とりわけ、彼の率いる弦楽四重奏のすばらしさにベートーヴェンは心奪われる。シュパンツィヒの弦楽四重奏団はのちにラズモフスキー伯爵邸のお抱え弦楽四重奏団となり、こ