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短歌集

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亜希が詠んだ短歌を集めてみました。 ぜひ作品に触れてほしい。
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2023年3月の記事一覧

助けてほしいが言えなかったから

助けてほしいが言えなかったから

くつしたも見つからぬまま よわさも布バックにいれ 明日をむかえに

くつしたもみつからぬまま よわさもぬのばっくにいれ あすをむかえに

亜希

助けてほしいが言えなかったから、いま、ここで伝えます。

こんばんは。亜希です。

何もしなかったら絶対、後悔する。やりたい。

ならば、思いを書こう。

こどもの頃、なかよしの親友がいました。

親友はアイドル、私はお芝居が好きでした。

彼女は、アイ

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玉葱を巡る

玉葱を巡る

ひと匙を求めて掬う 呼ぶマンマ 幼き口に初めての聲

ひとさじをもとめてすくう よぶマンマ おさなきくちにはじめてのこえ

亜希

夜、クルマで通りかかった道沿いにある 建物が気になった。
こどもが被る麦わら帽子のようだった。

円形で、簡素に建てられた建物に 木の十字架が架けられている。
いったい何の建物だろう… 教会だろうか?
意匠は、忘れられず、 心の片隅にあるのに 場所がどの辺りなのか

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公園の池の真んなかにて

公園の池の真んなかにて

波留まり これからもずっとスワンボート漕ぎませんかと 彼は汗ばむ

なみとまり これからもずっとスワンボートこぎませんかと かれはあせばむ

亜希

スワンボートが好きだ。
ふつうのボートを私は漕げない。
以前、妹とボートに乗ったことがあるが、オールで水を切っているだけで、ちっとも前進せず、ひたすらその場をくるくると回転し、
「お姉ちゃんっ!!!」と妹にあきれられたことがあった。

盥(たらい)に

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卒業おめでとう

卒業おめでとう

お下がりに「すまん」と思う 桃ジャージ着て 犬と散歩の好々爺

おさがりに「すまん」とおもう ももジャージきて いぬとさんぽのこうこうや

亜希

祖父母とすごした時間がみじかかったので、おじいちゃん、おばあちゃんのいる風景に憧れる。

ことにおじいちゃんが孫の中学や、高校のお下がりジャージを着ている姿に
ゾクゾクとして、次の瞬間、平和な愛おしさに恍惚としてしまう。

ジャージには、白い四角い布に

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卒業の後、日曜の午後。

卒業の後、日曜の午後。

自転車を母の軽へとのせ帰る 卒業のあと 日曜の午後

じてんしゃを ははのけいへとのせかえる そつぎょうのあと にちようのごご

亜希

三年間のお弁当作りが、終わってしまいました。
このマイメロちゃんのお弁当箱、これから何をいれたらいいかと考えていました。

ママが作るお弁当は、女子高生のお弁当とは思えないまっ茶っちゃ弁当だったから、きっとイヤだったよね。
それでも、のり弁好きだからっていつも残

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青豆に春を感じて

青豆に春を感じて

豆ご飯 ラップに包む
ドット柄の営みを愛おしく想ふ

まめごはん らっぷにくるむ
どっとがらのいとなみをいとおしくおもふ

亜希

春を感じると私は、村上春樹さんの
お名前と小説1Q84のことを思い出す。

そして、豆ごはんを炊かなきゃと思うのである。

なぜそうなのかと言うと、
小説の主人公の名前は青豆さんだから。
「青豆」とは変わった名前だなと
思って、以来、忘れられなくなった。

春は、淡い

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おやゆびの使者

おやゆびの使者

くるしいと吐露するきみへ わたしもと伝える指は ハートを染める

くるしいととろするきみへ わたしもとつたえるゆびは ハートをそめる

亜希

体調が悪いとナーヴァスになってしまうのか眠れないことがある。

深夜に誰かと話したくなるが、さっき寝たばかりの家族を起こすわけにもいかず、指でスマートフォンのボタンを探りnoteを開く。

いいなと思うnoterさんのアイコン。
頁に綴られた嘘のない言葉に

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3月31日の嘘

3月31日の嘘

「姉々、四月じゃないよ」と
夢醒めて腫らしたひとみを花粉とウソ吹く

ねね、しがつじゃないよと
ゆめさめてはらしたひとみをかふんとうそぶく

亜希

姉のような人でした。
とても大切な人。いなくなってしまってもうずいぶん経ちました。
そして、はじめて夢を見ました。

嘘だったらいいのに、ぜんぶ嘘だよって・・・
4月馬鹿(エイプリールフール)じゃない日。
3月最後の日に私は嘘をつきました。
花粉症の

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短歌ひとつで。

短歌ひとつで。

「爆発なんてさせやしないさ」信管を抜いてやる 短歌ひとつで

ばくはつなんてさせやしないさしんかんをぬいてやる たんかひとつで

亜希

いくつか躰に爆弾を抱えている。

それは、いつ、爆発するやも知れぬ爆弾たち。

がむしゃらに働いてきた。
ずっと勤め人として生きてくことを疑いもしなかった。

もちろん食べるため、生きるためであり、
自分のためというより、誰かのためが強かった。

仕事も好きだっ

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