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アルセーヌ・ルパン『三十棺桶島』-絶海の孤島で起こるミステリー!”4つの十字架のはりつけ”と”神の石”の正体とは?-

(Spoiler Alert!ネタバレ注意!)

みなさん、こんにちは!

今回は、『三十棺桶島』の紹介をします。

「三十棺桶島」は、「虎の牙」や「813」と並ぶ長編小説ですが、今回もこの記事のみでまとめたいと思います。

タイトルに「棺桶」と入ってることからわかる通り、ルパンシリーズの中で一番怖い物語なんじゃないかと思います。

怖い要素として・・・
舞台が絶海の孤島(文明社会とは切り離され、通信手段もない)
第一次世界大戦中(時代的に暗い)
・ケルト文化が色濃く残るブルターニュの不思議な地域性と相まって、オカ  ルト的な雰囲気が漂っている

物語の場所は、フランスのブルターニュ地方。

ブルターニュは、イギリスのストーンヘンジのような巨石が多いことでも有名です。

イギリスの影響が濃く、ケルト文化を形成していて、アーサー王伝説や、魔法使いマリーンの舞台にもなっています。

ルパンは、ストーリーの後半になってから、ようやく登場するので、主人公は実質、ベロニックという女性です。

冒頭は、ブルターニュから始まりますが、その後、ベロニックは海を渡り、孤島であるサレック島、通称、 “三十棺桶島” に渡ります。

三十棺桶島のモデルとなった島、サレック島は実在しており、YouTubeで解説していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

ブルターニュにあるル・ファウエ村にベロニックが降り立つところからストーリーが始まります。

因みに、ル・ファウエ村にサン・バルブ礼拝堂があり、物語にも登場しますが、実在します。 どんな礼拝堂かは、Youtubeで見ることが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=qjGtcnl6cmA

私は個人的に「ダ・ヴィンチ・コード」に出てくるロスリン礼拝堂に似ているという印象を受けました。

それでは早速みていきたいと思いますが、アルセーヌ・ルパンやフランスの旅、謎解きや推理・探偵小説がお好きな方は、拙著とYoutubeもあわせてご覧いただけると嬉しいです。

https://www.amazon.co.jp/dp/B08WHNCLH3

https://www.youtube.com/channel/UCJLOYQcaT1uWCdOOZKjplig

ベロニックの父親は、ブルターニュ地方の巨石研究者だったが、ベロニックの息子と共に14年前に行方不明となり死んだとされていた。

彼女の夫も死んだことになっており、彼女自身はこの結婚を後悔していた。

ベロニックが、ブルターニュのル・ファウエ村にやってきたのは、パリの映画館で見た「ブルターニュの伝説」という映画に、自分が昔使っていたサインが書かれた家が出てきたからだ。

そのサインのある家に行ってみると、男性の死体があり、その男性のポケットから4つの十字架にはりつけにされている絵が出てくる。

なんと、はりつけにされている4人のうち、ひとりはベロニックだった!

その後、ベロニックは、彼女の父と息子を知っていて、三十棺桶島で生きているのを知っていると言う婆さんと一緒に、その島へ渡る。

三十棺桶島に上陸し、ベロニックが、やっと父と息子に会えると思った矢先、息子が父に銃を発射する場面に遭遇し、会えたのも束の間、父が死んでしまう。

ベロニックの父は、死の間際に「神の石に気を付けるよう、この島にいては殺される」ということを言い残して死んでしまう。

婆さんもいなくなり、ベロニックは一人、この島に取り残される。

しかし、その後、死んだと思っていた息子に再会し、彼女の父親を銃で撃って殺した少年(はじめは自分の息子だと思っていた)とは違う人物であることが判明し、ベロニックは安堵。

彼女の息子は本当に心が清らかで、もうひとりの少年は元夫と前妻の間に出来た子供で、相当な悪党ということが明らかになる。

そして彼女の元夫も死んだと思われていたが、実は生きていることが判明し、彼女は絶体絶命に陥るが、そこでルパン登場。

ルパンは見事に、この事件を裏で操っていた極悪非道なベロニックの元夫を葬り、「神の石」について説明する。

(ブルターニュにはドルメンとかメンヒルとか呼ばれる巨石が数多く点在しているのですが、ブルターニュに古くから伝わる“神の石”と言われていたものは実は、 “ラジウムの塊”だったんですね。

石から放射線が出ているので、それを触った男性(小屋で手が切断された状態で死んでいた男性)は、手に癌に似たような傷が出来てあまりの酷さに手を切断したことになっています。

ラジウムが登場するので、キュリー夫人の名前も出てきます。

余談ですが、私は約20年ほど前に、パリのキュリー博物館を訪れたことがあります。

当時は、入場無料だったのですが、現在はどうなっているのでしょう?

駆け足でご紹介しましたが、ルパンがベロニックの元夫を懲らしめる場面は面白いので是非ご一読を♪)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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