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目目、耳耳

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2020年5月の記事一覧

Hello,sleep sheep.(睡眠誘導術/安部公房)

眠るのがおそろしく下手という意味で、僕は不眠症だ。

最近、中途覚醒が一段とひどくなった。二度寝しなければいいかもしれない。でも、そういうわけにもいかない。そんなの、明け方に眠くなるに決まっている……。

まったく眠れないわけじゃない。寝つきは良い方だし、(合計すれば)毎晩5時間以上は寝ている。でも、二、三時間おきに目を覚ましたり、ぐっすり眠れたと思ったら朝なかなか起きられなかったり……日によって

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I,MY,ME,MOTHER(M(OTHER)/ササノマリイ)

「君と出会えたから、僕はもう一度生まれたんだよ」

なんていったら、君は笑うかな。



『MOTHER』

母の日にちなんで……というわけでは、もちろんなく。「母親」を意味する『MOTHER』は、ここでは、あのファミコンソフトを指します。はい。

ちなみに、僕は未プレイだ。プレイしたいとは長年思っているんだけど、何せ30年前のゲームなので、ソフトどころかファミコン本体も持っておらず、未だ叶わぬ

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「まち」が「町」であるために(人ノ町/詠坂雄二)

『人ノ街』……じゃなかった、『人ノ町』を読み終えた。

普段、「まち」は「街」と書くことが多いから、つい間違えてしまう。

「街」と「町」。同じ意味で、同じ読み方で、書き方だけが違う。この差は、何なんだろう。

[町]
地方公共団体の一つ。市と村の中間に位置する。

[街]
商店などの並んでいる、にぎやかな区域。

――北原保雄編『明鏡国語辞典』2002年より引用

『人ノ町』に登場する町は、どち

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何も知らないから、旅人になった(或る旅人の日記/加藤久仁生)

僕の夢の中で、僕はいつも旅人だった。

旅人は、「stranger」と訳されることがある。

stranger。
見知らぬ人。
よそから来た人。

見知らぬ場所にいて、見知らぬ人達がいて、その場所では、僕の方が見知らぬ人間だった。(自分の夢なのに、変なのって思うかな。)

僕はそこで、様々な経験をする。

曖昧ないい方しかできないのは、目が覚めると、10秒も経たない内に、どんな夢だったのか忘れてし

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